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2-2

 オーナーは僕たちの座る席の手前までやってくると、少々戸惑った様子を見せながら僕に「久しぶりやな」と言った。それからルイさんとUちゃんに「こんばんは」と挨拶した。


 ルイさんは快活に


「はじめまして! 俺、ルイって言います。ぐっちょん――滝口くんの友達です」


と返した。Uちゃんはもじもじして軽く会釈した。


「えーと? ここで飲んでる感じ?」


 そうオーナーが言ったので、僕は彼に夕食を食べたかを尋ね、食べたという返事を得たのでそれなら僕のマンションで飲まないかと誘った。ちょうど僕とルイさんのビールはジョッキから無くなったところだったし、これ以上の外飲みは地味に財布に響くことを僕とルイさんはよく分かっていた。


 オーナーは僕の提案を了承した。僕とルイさんが割り勘にして飲食代を払い、ぞろぞろと店を出た。店の外階段に出ると半円の月が晴れた夜空にぽかんと浮かんでいた。秋の夜の風がアルコールで熱くなった僕の頬をなぜた。店の前の北本通りに、自動車のヘッドライトの白い光が行き交っていた。


 ジョナサンからすぐのローソンで酒とつまみを買った。代金はとりあえず僕が払い、後でUちゃん以外の三人で割ることになった。この間ルイさんはUちゃんにもう帰るよう再び説得を試みたが、やはりそれは拒否されていた。


 ローソンから路地に入ってマンションへ向かう。自然と僕たちは二列になって人気のない暗い道を歩いた。前にルイさんとUちゃんが、後列に僕とオーナーが並んだ。


「あの子はなんなん?」


 路地から「S銀座」という寂れた商店街に入ったところで、オーナーが前を行くUちゃんのことを僕に聞いてきた。僕は他になんと言っていいか分からないまま、


「友達ですよ」


といかにも問題なさげに答えた。


「どっちの友達? あのルイさんって人の?」


「いえ、もともと僕の知り合いで。ルイさんと彼女は今日が初対面です」


「ふうん」


 そんなことを言っているうちにUちゃんが隣を歩くルイさんの腕に自分の腕を絡ませようとして、ルイさんがそれをやんわり振りほどくのが見えた。僕とオーナーはそれを見て気まずく押し黙った。そのまましばらく歩いていくと、今度はオーナーが僕の手を握ろうとしてきたので僕もそれを振りほどいた。

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