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第4話

「それってどういう事?」

 しばらく経ってからの私の質問には雅子が答えた。

「一応、警察の聴取によると、本村さんは公園の水道でケーキを切った包丁を洗っていた時に後ろから殴られて気絶させられたらしいわ。一応命に別状はないようだけど、今日は病院に泊まる事になるみたい。だから彼女じゃあないの。それと、凶器は胸に刺さったまま発見されたみたい。指紋は本村さんのしか取れなかったみたいだから、犯人は手袋をしていたんだと思うわ」

 まとめると、昨夜の23:00頃に水村さん、大槻さん、本村さんの三人が誕生日を祝う為に小嶋深香を公園に呼び出した。それで大槻さんと水村さんはケーキを食べ終わったらすぐに帰って、本村さんは包丁を洗いに行った。その後、本村さんは後ろから殴られて、そして小嶋深香が刺された。

 状況的には本村さんが持っていた包丁で本村さんを殴った犯人が刺したのだと思う。

「あ、そうそう。言い忘れていたけど、あの場所には高校指定の革靴の足跡しか残ってなかったそうよ。だから警察でもこの学校の生徒が犯人じゃないかって疑ってるみたい」

 雅子がそう付け加えた。

 つまりリストにあった私と大槻さんを除いた四人、山崎好美、音無緑、小岩亜理栖、美能結華が怪しいということだろう。

 もう一度テーブルの上のメモを見る。

「この四人のプロフィールって分かる?」

 試しに聞いてみると、佳奈実が頷いてどこからかノートを取り出して、その中の一ページを開いた。

 そこには四人の事が色々と書いてあった。


 山崎好美

 生年月日:1993年8月3日

 年齢:16

 クラス:1年5組

 身長:145cm程

 血液型:A

 所属:料理部、図書委員会

 趣味:読書、料理

 備考:視力が弱く眼鏡を掛けている。


 音無緑

 生年月日:1993年11月29日

 年齢:16

 クラス:1年5組

 身長:150cm程

 血液型:O

 所属:陸上部

 趣味:田奈浜赤沙の追っかけ


 小岩亜理栖

 生年月日:1993年2月28日

 年齢:16

 クラス:2年6組

 身長:160cm程

 血液型:不明

 所属:陸上部

 趣味:ネコ


 美能結華

 生年月日:1991年9月9日

 年齢:18

 クラス:3年2組

 身長:160cm程

 血液型:A

 所属:元図書委員長

 趣味:読書



「これって」

 自然とそんな言葉が出てきた。

 佳奈実は静かに頷くと説明をする。

「その四人は結構親しくて、警察の調べだと山崎好美さんが始めだったらしいよ。その後にそれを知った三人も巻き込まれてしまった。ちなみに、この四人からの事情聴取はもうそろそろ終わるんじゃないかな」

 緊急生徒集会の後に呼び出されていたのは、そういうわけだったんだ。

 でも、四人とも大人しそう。小岩さんとは話した事はないけど、殺人なんてするような性格じゃあなかったと思う。

 でももしかしたら――。

 自分がやっていない事が分かりそうで嬉しくもあったが、どこかやりきれない気持がする。

「あ、ちょっとごめんね」

 唐突に雅子はそう言って立ち上がり、窓際で携帯を取り出し会話を始めた。

 佳奈実は三人分の紅茶をいれなおし、それをテーブルに戻した。

 少し冷えてきた指先を暖めようとカップを両手で挟んでいると、雅子が戻ってきてこう言った。

「宮さんからの電話だったんだけど、その四人にはちゃんとしたアリバイがあるそうよ。これから裏を取るって言っていたけどね」

「それってつまり四人が犯人じゃないっていうこと」

 雅子は頷いた。

 この四人が犯人じゃない。大槻さんも水村さんも本村さんも犯人じゃない。自殺じゃない。犯人はこの学校の生徒なのに、動機があってアリバイが無いのはいない。

 それじゃあやっぱり私が、この手で――

 どこからかバタンとものが倒れる音がして、私の意識は暗転した。

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