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第二話 汚部屋探偵とビターな事件


「そういえば、探偵の仕事をやっていない気がする」

「お、寒川パイセン。急にやる気出してどうしたの」

 今日も今日とて、散乱した衣服を回収して洗濯機に入れる。靴下が片方だけしか残されておらず、微妙にイラつく。

「俺じゃなくて、有村の仕事の話だよ」

 指摘された少女、有村ありすはとぼけた声で笑う。

「えへへ。いなくなったペット探しの依頼は来ているよ」

 手書きのチラシでハムスターの写真が貼られている。この広い街で、探すのはいささか難しい。

「それと、こっちも猫ちゃんの捜査依頼」

 すべて動物関係。有村ありすのことだから俺に仕事を振りそうで怖い。

「もしかして、パイセン。私の仕事を手伝いたくなったのかなあ」

「断じて違う」

 このまま有村ありすの事件に巻き込まれるのは勘弁してほしい。だから必死に断る。

「そんな寒川パイセンに朗報です」

 可愛い子猫の画像を見せてくる。何か事件でもあるのだろうか。

「保護猫カフェで、依頼人が待っています」

「おい」

 特殊清掃のバイトに、有村ありすのお守りに、俺は忙しい。どうしてまた仕事が増えるのか。解せない。

「そうだ、パイセン。ガトーチョコラを作ってほしいなあ」

 にっこりと笑顔を浮かべ、ねだってくる。このちゃっかりした精神がうらやましいような、少し憎たらしいような気持ちで、ため息が出てくる。

「掃除洗濯、料理の時間分しっかり請求するからな」

「もちろん会社を通してお支払い致します」

 キリっとした表情でうなずき、有村ありすは再びソファに寝転がる。

 ダメだこれは。

「パイセン、頭痛ですか? もしかして低気圧のせい」

「何でもかんでも低気圧のせいにするな」

 余計に頭が痛くなる。明らかに有村ありすのせいだが、言っても無駄だ。

「ガトーショコラとグリューワイン用意するから、待ってろ」

「さすが、私の寒川パイセンだねえ」

 ガッツポーズをとり、彼女はご機嫌になった。ずぼらな割に、好みは大人っぽいのだ。

「私も腕によりをかけて、あったかーい紅茶を用意するよお」

 ポットにティーバッグを淹れて、お湯を注ぐだけ。料理とは呼べない。

「うう、パイセン。何か失礼なことを考えているなあ」

「有村の失礼さには敵わない」

 ふうとため息をつくと、洗濯機の音が鳴る。

 これでは完全なる家事代行業だ。


 保護猫カフェはルシャットといった。閑静な住宅街のど真ん中にある静かな店だった。

「フランス語で猫、って意味だよお」

 ちなみに普通は最後の『ト』は読まないらしい。博識な有村ありすは得意げに語る。

「古今東西、猫が好きな偉人は多いよお。例えばニーチェ、サルトル、ヘッセ」

 俺は大学では経済学を学んでいたが、話半分に聞いていた。

「最近言われているアニマルライツ、なんて考えは功利主義を唱えたベンサムの思想も関わっているかもねえ」

 雑学は聞いている分には面白いが、途中で眠くなる。

「寒川パイセン、ありがたいお話を聞くときは目を開くものだよお」

「おう」

 そんなやり取りをしていると、店のドアが開く。

「いらっしゃいませ」

 バイトの学生らしき少女が元気よく手を振る。

「ありすちゃん、よろしくね」

「美月ちゃん、今日も可愛いねえ」

 なんだそのおっさんみたいな台詞は、と思ったが口には出さなかった。

 なぜなら一言えば、百言い返されるのが世の常だからだ。

「初めまして、村山美月です」

 俺の胡乱気な視線に気づいたのか、彼女は礼儀正しく挨拶をする。

「それで今回の依頼は」

「その前に」

 有村ありすが俺の腕を引く。

「猫ちゃんたちと遊ぼうよお」

 仕事に来たんじゃないかと突っ込みたくなったが、これ以上言う気にもならない。

 しかし一つ問題があった。

 それは。

「俺、動物にめちゃくちゃ嫌われるんだよ」

 正直に打ち明けると有村ありすが噴き出す。

「大丈夫だよお。嫌われても死なないから」

「そんなスケールの大きいことは聞いてない」

 なんだか小ばかにされた気がする。

「大丈夫ですよ。猫ちゃんたちは人見知りする子もいますが、愛情もって接していますから」

 その一言で少し勇気をもらい、一歩踏み出す。

 俺だってできるはずだ。


「可愛い猫ちゃんに囲まれて幸せだなあ」

 猫じゃらしにおやつという武器を手に入れた有村ありすはモテモテだった。

 それに比べて俺はというと。

「やっぱり猫ちゃんたちは人間性を見ているのかなあ」

「寒川さんは少し大きいから警戒されてるだけですよ」

 村山美月がフォローしてくれるが微妙に傷つく。

「もう寒川パイセン、いい年してへそ曲げない」

「別に……」

 猫じゃらしを左右に振っても誰も反応しない。

 わかってはいたが、これが俺の実力か。

「悲しまないでよお、パイセン」

 余計に傷つくのに有村ありすは呑気な声で諭す。

「ほら、あっちのお客さんはモテモテだよお」

 振り返ると、そこには中肉中背のスーツ姿のサラリーマンがいた。

「ああ、田中平助さん。有村、挨拶する」

 以前有村ありすの下着が盗まれた件で、関わったアパートのご近所さんだ。

「あなた方も来ていたんですか。また事件ですか」

 ゲーム実況が趣味だからインドア派に見えたが、動物にも興味があったのか。

「いえいえ猫ちゃんの捜索をしているんですよお」

「お話だけ伺ってました」

 実のところ、猫に好かれない事実にショックを受けてすっかり忘れていた。

「では本題に入りましょう」

 有村ありすがにっこり笑う。何かたくらんでいるときの顔だ。

「美月ちゃん、事件のあらましを教えて」

「分かったよ」

 元気そうな少女の顔が急に暗くなり、語りだす。

 猫たちが夜な夜な消えていく事件のことを。


「ここは保護猫カフェなの。オーナーたちが飼い主のいない猫ちゃんたちを引き取って始めたお店」

 里親を探し、大事にしてくれる家庭に引き渡すための訓練も兼ねているという。

「それでオーナーがいないときに、猫ちゃんたちがいなくなる事件が起きたの」

 村本美月はあくまでバイトだ。だから責任者であるオーナーがいれば、上の指示に従う。

 だけど、不在の時に猫が失踪したらしい。

「色々な人に相談したけど、結局見つからずじまいで」

 猫たちがいなくなったときに警察や保健所を頼ったが、あまり色よい返事はもらえなかったようだ。

「だから、犯人を見つけてほしいの」

 そうしないと村本美月がクビになる。保護猫たちを守れなかったという名目でバイトを処分すれば解決すると上は考えているようだ。

「お願い、いなくなった猫ちゃんたちのためにも」

 猫を探すだけでなく、犯人を特定する必要がある。

 こんなに猫を愛している少女の願いだ。

 必ず、見つけ出してやる。

「ワトソンくんはやる気だねえ」

 猫を抱っこしながら、有村ありすが茶々を入れる。少しだけ脱力したが、気にしたら負けだ。

「僕は帰りますね」

 隣人の田中平助も軽く会釈をして店を去る。相変わらずドライな男だ。

「私たちは残るよお」

 猫と遊びたいだけじゃないのかと突っ込みたくなったが無言を貫く。嫉妬ではない。

「男のジェラシーは怖いねえ」

「煽るな、有村」

 怒りを堪えつつ、俺は店内を観察する。

 木目を基調とした、リラックスできる雰囲気のカフェだ。

 ところどころキャットタワーや遊び道具があり、猫たちも気ままにうろつく。

「そういや、最近多いよな」

 猫カフェや動物をテーマとしたお店は増えてきた。

 ペットを飼えないファミリー層や女性に人気のようだ。

「そうですね。私はあんまり好きじゃないんですけどね」

 村本美月は少し怒った顔で続ける。

「だって猫ちゃんたちのことを考えている店って少ないですよ」

 真面目だからこそ思うところがあるようだ。

「本当に可愛いと思うなら、最後まで責任を持つ覚悟が必要ですよ」

「確かにな」

 昨今ペットビジネスで被害に遭うケースも多いという。

 そもそも今の世の中、ペットブームで苦しむ動物たちもいる。

 だからこそ真剣な飼い主の手に渡ってほしいと村本美月は語っていた。

「すみません」

 新しい客だ。熱弁をふるっていた少女は顔を赤くして接客を始める。

「あれえ、姫乃ちゃんだあ」

 所謂フリフリのレースをあしらったワンピースに、派手なメイクの、地雷系女子がこちらを睨む。以前有村ありすになりすましていた犯人の栗原姫乃だった。

「最悪」

 不機嫌そうな顔をした彼女が吐き捨て、空気が凍り付く。

 確かに、恋敵である有村ありすと、思いを寄せていた俺に挟まれるなんて、最悪だろう。

「でもお客様」

 その瞬間だった。

「にゃあ」

「痛っ」

 俺めがけて猫パンチが繰り出される。俺、なんか恨まれるようなことしたか。

「相変わらず、嫌われているねえ。寒川パイセン、いっそこれを売りにしたら? 」

「やだよ」

 そのやり取りに和んだのか、栗原姫乃も噴き出す。

「寒川くん、相変わらずだね」

 その顔から吹っ切れた様子で、少しだけほっとした。

「栗原さんは、もう大丈夫なの」

「いいの」

 俺を見ると顔がほんのり赤く色づく。何か気恥ずかしいのだろうか。

「パイセンって本当、人たらしだよねえ」

 有村ありすの余計な一言に何も言い返さないでいると。

「本当、そうだよ」

 栗原姫乃もぼそっと呟く。

「もう寒川くんって本当勝手だよね。私も馬鹿だったな」

 そして猫を抱き上げて笑う。

「もういいの」

 それで本当に吹っ切れたことが分かった。

「ごめんね」

 素直に頭を下げて、謝罪する。そうか。人はやり直そうとすることもできるのか。

 そのことに驚く。

「まあ、そんなことけどさ。猫失踪事件の容疑者を集めないと」

「その前に捜査だろう」

「お、やる気だねえ」

 有村ありすがにやりと不敵な笑みを浮かべる。

「探偵には相棒が必要だろう」

 俺も段々深みにはまっているようだった。


参考人一~田中平助の場合~

「だから勘弁してほしいんですよ」

 疑うのはこれで何回目だと逆に訴えられる。

「結婚してないからって容疑者にするのはやめてください」

 猫が失踪した時間帯は夜だ。

 田中平助は会社員だから、行動できる時間帯がかぶる。

「確かにその日はルシャットにいましたけど」

 ちょっと短絡的ですねと失笑される。

「そもそも一介のサラリーマンが猫をわざわざ攫って何をすると思うんですか」

 確かにその通りで何も言い返せない。

「これからVの実況あるんで、もう終わりにしてください」

 その一言でさっさと追い出される。

「前途多難だねえ」

 これを参考人の分だけするのだから一苦労だ。

「お詫びにガトーショコラを渡して、帰ろうかあ」

 有村ありすは伸びをして、月夜の街を歩きだす。

「どこ行くんだよ」

「散歩」

 俺と彼女の歩幅だと簡単に追いつく。

 だからあえて追いつく前に言った。

「犯人の見当ついているのか」

「まだ確証はないよお」

 でもヒントはあったと続ける。

「問題は動機、だよね」

「教えてくれよ」

 俺が問いただしても暖簾に腕押しだ。

「寒川パイセン、世の中にはコーチングとティーチングがあるんだよお」

 成長するにはコーチングも必要だと笑う。

 俺も考えないといけない時が来たようだった。


参考人二~村本美月の場合~

「まあ、私が真っ先に疑われるのは分かってました」

 猫失踪の時にオーナーは不在。その時に事態を把握できていたのはバイトの村本美月くらいだ。

「でも大事な猫ちゃんたちを売るような人間ではありません」

 強い言葉で否定された。

 そうだ。彼女の正義感から、わざわざ犯罪をするようには思えない。

「それに、私クビになるんですよ」

 何のメリットもないことをしますか、と彼女は食って掛かる。

「仕事を失ってまで、悪いことする人間に見えますか」

 勝気そうな彼女の瞳が訴えかける。

 犯罪をする人は悪人だという言葉が引っかかったが、その時は何も言い返さなかった。

 思ったことをそのまま口にするのは愚か者のすることだ。

 沈黙は金雄弁は銀という。

「ありがとう」

 涙交じりに見上げられるとこれ以上聞けないと察した。

 村本美月の正義感は本物だ。

 だからこそ余計に理解できなくなった。


参考人三~栗原姫乃の場合~

「何度も疑われるのはいい気がしないね」

 目元にははっきりと引いたアイライン。強そうな意思の瞳に、むっとした表情がアンバランスに見えた。

「悪いことをするのは悪人だと思っているでしょ」

 なぜかその言葉が引っかかった。

「悪いことをしているときは正義感があるときだよ」

 あいつは間違っている。だから正義の鉄槌を下さなければならない。

 そんな怒りが、悪意に変わるのだという。

「私にそこまで強い怒りはないよ」

 もう寒川くんのことは吹っ切れたし、と続ける。

「別に恋人出来たから」

「マジで」

 少しフラれた気持ちになるが、彼女にとってはいいことだ。

 幸せになれるなら、それが一番だ。

「寒川くんって中途半端な優しさが人を傷つけてるって自覚ないよね」

 フフッと笑う。

 きついことを言われている気がするのに、なぜか反論する気にはならない。

 それが事実だからだろう。

「時々善意の方が怖いよね」

 だって悪意は見てわかるけど、善意には何があるか傍では分からないでしょうと告げられる。

「そこだよ、寒川パイセン」

「げっ、有村」

 突然姿を現した有村ありすにげんなりしつつ、首根っこを掴む。

「これ以上煽るなよ」

「分かってますって」

 ニッと笑い、有村ありすは語りだす。

「これからが推理劇の始まりだよお」

 参考人を集めてと指示される。

 やはりこれだから探偵には敵わないのだ。


悲劇はビターな香りを纏わせて

「それでは集まった皆さん、始めましょうか」

 有村ありすの推理の時間に皆があっけに取られていた。

 いきなり、犯人捜しをされて不快な顔をする田中平助。

 怒りを隠さない村本美月。

 そして、訳知り顔の栗原姫乃。

「まず、犯人の動機ですがきわめてシンプルなものです」

 有村ありすは淡々とした口調で話し始めた。

「これは完全なる善意のお話です」

 抽象的な話は難しい。俺はつかめそうでつかめない真実に苛立っていた。

「悪意の間違いではないのか」

「どうして犯罪が悪意から生まれると断言できるのか聞きたいですねえ」

 悪さをするのは不安、嫉妬、怒り。そんな負の感情からだ。

 俺だって人に恨まれた人間の最期をたくさん見てきた。

 それらすべてに共通することは。

 悪意から人は死ぬということだ。

「まあ、一理ありますけど。今回の件では善意が悲劇を招いたということです」

 そうですよね、村本美月さんと告げる。

 やはりそうだったか。

「彼女の動機はやっぱり正義感か」

 猫たちを愛するが故の行動。

「夜な夜ないなくなっていた猫たちは、無事保護されていました」

 有村ありすは里親たちの写真と文面を読み上げる。

「その中で謝意を示していましたよ。村本美月さんに」

 そうか。そういうことだったのか。。

「オーナーから見放され成長してしまった猫たちの引き取り手は少ない。それに苦慮した結果だと」

 写真と手紙には、ありがとうございましたと記されていた。

「若いのに、真面目でいい人だったと皆さん口を揃えていました」

 だからもうやめましょうと有村ありすは続ける。

「オーナーはもう知っていたんですね。だからあなたをクビにしようとした」

「仕方ないじゃない」

 村本美月は声を震わせる。

「オーナーは金目当ての、ただの事業者と同じ。猫のことを全く考えていない。だから安易に保護猫を拾ってきては、カフェで収益をあげようとしているだけなの」

 こんなバカげたことを繰り返していたら猫たちが可哀そうだと訴えた。

「何度もオーナーには言ったわ。だけど聞き入れなかった」

 だから村本美月は行動に移したのだ。

「私、後悔なんてしてない」

 それが猫たちのためだったからと零す。

「それでも手段を間違えたかもね」

 悪いことをしていると理解はしていた。

 だけど認めたくなかった。

「ごめんなさい、なんて言わない」

「それが村本美月さんの答えですか」

 有村ありすは残念そうな口調で問う。

「もちろん責任は取って、バイトはやめる」

 大好きな猫たちのためとはいえ、犯罪だと自覚はしているのだろう。

「これで十分でしょ」

 きつい口調で吐き捨てると彼女は猫たちを撫でる。

 これが最後の別れとばかりに。

「最後に寒川さんにアドバイス」

 あなたはいい人だったから教えてあげると笑う。

「じっと見つめてるから怖がられるの。本当は動物好きでしょ」

 その一言から彼女も悪人ではないのだと実感する。

 ただ手段を違えただけで、一人の人間として。正しいと思ったことをしたのだろう。

 ただやり方を間違えただけで。

 やはり、悲劇は苦い残り香を残していた。

 温かなコーヒーの香りが少し、ほろ苦く感じた。


「寒川パイセン、なんだかアンニュイだねえ」

「それはなあ」

 久しぶりに事件が終わり、穏やかな時間が訪れる。

 有村ありすの部屋は整理整頓したし、グリューワインと自家製ガトーショコラがある。

「やっぱりパイセンは私専属の料理人になるべきだねえ」

 全く儲からないのでそれは拒否する。

「サービスでやっているのであって、仕事にはしたくない」

「仕事って向き不向きあるもんねえ」

 確かにそうだ。好きなことを仕事にしても村本美月のように道を違えてしまうこともある。それを考えると天職とは何かと考えてしまう。

「寒川パイセンのお仕事はねえ」

 探偵有村ありすの助手だよと告げられる。

 それが嫌でないのだから、俺も大概だ。

 探偵有村ありすにできることは少ない。

 事件を解決しても、幸せが訪れるとは限らない。

 だけど。

 探偵だからこそ、できることもある。

「ありがとう」

 助手だからできたこともあるんだろうか。

 そうだとしたら、いいな。

 救いのない世の中で、少しでも何か変えられるのか。 

 信じたかった。

「ということだから私は寝るよお」

 グリューワイン片手にソファに寝そべる有村ありすの緩んだ表情を見た。

 彼女も悩むことがあるだろうか。

 その時は知る由もなかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  2話も拝読しました! とても興味深くて、面白かったです!  保護猫関連については、リアルでも、どの方も善意で対応しているのに意見の対立があったりして、難しい問題だな~と思います。 [一言…
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