これは何ですか? 特に意味はないんです。
やあ、また来てくれたんだな。まあゆっくりしていってや。
おれと、女聖騎士団長こと、ジャンヌさんとの出会いはあの夏の日・・・。
蒸し暑い、せまっ苦しい、えらく質素な部屋のこれまた質素な魔法陣の中だった。
対面後の印象。真面目そうだが、未知な奴って感じだ。というか、魔術師でさえないじゃねえか。
なんだこの女。変わったヤツ。しかし、人間の基準でいったら美人なんだろう。
おれ「ほう。おれほどのものを召喚しやがるとは。大したやつだな。」
ジャンヌ「それは光栄だ。貴殿はラムザ殿で間違いないだろうか?」
ふうん。話し方も今はやりの淑女って感じじゃねえな。まあ、定番のカマかけからいってやるとするか。
「まさにおれだ。君の名は」
「私はジャンヌだ。私にはやり遂げたい事がある。君の力を貸してくれないだろうか。」
すっと前に歩み寄り、優雅な仕草で手を差し伸べられた。
「まあ、それはお互いを良く知ってから、返事をさせてもらおうか。それでいいな?」
「もちろんだよ。こちらとしても、君の事は文献で知り得た程度しか、分からないわけだし。
ひとまず、よろしくお願いします。」
ラムザ「ああ。よろしくされました。」
笑顔でいったものの、彼女の能天気さと愚かさにいら立っていた。
命は大事にするもんだぜ。
この時点で、彼女は三つの禁忌を犯している。一つは名を名乗った事。もう一つは召喚の魔法陣の中から
外へ出たこと。さらには歩み寄りの姿勢で立ち位置を定めなかった事。
まあ、あれだ。聞き覚えのないやつもそれなりにいるだろうから、分かりやすく言うと、だ。
魔術師の真の名を召喚した悪魔に決して教えてはいけない。魔術師が悪魔に対しての攻撃手段を失うからだ。
精確には98%、召喚者から悪魔への攻撃力が減少する。
お次の禁忌は隷属の儀を終えていないのに、魔法陣の外に出たという事だ。魔術による防衛が上手く機能しなくなるからだ。
止めとばかりの3つ目の禁忌。それは言わずもがな。これから支配をし、こき使う相手への低姿勢。
これから入って、信頼関係でも作っていける。そう思っているやつは愚者の中の頂点で間違いない。
裏切られるのが目に見えている。もちろん、おれも最初はそのつもりでいたさ。
だが、彼女の話す内容はそれなりに興味深いものだった。
この小娘とやらは、「私は魔王を討伐する!」
そう言ったのだ。
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時はながれ、今おれのひざの上で飲んだくれの女聖騎士団長さまが、ぐちを言いながら、なき上古
ときやがる。勘弁してくれ。あの時あの場所のお前の輝きは何処へやら、だ。
「ラムザ~。1分だけ。相談よろし?」
ああ。これは1分が体感で計算されるやつだな。
「ああ。いいともさ。ちょ、待った。右手がミシミシいってやがる。分かった。いいっていってるだろう?」
ふう。やっと右手が解放された。まったく、酔っ払いは手加減してくれないから、困っちゃうぜ。
「ご、ごめんなさい。あなたを傷付けるつもりはなかったの。ごめんね。」
ヒール
ピヒャ~・・・。や、闇属性に聖属性の回復魔法は、いまいち効かないというか、不快感を感じる。
「や、やめ~い。は、早く話せ。」
どうだ! この大人の対応。ふ、小娘相手だと、いつも調子狂うんだが。持ち直せた。
「ラックが、ラックが。」
この後、小一時間ばかり、長話しされた。
小娘の話をだいぶ省略すると・・・、
この小娘の片思い中の王宮騎士団もぶやろうにとうとう彼女ができたんだとか。
王宮の資料室へ今季の騎士団の保険金の予算確保申請へと、大義名分をへてほくほくと向かって
いるところ、いつものように、ラックは通路ですれ違いざまに小娘にあいさつをした後、同僚に
それは嬉々とした様子で、彼女ができたと報告していたんだとさ。
「どうせ、私なんか。ラムザはどこにも行かないで~。(涙)」
ミシミシっ。ちょ、肋骨が、肋骨がおれではなく、骨が悲鳴を物理であげている。
「分かった。もうほどほどにしろ。な?」
「うん。いつもあり、が・・・と。」
やっと小娘を寝かしつけ、おれはやつをベットに放り込み、闇に溶けた。
ねえ。誰か。小娘を嫁に貰っていただけないだろうか?
永久持続のステータスダウンのデパフで何とか貴殿らの世界でいうとこのオリンピック選手並みには
抑えこんでみせるから。お見合いでも可。
ラムザ彼は、上位の悪魔ですが、上位の最底辺、まあ中の上というやつです。まあ、そこそこのベテランですが。
*いわゆる自称エリートさんです。いじめちゃメッですよ? byコカマキリ




