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サムライは異世界に行った  作者: @METAMETA
第一章 源次郎とゲンジ
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油断大敵 ゆだんたいてき

油断大敵 ゆだんたいてき

 注意を少しでも怠れば、思わぬ失敗を招くから、十分に気をつけるべきであるという戒め



 あれから1か月くらいたった。


 俺はゲンジの今まで通りとして、日々学校に通い、給食を別容器に詰め、誰とも言葉を交わさず、実技に参加せず過ごした。


 もう給食を持ち帰る必要はないのだが、ゲンジに敬意を表し続けている。そして武具を調達した。冒険者ギルドには行かず道具屋に注文した。俺の注文に道具屋は戸惑ったが、大金を積み、先払いすることで注文を受けてもらった。金はほぼ尽きたが必要経費と割り切った。


 学校帰りは森に入り、食用になる鳥や猪を仕留め、俺たちのタンパク源とした。

 自分達で食いきれない分は近所で野菜と交換し、バランスよい食事になるよう心掛けた。二人とも随分血色がよくなり身なりも改善した。


 妹は随分な俺の変わりように最初は戸惑っていたが、明るく活発なゲンジから、表情が消え声も発さないゲンジと大きく変わったところをみているので、今の違和感のある俺にも慣れたようだ。


 俺は前世の鍛錬を朝に行い、感覚を仕上げていった。体裁きや技は以前通りまで戻っている。前世での瞑想鍛錬でやっと触れることのできた根源力だが、ここでは力の海に浸る感じで、向こうから俺の隅々まで浸透していく。


 妹が寝た後、一般人が入れず、管理が甘くなる夜の学校ダンジョンに密かに潜り、レベルアップと魔石の採取を行っていた。


 売却は念のためギルドにいかず、武具作成を受けてくれた道具屋に卸している。例の五人組は、密かに俺に懸賞金をかけ黒いローブと顔に文字と記号が描かれた手配書を作っていた。


 俺も見たが顔の記号はまあ似ていたが、顔は全然似てない。奴ら知能もそれなりだった。しかし、シンジというギルド職員だけは油断できないと感じた。彼の記憶から消えるまで、念には念を入れしばらく近づかないことにしている。


 俺のレベルはクラス平均の10までは上がった。相変わらず読めないスキルXが並んでいる。まあ、前世の能力が発揮できる俺にレベルなどもう関係ない。


 名前:ゲンジ

 レベル:10

 ステータス:攻撃力:8→16、守備力:2→4、身体活性:5→10、精神力:10→20、魔力:2→4

 スキル:アイテムボックス:2→6, 身体強化:3→5, 剣術:5→10

 スキルX:"噂浬欺"μ→ν、"圭構蚕"μ→ν、"十申曾"δ→η、"箪貼能"ε→η、"表暴予"ν→ε、"禄兔喀"ν→ε、"媾彌拿"δ→η"充深措"μ→φ、"綵臀藹"δ→η、"慾處嘶"α→α、"觸軆鐔"α→α


 交流戦を終えれば卒業だ。

 この第五学年の交流戦は外部にも公開され、上位、下位の冒険者クランがスカウトのためやってくる。

 ここで優勝した者達が首席卒業となり、ミスリスという魔力に反応する特殊な金属インゴット6組を賜る。同時にCランクとして登録される。これは上位の冒険者ギルドを利用できるランクである。皆この武具とランクを目指し学業に励んでいるのだ。


 俺は一人での参加である。最大6名というルールで人数を揃えることを含め戦いは始まっている。


 昨年は、ソロのゲンジは第一回戦で瞬殺され、このチームが楽に第二回戦に進んだことから、学校に“公平ではない”とのクレームがあったようだ。

 もちろんゲンジが一人ということではなく、ゲンジに当たったチームが楽に一回戦を突破することに対してだ。


 第四学年の優勝者はカーズ率いる男女6名のチームだ。カーズのチームは全員レベル20であり学年の中では突出していた。


 準準決勝までは学校の闘技場、準決勝から一般開放された街の闘技場になる。ルールは基本的に冒険者の“決闘”と同じで、殺さない限り何でもあり“参った”と言うか、意識が飛べば負けである。

 殺されなければ、そばに控える上位の回復術使が回復する。手が切り飛ばされようが、足が吹き飛ぼうが元に復元可能だ。


 交流戦1回戦は昨年準決勝まで進んでいる男女6名のチームであった。学校では雰囲気の変わった俺を警戒するようなそぶりの奴もいたが、ブレずに関わらないを貫いていた。

 実技もほぼ参加せず眺めていただけなので、今の俺の実力を理解するものはいない。俺に対峙する目の前のチームは前衛3、後衛2、指揮1の隊形で前衛は槍2、剣1、後衛二人はロッドを構えていた。


『いいか、油断大敵、ここでは連携の最終確認をするぞ、2-4-1でヤツが強力なアタッカー1と想定して戦うんだ。奴を中段の4から孤立させ包囲する、訓練通りを確認するんだ、後衛魔法から行くぞ』


 わざわざ、初動を声で伝えていた。俺にも聞こえるのに・・・。俺は突っ立っていた。

 教官の号令と共に、火の魔法が2本飛んできたが、そのまま突っ込みながら躱し、驚愕の表情を浮かべた前衛3人の後頭部を拳と足で撃ち、そのまま踏み込み後衛二人の腹を突き、指揮の男の首にボックスから出したナイフを突きつけた。


『ま、参った』


 指揮以外はその場で延びていた。


『勝者ゲンジ』


 ギャーギャー言っている指揮の男と、ざわざわする会場を抜けた。2回戦も6人組で最初から俺を囲むような隊形から始まったが、同じように顎を撃ち、全員気絶させた。

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