白雪 未琴の苦悩、そして転生
(あぁ…またこの感じだ…)
最近こんな夢をよく見る
特別何かあるわけでは無いのだが、かなりの頻度で何も起こらない夢を見るのは億劫ってものだ
私は白雪 未琴。
少し前まで普通のサラリーマンだったが、以前の会社であまり成果を出せなかった私は二ヶ月前、思いきって会社を辞めたのだ。
正直仕事をやめただけでは、劇的な変化は無いに等しい、それに今は次の仕事を探し、コンビニ等で見つけた求人雑誌を手当たり次第見ては捨てる、見ては捨てるを繰り返していた。
そんないつもと変わらない日常、今までも、そしてこれからもなんら変わらないと思っていた。
そんなある日、とある出来事が起こった
目の前で引かれそうになっている子供を助けようとしたところまでは覚えている、が…
「気づきましたか?」
「うわっ!?なにっ!?」
私の真後ろには天使の様な…いや、綺麗な真っ白の羽根も生えてるし、天使のわっか?っぽいものもあるし…
はっきり言おう、モロ天使!っていう見た目だ
「あなたのお名前はなんですか?」
と、天使の子に聞かれたので私は内心戸惑いつつも
「し、白雪未琴…です」
と答えていた。
考えてみれば私は今さっきまで夢を見ていた筈だ、あのなんとも言えない浮遊感のする夢を。
ならばなぜ今で私はtha天使ってカンジの子と話しているんだ?
だめだ、考えれば考えるほど疑問が増えていく…
「どうかされましたか?すごく悩んでいるご様子でしたが…」
「あ、いえ…えっと…」
私はしどろもどろに質問を口にした。
「聞きたいんですが…ここはどこですか?それにあなたは?私は死んだんですか?」
「あぁ、その程度なら全て教えて差し上げましょう♪」
そこから私は、天使の子の説明を聞いた
簡単にまとめると…
・私は今、魂の狭間という場所にいるということ
・天使の子の名前はクロム=ヘリエスということ
・私は子供を助けた際、車に接触し死んでしまったこと
とまぁかなり現実味のない話だな…
だがここにとどまっている以上、私に対して何かあると思うのでひとまずもう一度質問をすることにした。
「どうして私は、その…天国とか黄泉の国っぽいところには行かずにここにいるんですか?」
「それはあなたが勇者としてふさわしいと私が睨んだからです。」
天使ことクロエは笑顔で言いはなった
「え?ちょっと待ってください!言いなり勇者とか…そもそも私女ですよ!?前世もしがないサラリーマンでしたし…」
「その辺については問題ありません。転生するものには我々、聖天使連合から特別な力、"スキル"が与えられます。」
…だいたい状況は理解した。
要するに私は別の世界に転生し、その際、クロエの所属する"聖天使連合"とやらから"スキル"がもらえるらしい。
だがもっとも重要なのは…
「転生するのはオッケーですが、その異世界とやらはどんな世界なんですか?」
「元々はとても繁栄していて、とても平和な世界だったらしいのですが…」
次のクロエの言葉を聞いた時、私はひどく後悔した
「今は大規模の"ERROR"が起きています♪」
…あぁ、私の冒険は長くなりそうだ