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第三十八話 組織の空気感

男「ーーーう〜ん。ん……あっれ??」


目が覚めるとそこは、異様な物に溢れた部屋のそのソファーの上でこの俺、赤鳥の意識は覚醒した。


赤鳥「なっなんだここは……?なんだか奇妙だな??」


??「おや?君にはこの部屋は満足いただけなかったかな?」


赤鳥「っ!!?……その声はまさか!」


ノール「今回は散々な目にあったね赤鳥くん。元気になってるかね?」


聞き間違えることなど許されない、俺の尊敬する人、ノール様がそこにいた。


赤鳥「なぜノール様がここに!というかここはどこなのですか!」


ノール「ここは本部の医務室さ、そして君は今私の手によって復活したのだ」


赤鳥「そうだったのですね。わざわざ復活させていただきありがとうございます!」


ノール「別によい、それで傷の方はどうかね?」


赤鳥「傷ですか………ん?」


そういえば俺、あの双剣野郎に真っ二つに切られて胴と脚が別れたはずなのに、どうして生きれているんだ。


ノール「君の体をくっつけて魂を体に戻すのはだいぶ骨が折れたよ。今では、この肉体もそろそろ限界だ」


赤鳥「大丈夫なんですか!」


ノール「案ずるな、代わりの依代はまだある。それより、君はこれからも組織の役に立ちたいと思うかね?」


そんな質問に、俺はこう言った。


赤鳥「当たり前じゃないですか!当然役に立って見せます!」


ノール「ククク、では君に一つ提案があるのだが?」


赤鳥「提案……ですか?」


ノール「あぁそうだ。ひとまずは聞くだけで構わない。選択は君に委ねよう、これを聞いた上で改めて答えを聞かせてもらいたい」


赤鳥「はい!わかりました」


ノール「いい返事だ。クックック……さあ、ついてきたまえ赤鳥。君の選択の結果がこれからの我らの未来を左右する」


そんな何処か重いようで陽気な空気感に、俺は不思議と興奮していた。まだこの俺がノール様のために働けるのであれば本望。たとえ、また死ぬことになろうとどこまでもついていきましょう。全ては、貴方様のために!!その決意を胸に強く抱きながら、ノール様の後ろをついていくのだった。


□□□京太視点


あの後、田中とレイと別れた俺はまだ本部の中を散歩していた。あらかたいろんなところ巡っては見たが、まあ広いのなんのなんとも凄いところだ。すると、近くの扉の奥から大勢の声がするのを感じて近くに来てみると、ドアの隙間からなんとも良い匂いが鼻腔をくすぐった。その匂いにより、俺の腹の虫も泣き始める。


京「そういや、あれからなにも食ってなかったな。丁度いいし、適当になんか食わせてもらうとするか」


少し図々しい気もするが今更だなとも思ったので、気にせず俺はその中へと入っていく。


灯嶺「嫌だ!!」


中に入るや否や、そんな拒否の声が辺りに響き渡った。


クレア「こーら、灯嶺。私の皿に野菜ばっかり移すのやめなっていつも言ってるでしょ」


灯嶺「苦手なのよ、食感といい味といい。好きになれないのよこれに」


クレア「じゃあせめて肉は食べなよ」


灯嶺「肉は脂っこくて好きじゃない。鳥ならいいけど。というか、アンタらはよくこんなの食べれるわね」


クレア「いやそれが普通だし」


灯嶺「ていうか料理長ー!!」


料理長「はっはい?!」


灯嶺「私いつも言ってるよね!脂っこい肉と野菜は出すなって!!魚にしてって!」


クレア「灯嶺。リーダーだからって料理長を困らせないの。料理長だって、毎日三食かかさず仲間のご飯を作ってくれてるのよ。トップがそんなカッコ悪い我儘ほざいてていいの?」


灯嶺「あ〜もう、うるさいわね!毎回同じ説教ばかりして!苦手なものは苦手なの!緑嫌い、脂は敵!」


京「……ガキかお前は」


あまりに子供っぽい彼女の言葉に嘆息する。


灯嶺「……っ!?アッアアアンタ、いつの間にここに!?まさか、さっきの聞いて」


京「知らないね〜、革命軍トップの我儘なんか俺は一ミリも聞こえてねえぞ〜」


灯嶺「バッチリ聞いてるじゃない!!くそー!仲間に知られるならともかく、よりにもよってコイツにバレるなんて最悪なんだけど〜!」


クレア「まあまあそう落ち込まず、これでも食べて元気だしな」


灯嶺「うん……って、これ牛肉じゃない!!どさくさに紛れて食わすなバカ!」


クレア「ちぇっ、バレたか」


コイツらマジでなにやってんだ??と、思わずにはいられなかった。


クレア「そういえば、モルモットくんはどうしてここに?」


京「もはや隠す気すらねぇな……」


ナチュラルなモルモット扱いに一ツッコミを入れつつ、答える。


京「いい匂いがしてきたから、ご馳走になろうと思ってきただけだ。丁度いいし、ここに座ってもいいか?」


クレア「あぁ。別に構わないよ」


京「んじゃ、遠慮なく。……料理長ー?オススメ一つ頼むわ!」


料理長「へっ……あっはい!ただいま」


灯嶺「……うちは飲食店じゃないっつの」


慣れた感じで俺が注文すると、それを見た灯嶺は嘆息しながら呆れた目でこっち見てくる。俺はそんな灯嶺を無視して今日の晩飯にありつくのだった。


□□□


京「なあ、お前らってなんで革命軍やってるんだ?」


食事中、ふと気になったので灯嶺にそんなことを聞いてみた。


灯嶺「なんでってそれは、この国がおかしいからよ。あなたも実感してるでしょ。この国の情勢、政府、方針がどれだけ狂っているか。能力至上主義……その人の能力や実力がものをいう不平等で弱者には生きにくい世界」


クレア「そんな世界をどうにかしたいと動き、集まったのが我々革命軍ってわけ。最初は、灯嶺を先頭に私と田中の三人で動いてた組織だったの。でも、各地を転々としていくにつれ仲間も増えて、これだけの組織に成長したってわけ」


京「へ〜〜…これが当たり前の世界で、よくおかしいと気づけたものだな。ゴクッ。それだけ、なんらかのキッカケがあったんじゃねえのか?」


灯嶺「……あなたの質問には答えてあげたわよ。これ以上は、言いたくないことだから。それじゃあ、今度は私から聞きたいのだけど、いいかしら?」


京「かまわねえよ」


灯嶺「それじゃあ、単刀直入に聞くけど……。あなたの出生について、教えてもらっても?」


京「……」


まさか、そんなことを聞かれるとは思ってもいなかったので、食べ物を取る箸の手が一瞬止まった。


灯嶺「あなたのことを調べなおさせてもらったわ。詳細な情報を集めるのに結構苦労させられたけど。あなたが言いたくなかった過去のことまでしっかりと調べたわ。ただ、そこまで調べても出てこなかった情報があったの」


京「なるほど、それで出生か」


灯嶺「そうよ」


京「悪いが、それについては俺も中のアイツも知らないことだ。言っておくがこれは本当のことだ、俺が生まれたのは後だし、京太アイツも一ミリだって知らない」


実際、知らないのは事実だ。こいつは、物心ついた頃から親はいなかったらしい。ただ、周りにそれを世話する人間がいたらしいので、孤児院見たいなとこで育てられていたのだろうと俺は思っている。


灯嶺「そう。話してくれると期待してたのに、知らないのね」


京「そういうことだ。聞きたいなら別のことにしてくれ。多分、答えてやれる」


灯嶺「そうね……じゃあ。貴方と間宮という女性とはどういう関係性なの?どうして、彼女は政府に加担している?」


京「そこまで調べたのか……。アイツとは小さい頃からの仲で妹と一緒に育ててもらってたんだ。所謂、家族みてえな関係だ。といっても、俺もあまり彼女のこと知らねえけどさ。……でも、政府への加担は彼女の本意ではないということだけは確かだ。きっと、どこかのタイミングで目にもの見せようと考えてるだろうさ」


灯嶺「……そう。じゃあ、今のところは私たちの仲間と捉えて良さそうね。アンタの言葉にも嘘はなさそうだし」


京「えらく俺を信頼してるんだな。嘘の可能性だってあるのによ」


灯嶺「あなたは最初の時も正直に話してくれたでしょ。そこはあなたを信頼しているの。まあ、前もって間宮も調べていたからというのもあるけど」


京「……それ、信頼してるって言えないだろ?」


と、俺はそう小さくツッコミを入れて、食事に集中するのだった。


□□□


数時間後。食事も終わり腹いっぱいになった俺は、そろそろと思い彼女たちのいる部屋に向かった。すると、二人もそいつらに用があるらしく一緒に行くこととなった。


クレア「そういえば私も聴きたいと思ってたんだけどさ。間宮って機械関係とか得意よね?」


京「まあ、そうだが。それがどうかしたのか?」


クレア「やっぱりー!実は私、ロボとかメカとかが好きなんだよね」


京「あー、そうみたいだな」


クレア「この組織には、そういうのに長けた人が私以外にいないのよね。だからさ、そういう共通の趣味の人が前から欲しかったんだー」


灯嶺「そういえばアンタ、そういう友達とかいなかったものね。なんだかんだ世話焼きなアンタは、いつも私たちと絡んでばかりだったし」


クレア「田中も灯嶺もどこか抜けてるんだもの。しょうがないから、私が世話してやってるの」


灯嶺「いや、世話された覚えがないのだけど?」


クレア「してるわよ?アンタはリーダーとしてのカリスマはあっても、よく抱え込むし好き嫌いは多いし」


灯嶺「好き嫌い関係あった?!」


クレア「田中は意外といろんな人信用しがちだし、甘焼かしすぎなとこあるしで。ほんとに、私がいないとダメなんだから」


灯嶺「アンタもアンタで、好きなことしてる時は周りのこと考えず自分勝手になってるじゃない。私らにダメ出しする前に自分を直しなさいよ」


京「……案外お前ら楽しそうに過ごしてんだな」


二人のそんな仲睦まじい光景を見ながら、俺はそう呟いた。俺にはそう言った友達がいなかったので、いまいち良さがわからないが、楽しそうなのは伝わってくる。

えっ、橙子は友達じゃないのかって?別に、アイツはただの口煩いおかっぱ野郎としか思ってねぇよ。つーか、今頃なにしてるんだろうかね橙子の奴は。


灯嶺「あっ、そうだ京太。実はアンタの耳に入れておきたい話があるんだけど」


京「ん?」


灯嶺「私の仲間が手に入れた情報なんだけど……」


灯嶺はそう言って、俺にそれを話した。

その内容を聞いた俺は、まさに悪人と言わんばかりの不敵な笑みをしながら、こう呟くのだった。


京「へ〜……なるほど。こいつは、楽しくなりそうだ」


……と。

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あと、Twitterを「甘堕乱」という名前でやってます。よければそちらも見に来てください!

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