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第三十一話 二人だけのおでかけ

遥香「うわぁ〜…凄い」


目の前に映る迫力のある街の景色に魅了されたのか、遥香は子供のような輝きをその目に宿していた。


京太「久しぶりの外だから気持ちはわかるけど。はしゃぎ過ぎてどっか行くなよー!」


遥香「さ、流石にそこまでにはならないよ!」


今の時刻は午前10時ごろ。

僕たちは今、学校側から許可をいただき少し遠くの方の都会まで遊びにきていた。どうしてこんなことになったのかと言うと……それは遥香が一緒に寝てくれた、その翌日まで遡る。


□□□数日前


間宮「んで、結局断られたと?まあ、それが彼女の意志ならそれはそれでいいんだけど……私としてはめんどくさいわぁ」


京太「なんかすまん」


間宮「別に謝られることじゃないわ。なんならこの結果は予想できてたから」


京太「流石だな間宮」


間宮「当たり前よ。なんせ私は、天才なんだからね!」


京太「……いきなりどうした?普段そんなこと言わないのに」


間宮「言ってみたかったのよこういうセリフ!そんなことより、他には??まだ私に言いたいことがあるんじゃない?」


京太「話が早いな。もしかして、先読みの能力でも作ったのか?」


間宮「さぁね。まあ、作れなくはないけどさ……」


と、隙あらば自慢をする間宮。とりあえず、もう一つの要件について尋ねる。


京太「さて、要件についてなんだが……。簡単に言うと、外に出たい」


間宮「はっ??」


そんな素っ頓狂な声を上げる間宮。

僕はそのまま話を進める。


京太「やっとの思いで僕は遥香と打ち解け、信頼する一人の人間として認めてくれるようになった。だから、これを機にちょっくら学校の外に出して気分転換でもさせてやろうと思ってな。もちろん、この話は遥香とも相談して了承を得てる」

「ずっと屋内にいたって、溜まったものを吐き出せないだろ?……どうかな?」


間宮「ふむ……」


京太「もちろん、遥香がまたあの奴らに狙われないとも限らない。だから、僕も一緒に行く」


間宮「まあ、君がいるなら特に問題はないが……学園長がそれを許すかどう……か」

「まあ、なんとかしてみるよ」


京太「ありがとう!」


間宮「そのかわり………」


京太「……?」


あの後、交渉する代わりにあることを頼まれた僕は、彼女のお願い通りのことをやった。まあ、簡単な作業だったからよかったけどな。


□□□


と、いうことだ。

未だ、どうして僕にあんなことを頼んできたのかは知らないが。間宮の考えることだ、信用しよう。


遥香「京太さん!」


京太「どうした遥香?」


遥香「あそこの、クレープとはなんですか?」


京太「ほお、クレープか」


遥香「クレープって、食べ物なんですか?」


京太「うまいぞ。しかも、包むものによってはあま〜いものにもなる」


遥香「………(じゅるり)」


横目に彼女の方を見やると、まるでお腹を空かせた子供のような顔ではしたなく口の端から涎を垂らしていた。


京太「食いたいのか?」


遥香「えっ!?いいんですか?!」


京太「あぁ、金だけは使わな過ぎて割とあるからな。なんでも頼んでいいぞ!」


遥香「やったぁー!なににしようかな〜」


…これで18歳の成人女性……か。なんとなく感じてはいたが、彼女には一般的な教養やものをあまり知らないようだ。

白崎姉妹の境遇は少し僕と似ている部分があるのはわかるが、詳しい内容までは流石に本人達に聞かないとわからない。遥香はきっと話したがらないだろうし、姉の方は未だ目覚めてないみたいだし、聞きたくても聞けない状況だ。

……まあ、ゆっくり待って聞けばいいか。今急いで聞きたい話というわけでもなければ今後に関わってくる情報というわけでもない。だったら、もう少し後でもいいだろう。

……と、僕はそう思ったのだった。


遥香「んっ!……美味しい!」


京太「よかったな」


警戒されてる時は猫みたいに体をそって睨んでいたが、このはしゃぎようと嬉しそうな顔を見ると犬みたいに思えてくる。美織とは似ても似つかない性格の違いに、僕は少し呆れ気味にそう思った。


遥香「こんなに美味しいものが外にあったなんて、もしアソコにずっといたら一生気づかなかっただろうなぁ」


京太「アソコ?」


遥香「いっいや、なんでも……」


その発言が少し気になった僕だったが、せっかくの楽しい雰囲気を壊すわけにもいかなかったので、あえて触れずにそっとしておいた。


遥香「あっ!」


京太「ん?どうした?」


遥香「ねえ見てよ京太さん!あんなところに白くて大きくて綺麗なお城があるよ!」


京太「あー、あれか。あそこは未来の国っていう遊園地だよ」


遥香「ゆう、えん…ち??」


遊園地も知らないのか。これは、だいぶ夢も希望もない環境にいたんだろうな。


京太「遊園地ってのは簡単に言うと、大きな遊具がたくさん揃ったお金のかかる公園みたいなところだよ」


遥香「へー……なんだかすごく楽しそうなところだね!いつかいってみたいなぁ…」


京太「また機会があれば次のお出かけの時に連れてってやる」


遥香「本当に!?約束だからね!」


そう言いながら、可愛らしく僕の目の前に小指を突きつける遥香。僕はその小指に僕の小指を絡ませて……。約束の契り……指切りをした。


遥香「破ったら許さないからね」


京太「あぁ、絶対守る。……よし、それじゃあ行こうか」


手に持ったクレープを食べながら、僕らは歩き出す。


□□□


そうして僕と遥香は、いろんなところを巡った。ショッピングモールに行ったり、ゲームセンターに寄ったりと彼女が楽しんでくれそうなところにたくさんリードして遊んだ。その都度、彼女は僕に嬉しそうに感想を述べては、屈託のない笑顔を向けてくれた。

こんなにも喜んでくれるなら、外に出てきた甲斐があったというものだ。


男性1「にしても、最近のこの国は危なくてしょうがねえ」


男性2「これじゃあ安心して残業どころか夜で歩くのも嫌だね」


男性1「能力者は人口の7割以上もいるってのにな、何のための国の兵器だよ」


男性2「まっ、俺たちもその7割の内の能力者だけどな。まあ、戦闘向きじゃないから俺らはこうして会社員やってんだけどな」


男性1「あー、政府は何やってんだか。防衛能力省が出来てから長いが、これといって役に立ったかねー?」


男性2「無能力者はいいよな、能力がないから狙われなくて……。ま、流石にあんな底辺な奴らにはなりたくないがな」


男共「あはははははははは!!!」


京太「………チッ」


遥香「ねっねぇ……凄く怖い顔になってるけど…?」


京太「気にするな。野郎のクソみたいな小言に少し気が立っただけだから……」


と言いながら、男二人の方を鋭く睨みつける。男二人は、僕の圧がよっぽど効いたのか、そそくさと退散していった。

京『お前でも、殺気とか出せたんだな』

京太(バカにしてるだろ。僕も昔は戦闘を避けるためによくこの手を使ってたよ……。まっ、どれも骨のねえ奴らばっかだったけどな)

あそこの環境に比べりゃここは貧弱な奴らばっかりで平和ボケした人たちばっかりだ。だから敵組織に容易に狩られるんだろうけど。


京太「そういえばだけど」


遥香「……ん??」


と遥香の体をじっと見ながら、僕は思ったことを口にする。


京太「せっかくだから遥香、服を買いに行こう」


遥香「服、ですか?」


京太「そ。ずっと黒コートのままだと目立つし、なによりお前にとっては辛いものだろ。だから、買いに行こ」


遥香「…そうですね。はい、わかりました」


京太「よぉーし!そうと決まれば、この京太兄ちゃんにまかせなさーい!いいのを選んでやるぜ!」


遥香「大丈夫なんですかー?」


京太「大丈夫だよ、多分……」


そんな会話をしながら、僕らは呉服屋を目指して再び歩き出したのだった。


□□□数時間後


店員「ありがとうございました」


京太「すまんな。あんまり良いセンスしてなくて……」


遥香「だっ大丈夫ですよ、そんなに気にしてないので」


とりあえず彼女に似合うものを僕なりに選んではみたのだが……どれもダサくて……。結果、店員が選んでくれたものになった。どうやら僕にはファッションセンスというものがまるで皆無だったようだ。


京太「にしても、その服で良かったのか?」


遥香「はい。それに、“似合ってる”って言ってくれてたし……」


京太「実際すごく似合ってたしな」


今の彼女の格好は、控えめに言っても可愛い。いや、あのままでも十分可愛いのだが、一層可愛さに磨きがかかった。

まず、下が隠れるほど丈が長いグレーのパーカーに、膝上までの黒のショートパンツ。首には僕が選んだ花柄のネックレスを身に付けている。

せっかくなので自分もツバのついた帽子を買って被っている。髪は邪魔なので仕方なく結ぶことにした。

髪を結ぶのなんて何年振りだろうか。


遥香「京太さんもその帽子、似合ってますよ!ポニーテールもカッコいいです!」


京太「そうか?まあ、僕も髪長いからな」


遥香「同じ髪色なのもあって、なんだか兄妹みたいだね」


京太「そうだな。確かに言われてみれば色そっくりだな。つっても、まだお前は毛先とかに元々の色が残ってるけどな……薄くなった紫がよ」


遥香「そうですね。…そういえば、京太さんのそれって地毛なんですか?」


そう問われ僕は、答えるかどうか迷った。すこし考えて……僕はこう答えた。


京太「違うよ」


遥香「えっ!?そうだったんですか!」


京太「あぁ、僕の元々の髪色は青色でな。これでも結構鮮やかな色してたんだ」


遥香「へ〜、じゃあ目の色と同じだったんですね京太さんの髪は」


京太「あぁ」


遥香「因みに、どうして髪の色がなくなったんですか?」


京太「……僕も1度だけ能力を暴走させたことがあってね。その時に色素が抜け落ちたんだと思う」


良く覚えてないけど、間宮がそう言っていたのでそうなんだと思う。アイツは誰よりも能力に詳しい人間だから、まず間違いないだろう。


遥香「じゃあ、私の髪もそれで落ちたのかな……?」


京太「そういうことだな。………そろそろ日も暮れてきたな。帰るか」


遥香「はい」


京太「よしっ……駅に戻るか」


そうして駅の方向に足を向けて歩き出そうとした……次の瞬間。

突然感じた嫌な予感と共に、まるでそこに待機していたかのようなタイミングで数名の黄色のコートを見に纏った人間とゴロツキたちが現れ、一斉に僕達を囲ってきた。


??「おっとっと……まだ帰るにはちょっと早いですよ、御二方?」


京太「誰かと思えば見たことある色のコートさんじゃないか…何の用だ?こちとらまだデート中なんだが」


ゴロツキ「悪いがそのデート、急遽変更させてもらうぜ」

「なあヘルキャスさん!あの女を捕らえりゃ約束の1000万くれるんだろう?」


ヘル「あぁ、もちろんだとも。働いた分の金はちゃぁんと払ってやる。だから、必ず捕まえろよ」


ゴロツキ「けへへー!こりゃ余裕だな。おーい、そこのお兄さーん!危ない目に遭わないうちにさっさと逃げた方が身のためだぜ」


京太「なるほど、尾行されてたってことか」


ゴロツキ「そういうことだ、お馬鹿さん」


京太「だったら……抜けるまでだな」


と呟いて、僕は咄嗟に遥香を抱き抱える。


遥香「へっ?!ちょっ……!」


僕は正面から猛スピードで敵の方へと突き進んで、そいつの顎目掛けて跳び膝蹴りをかます。


京太「あっよいしょー!」

ゴロツキ「あべし!?」


はい。一人ノックアウト。やけにガラの悪い輩なのに、見た目によらず弱過ぎるな。この程度ならBクラスの能力者だけでこと足りるだろう。問題は……あのコートの奴ら……だな。


遥香「あっあの〜……できれば降ろしてもらえないでしょうか?」


僕にお姫様抱っこされている遥香は、顔を真っ赤に染めながら恥ずかしそうにそう言った。


京太「あっわるい」


言われてすぐその場に下ろす。

次に僕は、彼女の頭に自分が被っていた帽子を被せる。


遥香「…へっ??」


京太「後で急いで追いつくから、先に駅に向かっててくれ」


遥香「でっでも!」


京太「安心しろ、誰もお前のところに行かせないから………早く行け!!」


遥香「……わかり、ました」


少し不安そうに答える彼女だったが、一応納得してくれたのか駅の方向に向かって走り出した。


ゴロツキ「逃がすかよ!」


京太「行かせねえよ」


瞬間。遥香に近づこうとする奴らを一人残らず潰し回る。もちろん、一瞬で全滅だ。あとは……


ヘルキャス「流石ですね。拍手を送りましょう」


京太「そりゃどうも」


と言って、僕はそいつらの方に向きなおる。すると、そいつらは一斉に巨大な炎の玉を頭の上に作り出し、放つ準備をする。


そして……。

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何卒よろしくお願いします!


あと、Twitterを「甘堕乱」という名前でやってます。よければそちらも見に来てください!

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