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第二十一話 圧倒

女「まさか、あなたも気を扱うことができるなんてね……驚いたわ」


京太「どうした?恐ろし過ぎて帰りたくなったか?」


口角を上げながら、俺は煽るようにそう言った。


女「まさか、そんなわけないでしょ。私は革命軍のリーダー……組織の中で一番強く頂点に立つ女。だから、そんな私が怖気付いて逃げるなんて事、ありはしないわ」


女は、真剣な面でそうキッパリと断言する。


京太「……そうか。それを聞いて安心したよ、こんなもんでビビられちゃぁ〜せっかくの楽しい気分が台無しだからな」

「俺は強い奴と戦うのが好きでな、あそこでは毎日喧嘩に明け暮れていたくらいずっとずっと戦っていた。街を歩いているだけで喧嘩を売られ、そして薙ぎ倒してきた。……でも、気づいたら俺は強くなり過ぎていた。だから嬉しいんだよ。やっと、骨のある奴と戦えることが!!」


女「あなた、どうやら筋金入りの戦闘狂のようね。頭のネジを何本かそこら辺に落としてきたみたいに狂いまくってるわ」


京太「そんな言い方しなくてもいいだろ??俺はこれでもな、至って正常な思考回路をしてんだぜ……??まぁ、ちょぉ〜と戦いが大好きな馬鹿だけどな」


女「バカって自分で言ってて悲しくないの?」


京太「バカで何が悪い??人間、少しくらい頭のネジが外れている方がちょうどいいのさ……俺みたいにな」


と言って、自分に向けて親指を立てる。


女「アンタの場合は外れ過ぎてるんだけどね」


あまりの俺の馬鹿さ加減に呆れたのか、目の前の女は重たいため息を吐きながら、再度俺の方に視線を向けた。


京太「……なぁ、女。そろそろ、アンタの名前を教えてはくれないか?お前だけ知ってて、俺は知らないなんて不公平だろう?」

「どうせ、お前のような奴は俺に負けてもしぶとく立ち向かってくるんだ。だったら、名前くらい教えてくれたっていいんじゃねぇか?」


女「わたしが…負ける???そんなイメージ、私が想定してるとでも?最初から勝つつもりなんだから、そんな事になるはずがないわ……でも、いいわ。名前だけでも教えてあげるわ」

「私の名前は空城灯嶺くうじょうあかね。私の名前を知れた事を誇りに思って大人しく倒されなさい!!」


と灯嶺と名乗ったそいつは、高らかにそう言うと、突然俺に向かって飛び出した。


灯嶺「はあぁぁぁぁぁーーー!!!」


声を荒げながら、猛スピードで突進する。女は空を飛んでいるため、自由自在に方向転換することが可能だ。だとすれば、どう動くかはいくつか目星はついてしまう。女と俺との距離がゼロに達すると、予想通りそいつは動きを変えた。見事なまでのフェイントで俺を翻弄し、背後に即座に回り込んできた。


灯嶺「ここだっ!」


確信したように俺に攻撃を加えようとする灯嶺の拳を、咄嗟の判断で避けて、向けてきた方の手を掴み取った。だが、彼女の手を捕らえたはずの手は、すぐに振り払われてしまう。ガッチリと掴んだ手を力ずくで引き剥がされたからか、手首がジンジンと痛む。俺は痛そうに手首を振りながら、こう言った。


京太「掴んだと思ったのに、凄い怪力してんな。これでも本気でやってんだけどな……」


灯嶺「これぐらいじゃなきゃ、私は最強を名乗ってないわ」


京太「なるほど。流石、革命軍のリーダーの名はだてじゃないな………だったら。どこまでやれるか試させてもらおうじゃないか」


灯嶺「その前に、絶対に潰す!!」


京太「おっ?急に口調が変わったな?まさかそれが本心か?」


灯嶺「いえ、これは私のいつもの口癖よ」


京太「そうか……よっ!!」


と言い終えてすぐ、俺は女に攻撃を仕掛けに向かった。俺は女の頭に向かって回し蹴りを放とうとした。だが、その攻撃は見事に空を切り、簡単に避けられた。すると、今度はその隙を突いて、女が攻撃を仕掛けにきた。女は俺との距離を一瞬にしてゼロにし、気のこもった拳や蹴りを間髪入れずに放った。だが、俺はそれをものともせず軽々と避けていく。時間が経つにつれて、どんどんと猛攻の勢いが強くなる。だがその攻撃は、一発も俺に当たることはなかった。

女の連撃をしばらく避けていると、急にソイツは飛行して俺から距離を取ると、周りにあった瓦礫たちを浮かせてこちらに飛ばしてきた。

俺は即座に守りの体制になるが、その瓦礫たちは見事に外れ、背後の壁を貫通していった。


京太「……外した?」


と思ったその時。急に俺の真上の天井が崩れ始め、瓦礫が貫通した壁などに大きな亀裂ができ始めた。同時に俺は理解した、この女の罠にまんまとハマってしまった事を。気づけば、俺は瓦礫に囲まれ逃げ場を無くしてしまっていた。


京太「まずいっ!?」


そうして………俺は、瓦礫の中に埋もれてしまったのだった。


□□□(灯嶺視点)


私が崩したところから、どんどんと壁や天井が崩れていき、やがてそれはあの男を飲み込んだ。私は、やっとあの男を捕らえることができたことに胸を撫で下ろしながら……


灯嶺「やっと、終わった」


と静かにそう呟いた。

余裕……というわけではなかったが、結構無駄に体力を消費してしまった。私は革命軍のリーダーをしているということもあって、革命軍の中では最強と言われている。いくら私が本気を出していなかったとしても、ここまで苦戦を強いられた戦いは初めてだった。まあ、結果的には勝てたのだから、過程を気にする事はないだろうがな。


灯嶺「……さて、そろそろアイツの身柄を拘束して、私もここの調査に加わろうかな」


そうして、私が瓦礫の下に埋もれた男の下に向かおうとした……その瞬間だった。

突如として、地面が一斉に揺れ始めた。


灯嶺「なっなに、とつぜん!?一体どうなってんの!!?」


私は、自分がバランスを崩してしまう前に即座に宙に浮かび、辺りを見渡した。けれど、周りにはそんな気配は見当たらず、どうすればいいかわからなくて困惑していると………。

とてつもない轟音が、辺り全体に反響した。音のした方向に視線を向けると、そこには……。男が埋もれた瓦礫の山の場所に、小さなクレーターが出来上がっていた。まるでそこに、小さな飛来物が落ちてきたのでは無いかと思うほどにそこは、激しくえぐれていた。


京太「………」


彼の青い眼光が、私がいるこの高さまで鋭く鋭利に突き刺さる。彼の立つその姿は、まるで強者の貫禄だと言わんばかりの風格があった。私は、直感的にこれに危機感を覚えた。ひとまず、彼から目を離さないようにしながら、徐々に高度を上げて私と奴との距離を離そうとした。空中にいれば流石に奴も攻撃はできないだろうと、その時の私はそう思っていた。


灯嶺「……えっ……??」


気がつけばそいつは、空中にいる私の眼前にまで来ていた。そして、器用に空中で体を激しく捻り、足技を繰り出そうとする。この瞬間を私は酷く困惑した。それでも、体は反射的にそれを避けようとする。だが、そいつはそれを許さなかった。

ドスッ!!

……瞬間。彼の強烈な足蹴りが、私の体を勢いよく地に吹っ飛ばされ、そして地面に思いっきり叩きつけられた。背中から見事に地に落とされたのだ。いつもならこんな攻撃、地面に着く前に勢いを無くしてしまえるところだが、この攻撃は訳が違った。あの男の暴力的な力技により、私はなす術なくその身を地に叩き伏せられた。たった数秒間の間に、私はこの男に圧倒されたのだ。全身から激痛が走る。今までもこんな痛みは何度も味わったが、こんな骨が全身バキバキに折れたような痛みは初めてだった。


京太「どうした最強?その程度かよ……。まだ3割ぐらいしか本気出してねぇんだぞ」

「つっても、能力アリの本気だけどな?」


灯嶺「なん、だと!?」


この力で、まだ3割??しかも、能力使用でって??一体どういう??


京太「……そうだ、一ついいことを教えてやるよ。俺の持つこの『未来を見る能力』は、実は本当の俺の能力じゃないんだ」

「俺の本当の力は、また別の能力だ………。ま、てめぇに教える気は毛頭ないがな」


そいつのその言葉に、私は驚く事も唖然とする事もなく、ただ淡々とそれに納得がいった。私を地に叩き落とした時点で、こいつは私と同レベル……もしくはそれ以上の強さを持っている事は明白だった。


灯嶺「……どうやら、本当のバカは私の方だったようね。能ある鷹は爪を隠すというけれど、まさかこれほどまでに力を隠し持っていたなんて、流石の私でもあなたを捕らえることは無理そうだわ」

「もうここまで来たら、アレを出すしか無いわね」


私はそう言って、着ていたコートを脱ぎ捨て、愛用の十手を掛けていたベルトから抜き取る。それによって、コートのフードの力で見えなかった顔や、コートの下に来ていたギリギリヘソが見える黒のキャミソールが露わになる。


灯嶺「もう、手加減はしないわ。今ここで、あなたを殺すわ。もう油断も隙も、1秒だって与えない」


京太「へー、それは面白い。やっとそっちも本気を出す気になってくれたって事か?嬉しいね」


男は狂ったような笑みを浮かべながら、本当に嬉しそうにそう言った。


京太「…にしても、……結構美人だなお前。しかも、少し際どいな。………もしかして、誘ってんのか??」


灯嶺「その煽り癖、どうにかした方がいいんじゃないかしら?いつか思わぬところで足元をすくわれる事になるわよ」


京太「ご忠告どうも……。でも、安心していいぞ。今の俺は、ちょっとだけ強いからよ」


そうして、私は再度その男と対峙し……。ここで、死戦を繰り広げるのだった。

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