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第十九話 最強の白女

京「……は?どういうことだよ??」


京太「そのまんまの意味だよ。彼女の魂は、まごうことなき僕の妹だった。つまり、君が偽妹だと思っていた彼女は、正真正銘の僕の妹だったってことだよ」


こいつの言っている意味が、俺はいまいち理解できないでいた。だって、ありえるわけないじゃないか。妹が、殺してしまった花御が生きているなんてことが、あるわけがない。だけど、奴は俺だ。そして、俺であって俺じゃないし、この肉体の本当の持ち主だ。俺は表面上でしか記憶を見ていないから、きっとわからなかったのだろう。

俺がアイツなら、妹を思う気持ちはお互い一緒だ。


京「なんで、精神世界に閉じこもってるお前がそんなことわかんだよ」


京太「わかるよ。言っておくが、これは感情論でも勘でもない。僕が精神世界で直に見たからだよ。彼女の心の奥にある魂をね」


京「それはいったい、どういう意味だよ??まさかお前、あの機械野郎の発言を鵜呑みにしてんのか?」


京太「いや、そうじゃないんだ。ただ、すごく繋がりを感じたんだ。あの時、あの一瞬の短い時間の間に僕の精神と彼女の精神がほんの一瞬だけ繋がった気がしたんだ。その繋がった一瞬の間に、彼女から懐かしいような温かい記憶が流れ込んできて、そう感じたんだ」

「だから僕は、一瞬であの子が本物の妹なんだってわかった」


京「……なるほどな」


俺は、なんとなくではあるが理解した。だとしたら、色々と説明がつく。ならば、考えられる可能性がいくつか出てくる。だが、今それを考えたところでただの憶測でしかないため、俺は考えるのを後回しにした。


京「とりあえずはわかった。ありがとよ教えてくれて……」


京太「あぁ、もしまた妹に会ったら注意しておけよ」


そいつのその言葉に、俺は鼻で笑いながら、


京「誰に言ってんだよ?お前じゃあるまいし、そんな失敗しねぇよ」


と、そう言い残して俺はその世界から目覚めるのだった。


□□□


そうして、あれから何事も起こらず、一週間の時が過ぎた。遥香との関係は、良くはないがまあそこそこ良くなってはきていた。外出自粛が解除されてからというもの、ここの生徒達のほとんどは毎日依頼に出向いているようだった。だがもちろん、力の差をわかっている我らFクラスはそんなものには誰一人として参加などしていなかった。足手まといになるから、役に立たないとわかっているからこそ、コイツらは行動をせず、命を粗末にしないようにただ授業を聞くだけのつまらない毎日をただ謳歌して行くのだ。

そうして、俺がいつものようにサボりを働くために廊下を歩いていると……。

ドンっ!


??「きゃっ!?!?」


と、突然俺は誰かと衝突してしまった。声がした方向は、俺の胸あたりの高さからだった。視線を下に向けてみると……そこには、中学生くらいの少女が尻もちをついていた。

俺は、漠然とした。何故かって、全然気づかなかったからだ。気配すら感じなかったし、姿すら見えなかった。すぐにそういう系の能力なのだろうというのはわかったが、きっと透明になれるとかそんな簡単な能力ではないのだろう。


少女「いたたた〜……」


京太「大丈夫かお前?ちゃんと前見て歩けよ」


少女「ご、ごめんなさい。あの、ぶつかっておいてあれなんですけど。……白崎美織さんを探しているんですが、知りませんか??」


なんで彼女を探してるんだろうと思いつつ、俺はこう言った。


京太「いや、知らねぇな」


少女「……そうですか。そっそれでは、私はこれで〜〜!」


と言いながら、少女は逃げるようにこの場から走っていった。いったいなんだったんだろう、とそう思いながら俺は授業をサボるために屋上へと向かい、そのまま時間が過ぎるのをただただ待つのだった。


□□□放課後


今日もまた、いつもと変わらない日常を送り、今日も俺は、自分の部屋の前で立ち止まりアイツと交代する。そして、4回ドアをノックしてから、彼女が鍵を開けるのを待った。数秒が経ちやがてドアが開く。僕は自分の部屋に入室して、そいつに話しかけた。


京太「よぉ!元気にしてるか?」


遥香「うん、まぁ……ね」


相変わらず、僕への警戒心が解けない少女。だが、少しだけではあるが心を開いてくれているようにも、僕は見えていた。だって、そうじゃなきゃこんなに柔んではいない。

遥香と一緒に過ごすようになってわかったことがある。それは、遥香が極度の寂しがりやなことだ。僕はいつも床で寝ているのだが、朝目を覚ますと必ず隣でくっついて寝ているのだ。きっと、ずっと操られてきたのもあって家族の温もりが恋しいのだろう。でも、通常時ではさっきみたいな感じで距離を取って警戒した感じなわけなのだが……。


京太「ほら、購買のおばちゃんから賞味期限が今日までのプリンを貰ってきた。あと、その他諸々」


遥香「……っ!?べっ別に、そんなのでつられる私ではないです!!(ぐぅぅ〜〜……)」


とそう言い切るも、彼女のお腹の中にいる虫が声を荒げるように鳴く音が響く。だんだんと頬を赤くする彼女を見て、僕は無言でそれを手渡した。


遥香「……べっ別に空いてないのに」


京太「じゃあ、僕がかわりに食おうか?」


遥香「それは嫌。……だから、食べる」


最初からそう素直に言えば良いものを。いや、警戒してるからこそ、本当の自分を出せないのだろうか??本当に、この少女は難儀な性格をしているな。と、そんなことを考えている間にも、時間は段々と過ぎていき、気づけば時刻はもう10時を迎えていた。遥香のお風呂の時間だ。

そう、大体いつもこの時間には彼女を大浴場に連れてきていた。もちろん僕は、女湯の暖簾のれんの外で待っている。僕はとっくに入ってきているため、こうして他の生徒が来ないように見張っているのだ。間宮からもその辺の話はつけてもらっており、先生からも特別に許可もいただいているため、何も問題はなかった。遥香は女の子だ。女の子なら、自分の身なりや体臭が気になるのは当たり前のことだ。実際、花御も年頃になってそういうのを気にしていたからな。当然のことだ。

とまあ、そんな事を心の中で呟いているうちに……。どうやら遥香が風呂からあがってきたようだ。女と書かれた赤いのれんから、綺麗に整えられた長くて綺麗な白髪を持った色白の少女が顔を出す。白髪の先端は紫かかっており、今にも色が無くなりそうにも見えた。そういえば、美織の髪も紫色だっただろうか……?もしかして、元は紫だったのだろうか??


遥香「あの、京太さん」


彼女が、初めて僕の名前を口にする。僕はそれについては反応をせず、彼女の言葉を待った。


遥香「いつも、ありがとうございます。私のために、他の人に会わないようにとかしてもらって……。ほら、私って、人を信じる事ができないので……。でも、貴方なら大丈夫じゃないかって、最近思い始めてきたんです。でも、それと同時に、よくわからないんです」


どういう意味だ、と言う前に遥香は「なんでもないです」と言って、逃げるように足速に僕の部屋へと向かっていった。なんだったんだろう……と、そう思わずにはいられなかった。でも、彼女なりに僕が信用できる奴だと感じたという事なのだろう。もしそうなら、とても嬉しい事なのだが……。

その日は、お互いに何かを言ったりすることもなく、お互いに眠りについた。

そうして、次の日がやってきた。


□□□


その日の夕方。俺は、間宮に呼び出されて保健室に来ていた。


間宮「来てくれたんだね、よかったよ」


京太「来ねえとうるさいだろお前………んで、なんのようだ?わざわざ朝のサボり中にここに来いって呼ぶくらいの事なんだろ??」


間宮「ああ、そうだ。実は君に頼みたい事があってね……」


そう言うと、間宮は俺が言葉を挟む前に説明をし始めた。


間宮「少し前に廃墟となっていた研究所が何者かによって破壊されたらしい。まだ、わずかに形を成してはいるようだが、天井が崩れていたりとだいぶボロボロになってしまっているようなのよ」


京太「そりゃまた、すんごい事をするな。でも、わざわざ破壊されるって事は、理由も無く破壊したわけじゃないんだろ?」


間宮「その通りよ。理由はどうアレ、普通誰も使っていない建物を意味も無く破壊するとは思えない。私の考える可能性としては、敵組織の証拠隠滅か、または新たな力の実験か、それか全くのおふざけか……」


京太「最後の奴は除くとしても、一番可能性が高いのは、最初と二番目のやつだな。んで、それを言ったという事は、その破壊されたっていう研究所と何か関係するって事だよな」


間宮「さすがは京太だ。話が早くて助かるよ。単刀直入に言わせてもらうと……京太君、君にはあの研究所に残った資料探しとあそこで何があったのかを調査に行ってもらいたい!!」


京太「……なるほどな。大体そうだろうとは予想してたよ。わざわざ使われていない研究所を破壊するくらいなんだ、何かあるといけないから一般生徒ではなく俺に頼んだというわけか……」


まあ、そんな俺も一応一般生徒なのだけど。……最近学校の外にも出れてないからちょうどいいと言えばちょうどよかった。


京太「わかった、引き受けるよ。……んで、今夜早速行けばいいのか??」


間宮「そうだね、あぁ後……彼女からは私から言っとくよ、その方がいいだろう」


京太「あぁ、頼む」

「んで、それだけか??」


間宮「あぁ、以上だ。あ!忘れるところだったね。はい、これ地図」


そういうと、間宮はポケットから一枚の折り畳まれた紙をこちらに手渡す。


間宮「研究所までの地図だ。結構遠い場所にあるから多分場所がわからないだろ?」


京太「おう、ありがとうよ」

「……それじゃあ、行ってくるよ」


間宮「あぁ、気をつけるんだよ!もしかしたら罠っていう可能性もあるからね」


京太「わかったよー」


と、俺は適当にそう返事をしながらその部屋から退室して、夜が来るのを待った。


□□□


そうして、時間は経過していき……夜になった。俺は、今日もいとも簡単に学校から抜け出し、間宮に言われたところに向かっていた。

そこは、間宮が言っていた事まんまの姿の建物だった。一応まだ形を成しているが、天井の殆どが崩れていたし、変な崩れ方をした場所もあった。まるで、誰かが攻撃したかのような感じだった。逆に、こんな壊れ方で人の手が加えられていないのはどう考えたっておかしい事だ。という事は、意図的に誰かが壊したということになる。

俺は、間宮が言っていたいくつかの仮説を思い出す。一番可能性が高いものとしては、やはり……


京太「敵組織の証拠隠滅……」


と、俺が呟いた……次の瞬間だった。

突如、背後から衝撃波のようなとてつもない轟音が鳴り響いた。俺はすぐ音が鳴った方向へと振り返り、突っ込んでくるそいつの攻撃を腕一本で止めた。わずかに腕が震える、それだけ強い力が伝わってくる。俺は、そいつの足の攻撃に耐えながら、そいつを睨みつける。飛び蹴りしてきたそいつは、女だった。空中に浮いたまま、蹴りで俺に押し切ろうとしていた。


京太「急に奇襲とはな、随分と姑息な手を使うじゃねえか、白コートさんよ〜!?」


??「あなたも、よく私の速さに反応できたわね。あの方とやらのダメ信徒さん」


女は、真剣な顔をしながらそう挑発をしてきた。だが、俺はそんな挑発を無視する。


京太「……ふ、お前もな。随分と強いじゃねえか。何者なんだお前?」


??「私は……」


そうして、そいつは告げる。馴染みのある言葉を。


??「……最強よ」


……と。

同時に、相手の足の力が強まる、それに合わせて俺も腕の力を徐々に高めていく。

さ〜〜て、面白くなってきやがったな……と。

ニヤリと微笑みながら俺は目の前のその女を睨みつけるのだった。

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