第十三話 最強の妹
京太「花御……なのか??」
花御「そうだよお兄様。私は、あなたの妹の花御。それ以上でもそれ以下でもない。正真正銘のお兄様の妹だよ」
目の前の妹は、当たり前だと言わんばかりにそう語る。
花御「久しぶりだねお兄様!見ないうちにこんなにも背が高くなって……昔は今の私と同じくらいの身長だったのに」
京太「それはお前もだろ……」
花御「えへへ、そうだね。あの時と変わらず、お兄様は私より高いね」
京太「……本当に、花御なのか?」
俺は、目の前に映る事実を信じることが出来なくて。……思わず、もう一度問い返してしまう。
花御「もうお兄様。まだ信じられないの?もしかして、私とお兄様の愛ってそんなもんだったの?」
京太「そんなわけないだろう!」
「お前との生活や家族愛が、こんなもんなわけがないだろうが!俺はお前を愛していたし、大事にしていた!だから、そんなはずがないんだ」
花御「……よかった。そう言ってくれて」
花御は、俺の方に向かってゆっくりと歩み寄りながら手を広げる。まるで夢のようだった。まさか、また会うことができるなんて……。しかも、しっかりと成長した姿でちゃんと目の前に居る。まるで、本当にそこに妹がいるようだった。手を広げて飛び込もうとする彼女を、俺は受け止めるために両手を広げて……。
……そして。
……次の瞬間。鋭い突きの手刀が俺の体を僅かに掠めた。血は出ていないが表面の皮膚が削がれたようだった。すかさず、追撃が俺を襲う。俺はそれを条件反射で避けた後、一旦距離を取った。
花御「ありゃりゃ?今の完全に当たったと思ったんだけどなぁ……。なるべく殺気は抑えていたし、なんでだろ??」
目の前の妹は、不思議そうに小首を傾げながらそう呟く。
京太「俺を攻撃する瞬間、お前からとんでもないほどの殺気が出ていた。だから、反応できた。ただそれだけだ……」
花御「すごいお兄様!あんな数秒で私の攻撃を避けるなんて!!」
京太「黙れ、妹もどきが……。二度とその姿で俺を呼ぶな」
花御「え〜なんで、お兄様?私はあなたの妹なんだよー?妹なんだから、私がお兄様をお兄様と呼ぶのは当たり前でしょ……」
京太「うるさい。お前はただ、俺の聞くことだけを答えろ!お前は誰なんだ、いったい誰の差金だ……!?」
花御「……誰って、私は妹の黒宮花御だよ、お兄様?それとも、それだけじゃ信じられない??」
京太「当たり前だ。だってあいつは……」
??「殺されたから……でしょ?」
京太「……っ!?!?」
……刹那。背後から見知らぬ声。背筋が凍るような感覚が体全体を襲った。俺は反射的に、背後のそいつに向かって薙ぎ払った……が、すでにそこにそいつはおらず。いつの間にかそいつは偽花御の下にいた。
??「おー怖い怖い。なにもそんなに力を込めなくてもよいではないですか……?」
京太「青のコート……。お前、あの組織の奴らか?」
??「御明察。なぜ君がそれを理解できたのかは気になるところですが……。まあ、それは後々考えることにしましょう……」
その男からは、落ち着いた雰囲気が漂っていた。なんとなくだが、コイツはかなり舐めてかかれる相手ではなさそうだ。だが、それがどうした??そんな事、俺には関係ない。だから俺は、目を鋭くしてソイツを力強く睨みつける。
京太「……いいか?正直に答えろよ雑魚。お前か、これを作ったのは……?」
??「自分の妹に対してこれはないでしょう。……この者はれっきとしたあなたの妹さんですよ〜?」
京太「御託はいい。さっさと言え!」
??「御託などではありません。これはれっきとした真実です。私は嘘が得意ではなくてね」
京太「……はっ??」
俺は、そいつの言っている言葉の意味がよくわからなかった。すると、その男は突然一人でに語り始めた。
??「説明してあげましょう。まず、はっきりと言いますが、この小娘はれっきとした君の妹さんです」
京太「それは何度も聞いた。だが、それを証明するものがいったいどこにあると言うんだ?」
??「たしかにその通りだ。さて、ここから少し話が逸れますが。貴方は、人を生き返らせれる力があるとしたら、それはいったいどんなものだと思いますか?」
京太「あっ……?!」
急に謎々をふっかけてくる謎の男。その謎々の答えに……俺はこう言った。
京太「知らねぇよそんな事。俺は謎々が苦手な奴だからな」
……と。
??「やれやれ、面白くないですね。では、答えを言いましょう。答えは、もちろん能力です。能力というものには、そういう直球的で不可能に近い能力は存在しません。ですが、それとは違ったなんでも出来てしまうような万能な能力ならば、実はそれが可能になるんですよ」
京太「長々と言いやがって……。んで?結局お前は何が言いたいんだよ!?」
俺がそう言うと、男は薄気味悪い笑い方をしながら……こう告げたのだった。
??「私の能力は、死者蘇生をも可能にする強力な力という事ですよ」
京太「なんだと!?」
その男の発言に、思わず愕然とした。まさか、そんな禁忌的な事を可能にする能力があるだなんて……。だが、自然に生まれた能力ならば、場合によっては可能に近いだろう。だけど、本当にそんな事ができるのか??いくら能力が強力だとしても、そんな事が本当にあり得るのか??それが本当だとしたら……あいつは本当に本物の、俺の妹の花御という事なのか?
花御「お兄様。まだ私が本物だって信じてないの……?まあそうだよね。死んだ筈の人間が生き返るなんて事、能力ですらも叶わなかった事だもん、信じろって方が無理って話だよねぇ……」
自称妹と名乗るその女……花御は、しばし考え込んだ後、閃いたっと言った動作を取って、俺にこんな話題を振ってきた。
花御「ねぇ、覚えてるお兄様?私の8歳の誕生日にお兄様が私にくれたプレゼント」
京太「8歳の誕生日……あぁ、覚えている」
あの時の事は、今でも鮮明に思い出せる。そして、いい思い出以外にも辛い事もたくさん……。
花御「あの時、私がもらったお兄様からのプレゼントは………このネックレス……だよね」
そう言って目の前の自称妹……いや、妹は服の下に隠れていた首飾りのネックレスをちらつかせたのだった。
京太「…………」
僕は唖然としていた。なぜ唖然としたのか……、それはまたこうして妹に会うことが出来たからだった。そんな喜びも束の間……。
なんと、ソイツは容赦なく俺に拳を向けてきたのだ。俺はその拳を受け止めながら問う。
京太「なんで攻撃をするんだ……花御!!」
俺に攻撃をしてきたのは、あの男ではなく花御だった。俺は意味がわからなくて、頭が困惑していた。やがて……花御の口が開いた。
花御「なんで……って。わからないの、お兄様??」
その声にはもう、あの時のような可愛らしい、兄を慕う妹の声はなかった。あの時のような、可愛らしい笑顔を向ける妹はいなかった。そこにいたのは……俺を敵として殺す気でかかろうとする彼女の声が響いていたのだから……。
花御「なんで、私がお兄様にこんな事をしてると思う……?」
冷ややかな声音で、言葉を告げる花御。
京太「……どういうことだ」
花御「ここまで言って、まだわからないんだ。わかったよ、じゃあ教えてあげる。私はね……」
とそう一拍を置いて、花御はこう言葉を口にするのだった。
花御「お兄様に、復讐しにきたんだよ」
と、そんな衝撃的な一言を。
花御「私はね、恨んでるんだよ。あの時、どうして私を救わなかったのか。私は、辛くて苦しくて……抑えきれない何かが暴走していた。でもお兄様なら、それを止めてくれるって信じてたのに……お兄様は、私を」
「……私を、殺したじゃない」
京太「……違う」
花御「違わないよお兄様、私は貴方に殺されたのよ。それは変わらない真実だよ。だから、私はこうして蘇ってきたんだよ」
京太「……は、はは」
花御「………なんで笑ってるの?」
京太「あー、わりわり。ついにやけちまっただけだよ」
俺は、ソイツの言葉を鼻で笑いながら……。
京太「やっぱり、お前は俺の本物の妹じゃないな」
花御「……え?」
京太「さっき、お前があのネックレスを持っていた時はつい信じ込んじまったが……最後のところでヘタ打ったな」
「俺の妹が、そんな言葉を吐くわけねぇだろうがよ……!!!」
??「……っ!?」
動揺する男の方に、俺は狙いをつけながら……。
京太「俺の妹はな……死ぬ時だって、一言も俺のせいだなんて言わなかった!そもそも、アイツは俺の事をお兄様なんて呼んばねぇよ!ネックレスの下りまでは良かったが、残念だったな!」
そう言いながら、俺は拳に気を纏わせる。
そして……それを青コートを着た男に向かって、力強くその拳を振るった。
……次の瞬間。とてつもない轟音を立てながら、俺の放った一撃が猛スピードでその男に向かって接近する。
??「……なにっ!?」
そう男が反応したのも束の間……。男はその攻撃を……顔面にもろに食らったのだった。
コイツが、どうして俺の妹の事を知っているのかは知らないが……人の過去を使ってこんなにも俺を怒らせたのだ……。死んで当然というものだ。さて、次はあの偽物の妹をやらないとな……と考えながら青コートのいたところに再度視線を向けた……その瞬間。
京太「……なんだと!?」
俺は、目の前に映る光景に唖然としてしまうのだった。
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