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妖怪退治  作者: kamuyonn
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第三話


あのカエルは一体何だよ!

やばい雰囲気醸し出してるデカい鎧もいきなり現れて、襲われるし!

とっさにあいつらがいない方向に走り出したけど、そもそも初めて来たところだから道全くわかんないし!

やっぱりじじぃの頼み事はろくなことがねぇ!!

頭んの中で愚痴こぼしても、この状況を打破する考えなんて思いつかねぇ…

というか、足がもう限界だ…


「はぁ…はぁ…もう追ってきてないか…?」


一度限界が近い足を止め、後ろを見てみると、

鎧のバケモンに乗ってカエルが俺を指さしながら、まだ追いかけてきていた。


「まてぇぇぇぇぇーーーい!」


「げっ!まだ来やがる!」


カエルが追撃していることを知ると、足にむち打ちながらふたたび走り出した。


「くそっ!いつまで追ってくるつもりだよ!」


これ以上は速く走れないし、疲れてきてるってぇのに!

息も切れ切れになってきた俺は、もう真っ白で今にも倒れそうだ。

だけど、ここで倒れたら俺どうなるんだ…

つかまって、殺されちまうのか…?

どうする!どうすればいい!!


《右にまがれ…》


突如、耳に透き通った声が響く

疑問を抱く前に指示通り身体が右へと方向転換していた。


(右?…こっちか!)


右に曲がると、人が通る道ではないものの、一直線に空間が広がってるようにみえた。

森の中だから、草や枝が所狭しと生い茂っているはずなのに変な気分だ…

そのまま進んでいると、小さな社が見え始めた。鳥居を1つ跨いだ社は人を5、6人入れるのが十分な大きさだった。

その向こうには、道とうい道がなく行き止まりとなっている。


「なんだあれ…てかどこに逃げれば!」


《その社の中に入れ…》


またさっき響いた声が、聞こえてくる。


「社の中…って、さっきからこの声はなんなんだ!?」


困惑していると、カエルがまだ俺を探しているのか、辺りを見回している。

あの様子では、ここでもたもたしてると見つかっちまう!


「あの人間はどこだ!さっさと探すのじゃ!」


「って、考えている暇ねぇ!」


発見される前に急いで社の中へと入いる。


社の中に入り、扉を閉める。

所々穴が空いているのか、細かく光が差し込んでいる。そのおかげで、中の様子がよく分かる。真っ正面の奥には、鏡餅を置く台のような所謂、三宝が置いてある。その上に不思議な雰囲気を放つ棒のようなものが飾ってある。


「…これは…刀?」


近寄ってみると刀だったそれは、柄頭から鍔まで真っ黒く、目貫の部分は金色になっている。刃を収めているであろう鞘は濁った赤色をしている。下げ緒も目貫と同じような、金色で鍔に変な絡み方をしている。

抜けないようにしてんのか?だとしても、下っ手くそに結ぶなぁ

まじまじと観察し、手にとろうとしたら

閉めていた扉が、大きな音を立てて壊れた気配がした。


「ここかぁあああ-!!

ゲロロロロ、見つけたぞ人間…さぁ、おとなしく玉を渡すのじゃ!」


カエルが先頭に立っている鎧霊に乗り、よく分からないサインをし、鎧霊たちは一斉に刀を構え始める。

俺は、凶器を持ったよく分からない霊たちの殺気に当てられ、体が震えだした。

ちくしょ!ここで俺は死ぬのか!?ふざけんなよ!まだやりたいことあったのに、じぃちゃんに仕返しだってしてないのに!

それに母さんにだってなにもやれてねぇ!

ふざけんな…ふざけんな!!


恐怖の震えよりも、こんな理不尽に殺させそうになっている状況に対して俺は怒りに燃えていた。すると、ここまでみちびいた声がまた響く。


《生きたいか…》


「えっ、」


《お前は生きたいのか》


さっきまで曖昧に響いていたのに、今度ははっきりと聞こえ、俺は思わず叫んでいた。


「俺は…!俺は生きたい!!」


《なら…名を答えろ》


な、名前!?そういわれてもわかんねぇよ!

急に問題形式って!


《思い浮かべろ、お前の心にあるものを》


心にあるもの…?な、なぞなぞ??


意味が分からない事ばかりをつぶやいてくるが、唐突に浮かんでくるものがあった。

心に…


「……しょ…」


「ゲロロロォ、いきなり叫んで今度は小声か?

怖くなって気でも触れたかゲロゲロッ!」


鼻で笑いながら、バカにしてきたカエルを無視し

もう一度大きく声を張り上げる。


「麒麟の紀章!」


鞘に納められている刀から黄金の光がこぼれだす


「ゲロッ!なんじゃその光は!」


目をさすような眩い光にカエルは怯み鎧霊と一緒に一歩後ろに引いている。

そのまま刀を抜くと、黒い刀が現れる

黄金に輝いていたのに反して、真っ黒って違和感ありまくりの刀だな…


「黒い刀…っておまえ誰だ!?」


刀に隣にはいつの間にか浴衣のようなものを緩く着た、金髪の男が立っていた。

こいつ誰だ!?突然現れたのか!?

その男は俺をジロジロ品定めをするように下から上に視線を上げ、

いきなりため息をついてきた。


「はぁ~、男かよそれもこんなよわっちぃーガキとか…はぁ~」


「おい!お前、いきなり現れて俺の顔をジロジロ見たと思ったらため息って、失礼しすぎるだろう!」


「しかたがねぇーじゃん、500年近く閉じ込められてやっと出れたと思ったら男って…気分が落ちるに決っまってんじゃん…」


やれやれといった風に首を振りまたもやため息をつかれる

こいつムカつく野郎だな!!

こんな危機的状況の中で、いきなり現れて俺を見てため息って!!

一発殴りてぇ!!


「てんめぇ、ふざけんなよ!だいたいお前はどこから出てきたんだよ!」


「うん?そりゃお前ぇ「ゲロッ!お前らわしを無視して話を進めるな!」


「あ"ぁん!てめぇ人が喋っている時にじゃまんすんじゃねーよ!」


言葉を遮られて金髪野郎はイラついたのか、眉間を寄せてカエルに怒鳴る

そして、俺が持っていた刀をするりと奪い、距離があるの鎧霊たちに向かって刀を振る

すると、風圧でやれたのか一斉に鎧霊たちが吹っ飛ぶ。

カエルは風圧を受ける前に上えと跳んだのか一瞬視界から消え、地面に着地していた。

え、こいつすげぇな…

あんな重そうな鎧のバケモンたちを一振り吹っ飛ばすなんて…

一振りであいつらを吹っ飛ばした金髪野郎に驚き、目を見開き目線をやる

ドヤ顔をしているかと思ったが、予想に反し首を傾げていた。


「んー??おかしいな?封じられすぎて鈍ったか?」


鈍った?あんな勢いある一振りをしといてその発言って…こいつ一体なにもんなんだ…

というか、こいつはなんで俺のそばにいきなり現れたんだ…

この山に来てからおかしな状況が続きすぎて、頭の処理が追いつかねぇ!!


「ゲロゲロ、何を油断しているバカ共めが!

そんなことで鎧霊は倒れんぞ!」


倒したと思われていた鎧霊たちはバラバラになっていた部品を空中でかき集め再び人型へとなっていく

金髪野郎は目を鋭くさせ俺をかばう様に前に立つ。


「おいおい、いくら出てきたばかりの弱い霊気だからって

そんな早く再生しちゃう?

俺様自信なくすわー」


言っている言葉と表情があっておらず、余裕そうなにやり顔をカエルに向ける

守ってもらっている体制だけど、そんな挑発して大丈夫か…


「ゲロッ!こんなに鎧霊たちがいるというのに

余裕そうなその態度ムカつくゲロロロッ!」


地団太を踏むカエルは、もう我慢ならんと言い放ち身体を屈め、襲い掛かる準備をし始めるていた。

それと同時に鎧霊たちも刀を構える。

めちゃくちゃバトル展開じゃんかよ…

じじぃの頼みごとしてただけなのに…

やっぱり碌な目にあわねぇ!


「この蝦蟇導師を侮ったこと後悔させてやるゲロッ!!」


いざ勝負!というように意気込んだが、木々の合間を縫ってなにか紙のようなものが飛んできた。


「私の敷地内でなに暴れているの」


凛として、綺麗な女の人の声が聞こえたと思ったら、鎧霊たちが次々と倒れ

砂が舞うように鎧霊たちは消えていく。

今度は一体なんだよ…


「ゲッゲロ!なっなんじゃ!鎧霊たちが浄化されとるじゃと!いったい誰じゃ!」


浄化じゃと!と驚き叫ぶカエルは鎧霊を倒したであろう人物にギョロリトした目を向ける

敵か味方も分からないが鎧の化け物を倒した人物が気になり、カエルと同時に視線を移動させる。

木の陰で顔を詳しく見えないが、服装が神社等でよく見かける巫女服なような着物を着た女の人が佇んでいた。


「蝦蟇導師がなぜ敷地内にいるの」


静かで、少し怒気を含ませながら告げる女の人は目を細めながら問う

蝦蟇導師と呼ばれたカエルはわずかに女の人から出ている殺気に怯え、威勢が良かった体を震わせる。


「き、貴様はっ、も、もしかして妖怪退治屋!?

よっ妖怪退治屋がどっどうして、こっここここにおるのじゃ!?!?」


「質問しているのは私なんだけど…」


発した言葉が気に入られなかったのか、手には縦に長い紙を挟ませる

挟ませた紙からは火花の様にパチパチと音が鳴り、稲津が走ったように光が伝導している。

あれが何かわからないけど、かっけぇ…

戦闘漫画に出てきそうだ、と少し興奮する。

奇妙な体験をし過ぎて脳がばくって暢気な事を思い浮かべていたら


「ひぃぃ、ここは一旦退却じゃ-ーー!!」


蝦蟇導師は残っている鎧霊にそう叫ぶと早々と逃げって行った

呆然としていると女の人は木々の間から出てきて、近寄ってきた。

陰でわずかに隠れていた姿が見える、黒い艶やかの髪を高く結い上げており、肌は紫外線を知らないかのように真っ白だった。だが、そんな外見よりも俺は瞳を見つめった瞬間に完全に魅入られてしまった。

紅く輝き、宝石のルビーみたいにきらめかせる、だが、奥深くにはほのかにくすぶる炎のような暗さがある。

俺はその瞳から目が離せずにいた。

そんな俺に、首をかしげながら先程カエルに問いていたような殺気を消して、質問をしてくる。


「貴方は誰?ここでなにをしているの」


「おっ俺!?」


呆けていた俺は一瞬戸惑い、指を自分自身に向ける

女の人は静かに頷いた


「俺は…八谷彰人だ、あんたは」


「私?私は、愛田蓮華」




これが八谷彰人と愛田蓮華の出会いだった






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