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妖怪退治  作者: kamuyonn
3/4

第二話

 ジリリリッージリリリッー

懐かしくも、存在していることさえ珍しい黒電話の着信音が屋敷全体にけたたましく鳴り響く

そこに偶然、茶髪で長い襟足を何本かにまとめおろしている男が通りかかる

男は少し思案し、何を思ったのか鼻歌交じりに黒電話の受話器を手にする


「ほいほーい!いつでも元気溌剌!みんなの朱雀様だぜ~!」


開口一番軽薄そうに電話を鳴らした人物に返事をする。

受けた側も同類なのか、同じように軽く返事を返しす。


「おぉ~!朱雀君かい!相変わらずだの~

わしの孫もこれぐらい元気でいてほしいものじゃ~」


「なんだ~八谷の爺さんか~

なんか大事なようかい?」


電話の相手が知り合いだとわかった男は、期待外れといったような顔を一瞬のぞかせ

すぐに笑顔に戻り要件を聞く


「ちょいと蓮華ちゃんと話したいことがあっての~

代わってくれんか~」


受話器を黒電話の横に置き本題の人物を呼びに行く


「おーい蓮華ー、八谷の爺さんから電話だぞー」


少し歩いた部屋の襖を開け顔だけのぞかせて声をかける

声を掛けられた女性は何かを書いていたのか、座卓の前に正座をしながら筆を持っていた。


「わかった、今行く。」


返事をした後に筆を座卓に置き、男に向き直り体を立てせる


「珍しいく電話をかけてくるなんて、面倒な予感しかしないんだけど…」


女性は呼び出した人物に苦い思い出があるのか、片眉をさげながらため息をつく

男はそれを見てケラケラと笑うが、横腹に一発拳を入れられ

うめき声をあげ、拳を入れられた場所をさする。


黒電話のところまでやってきた女性は受話器を耳に当て応答する


「久ぶりじゃの~元気じゃったか~」


「はい、おかげさまで

ところで今日はなんのご用件ですか」


「いや~、実はなわしの孫に妖怪退治屋として修行をつけて欲しいんじゃよ~」


「嫌です。そんなめんどくさいことをする余裕はないので」


体調を気つけながら要件を話した相手に、すっぱりと断りを入れ会話を終わらせようとする

どこかで聞いたようなやり取りに相手は苦笑いするが、何とかいい返事をもらえるように話を続ける

それに対して、蓮華がイライラとしながらも聞く


「そんなこと言うわずに頼まれてくれんかの~

お主も人に教える難しさというのも学びたいじゃろし~

この電話で話しとるんだし~」


「嫌です」


「お願いじゃよ~」


「嫌です」


永遠と続きそうな言い合いを続けていると、

しびれを切らしたのか朱雀が蓮華から受話器を取り上げ


「爺さん、いいぜその依頼たのまれても」


「お!本当か!さすが朱雀君!話しがわかるの~」


「朱雀!勝手に話しを進めるな!」


受話器を取り上げられた蓮華は取り返そうと手を伸ばすが身長差も相まって、頭を抑えられ手が届かない


「まっ、彰人をお手柔らかにの~」


「うんじゃ、またな爺さん~」


これ幸いにと相手は、返事を聞いた後すぐに会話を終わらせ

朱雀は受話器をもとの黒電話に戻す

いい仕事したと、抑えつけていた相手にドヤ顔をしようと手をどかした瞬間


ドガッ


「いってっっっーーー

いきなりなにすんだよ!!」


「いきなりなにすんだよはこっちの台詞だ!この馬鹿野郎が!!

私の許可無しになに引き受けてんのよ!」


朱雀の腹にフルスイングで殴ったあと、怒鳴りながら胸倉をつかむ

蓮華のほうが身長が低いため掴まれた朱雀は殴られた腹を抑えながら上半身が下に傾く


「ぐおっ!、ぐっ苦しいぃぃ!」


「てめぇー、こっちは依頼がいっぱいあるっていうのに勝手に引き受けやがって!この野郎!!

罰として貴様は


一ヶ月屋敷掃除の刑だぁーーー!!」


そう言うがはやいか

縁側から朱雀をおもいっきり一本背負いし池に投げ飛ばした


ばっしゃっーーーーーん!


勢いよく投げ飛ばされ、盛大な水しぶきをあげた

暫くして、うつ伏せ状態で水面に上がったの目視し


「まったく、面倒ごとを引き受けて…はぁ

…」


とつぶやきながら去っていた。



池で浮かんだままでいる朱雀は起きあがろうとせず、ぼんやりと空を眺め

いい天気だなとのんきにしていた。

その傍らに蒼い髪色をした女性があるみより、呆れながら朱雀に声をかけた


「朱雀はまた蓮華様を怒らせてるの?」


「うっせーよ青龍」

「もうーほら」


青龍は朱雀に手を伸ばした

その手を借りながら朱雀は池から這い出る


「っと、サンキュー」


「でも、何で八谷様の頼み勝手に引き受けたの?」


どこからか聞いてた青龍が不思議そうに聞くと

朱雀は腕を頭にくみながら、曖昧な返事を返す


「う~ん、なんとなくおもしろそうだったから」


「・・・まさかそれだけの理由で?」


「おう!」


まんべんの笑みで答えた


「はぁ~~本当にあんたには呆れるわ」


青龍はため息をついて雑巾とバケツを渡した


「…?なんだよ」


「あんたさっき蓮華様に屋敷掃除の刑って言われたじゃない。

だからはい、頑張ってね~」


役目を終えたとばかりに青龍は優雅に屋敷へ帰っていった。


「たく、めんどくせーな」


朱雀は渡された雑巾とバケツを両手に持ち片眉をあげながらため息を一つつく


「……やるか。」


腕まくりくをして掃除に気合いを入れ青龍と同じように屋敷へと帰っていた。






____

_____________

_____________________________________







同じ山奥、結構離れた位置に一人の少年の大きな声が響きわたる


「ここはどこだぁぁああああああ!!!」


空に向かって叫んだ彰人は、明確な道を教えてくれなかった祖父に文句をこぼす


「あのくそじじぃ!、なーにが普通に歩いていれば着くだ余計に迷ったじゃねぇか!」


祖父に頼まれた物を届けるはずだったが、地図などをもらわずいたため

山の中で迷っていたのだ。


「やっぱりじいちゃんの言うことなんか聞くんじゃなかった!」


頼みを聞いて言われた山まで来たのはいいがなんの道しるべもなく、ただ口頭で聞いただけの道を進んでいた。

普通に道に迷い何処にいるのかわからない状況だった。今までの経験を学んでいないのも悪いが、何も渡さない祖父も相当意地悪だということを彰人はしみじみと思った。

そして彰人は疲れたのかその辺の岩に腰掛けた。


「はぁー、なんで俺がこんなめにあわなきゃいけないんだ…

だいたい今、夏休みで聖と遊ぶ約束してたのによ!」


そう愚痴をはく彰人は届け物が入っているリュックに目がいく。

閃いたというばかりに、口角を意地悪く上げる。


「そうだ!箱の中身をみてやろう!

俺をここまでやらしてんだからみてもいいよな!」


絶対開けちゃだめだと言われた箱をリュックから出す。

一瞬祖父の顔が脳裏にすぎてためらいがちになるが、箱のふたに手をかけるとふたを思い切って開けた。

その瞬間、


ザァーーーーー


箱の中身がいきなり光だし木々が揺れしっげた


彰人は眩しくて目を閉じると


《見つけた…主人になるもの…》


どこからか声が聞こえ目を開けると、眩い光は消え

周りを見回すとさっきまでと変わらない景色だけだった。


「なんだったんだ、今の...」


不思議に思い箱の中を見てみると

なんの変哲もない、白い玉だった。


「...?まぁいっか」


彰人は特に気にせず箱をリュックにしまい、また歩き出そうとした時

どこからか彰人を呼び止める声が聞こえた。


「おい人間!琺瑯の玉を寄越せ!!」


しゃがれたような声のほうに振り向くと、そこには大きなカエルっぽいのが薄い着物の上に袈裟を羽織って立っていた。


「えっ!なんだこのカエルでかっ!」


カエルのでかさに驚いたが、それよりも今しゃべっていることに対して頭が混乱した。


「人間!驚いてないでさっさと琺瑯の玉を寄越せ!」


カエルは求めているものを要求しながらじりじりとにじり寄る。

彰人は同じ歩幅で奇妙なカエルから離れようと後ろに下がり、言われたものに関して混乱している頭を活用させながら、自分の手持ちを模索する。

だが、どれのことを言われているかさっぱりわからなかった。


「ほう…ろう‥の玉?なんだそれ?」


「とぼけるな!わしはわかっているぞ!お前が持っている箱から琺瑯の玉の光が放たれたこと!」


彰人はさっきの光を思い出し、リュックに手をかけた。

その動作を見逃さながったカエルは、しゃがれた声であたりに呼びかけた。


「その中じゃな、鎧霊がいれい!あやつから琺瑯の玉を奪うのじゃ!」


カエルがそう叫ぶと突然、昔の武将が着るような鎧が出てきた。

いきなり登場した鎧は突進するように襲いかかって来た。


「うあっ!なにすんだよ!」


襲いかっかって来た鎧の頭を咄嗟に殴ると鎧の兜は吹っ飛び、彰人は驚いた。


「なっなんだよこれ!なんで…なんで中身がないんだよ!」


鎧の中は空っぽだったのだ。


「ゲロロロロッ!鎧霊は人ではない、お前たちの世界で言う幽霊なのじゃ!

どうだ、怖いだろう~だから観念して玉を渡すのじゃ!」


鎧霊は飛ばされた兜をもとに戻すと、刀を出してきて彰人にまた襲いかかってきた。


「だれが怖がる、っだ!」


鎧霊の刀に動じつに攻撃をかわしていく


「ゲロッ!鎧霊、何をやっておる!さっさとそやつから玉を奪うのじゃ!」


カエルはそう命令すると次々に鎧霊が出てきた。


「なんでこんなに出てくんだよ!っここは逃げるが勝ちだっ!」


脱党の勢いで鎧霊がいない方に逃げた


「ゲロロロロ、逃しはせんぞ

鎧霊、あやつを追うのじゃぁーーーーーー!」


カエルは鎧霊の背中に乗って、額に汗をにじませながら追いかる。

その様は怯えているようにもみえた。



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