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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第三章 ゲネブの省吾 ~独立編~

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99.牢屋の中 2

おはようございます。

 牢屋に入ってきた男たちは、飯の配給要員だった。

 今ここには俺と奥の男の2人しか収監されていないのでそのまま俺の所にやってくる。


「おい、部屋の隅に行け」


 言われるがままに、部屋の隅の方にさがる。1人の男が木のボウルの様な器を鉄格子のしたのスキマから中に押し入れる。それからちょっと大き目の瓶を格子の隙間から入れて床に置く。それが済むとそのまま奥の牢の前まで行き、同じ様に器を牢の中に入れているのが分かる。


 男達は仕事を終えるとそのまま戻っていく。俺の牢の前を通る時に声をかけてきた。


「お前ここに来たの始めてだな? 食ったら器を格子の下から通路に出しておけよ。スプーンもちゃんと出しておけよ。」


 それだけ言うと、通路を出て再び鍵をかける。

 なるほど。スプーンで穴を開けて脱走とかするやつも……いるのか? 話的にここは一種の留置所だよな。刑が確定したらここから出て牢獄に移送させられるなら何ヶ月もかけて穴を掘ったりはあまり考えられないが。まあ、尖らせて武器にしたりとかもあるのだろうな。



 配給の人が出ていくと、奥の住人が飯を取りに入口に近づくのが分かる。俺もそれに倣い食器を取りに行く。


 飯は、マッシュポテトの様な、マッシュポルトとか言うのかな? それに豆などを煮込んだようなソースが掛かってる。味付けが思ったより濃い目だが割といけるじゃないか。まあ、一応刑が確定していない場所だからある程度の食事が出るのかな? うんうん。もうちょい量があると嬉しいが。


 瓶は、ただの水の様だ。まあ水分は大事だからな。半日に1瓶支給される感じかな。奥の男は食べてまた寝転んでいるようだ。


 俺はトレーニング週間にするって決めたからな。喰ったら寝るまでまた座禅だ。ちなみに食事の間にも魔力を纏い続けている。<魔力操作>のレベルが上れば魔力斬の精度もあがるかもしれないしな。



 スー。フーーーー。

 スー。フーーーー。


 一時間も座禅をやっていると、眠気が出てきた。

 特に抗うこともせず。ゴザを整えて俺は寝ることにした。




 目が覚めても、薄暗い地下ではちょっと時間の感覚が解らない。だいぶ血が戻ってきたのか少し体調は良くなってきている気がする。やっぱ地下はなんとなく冷えるな。毛布の一枚くらいあっても良いのに。


 引き続きやることが無いので、座禅で暇をつぶす。今日はちょっと違う魔力の纏い方をやろうと思う。今までは体を覆うイメージだったが今日は体中に浸透させるようなイメージを心がける。細胞の一つ一つに、脈々と流れる血流の中に。そんなイメージで始めてみた。



 小1時間も経ったくらいか。昨日と同じ様に。2人の男が通路に入ってきた。


 待望の朝食だ。色々言われる前に部屋の隅に行き、配給を眺める。コップに牛乳と丸いパンが2つ。パンはちょっと硬くてあまり旨いとは言えない。それと瓶の水を全部飲み干してあったので出しておいたら、新しい瓶を入れてくれる。


 うん。味気ない。良く噛んで居るとそれなりに味が出てくるが。パサパサしているので結局牛乳で流し込む感じだ。


 食べ終わると再び食器を廊下に押し出して、座禅を再開させる。

 すると程なくして2人の男が通路の鍵を開けて入ってきた。お? 取り調べとか釈放とかあるのか? なんてことを考えて身構えていると俺の牢をスルーしていく。


 あれ?


 2人の男は同じ様な格好をしているが、片方の男は肩章の色が緑だった。


 あれって、第三警備団の色じゃなかったっけ?


「ま……マチスさん……」


 奥の牢に入っていた男の声が聞こえる。


「モーザ。あまり父ちゃんを心配させるなよ」

「……はい」

「お前の気持ちは分かるんだ。だけど、出来ることを早く見つけて行くのが父ちゃんを安心させる近道だぞ」

「はい……」


 なんだ? グレた若者が喧嘩したとかかな。悪趣味だとは自覚してる。だがこういうのは聞き耳立てちまうよな。うん。


 すると第2警備団の方の男がガチャリと鍵を開ける。


「悪いな」

「ほんとだよ。今度奢れよ」

「ああ」


 ふむ。第2と第3の警備団同士で話が付いているのか。良いなあ。こういうなあなあな感じ。俺も警備団にもっとコネを作っておけば良かったって感じか?


 牢からモーザと言われていた男が出てくると、そのまま通路を歩いてこっちに来る。やっぱどんな男だったか気になるしな。鉄格子に近づき確認する。


「良いなあ。出れちゃうの?」


 軽いノリで話しかけると、モーザが振り向く。


 !?


 驚いたことにモーザと言われた青年は黒目黒髪だった。年齢は俺とあまり変わらなそうだ。モーザもまさか俺が同じ黒目黒髪だとは思ってもいなかったのだろう。こっちを向いて驚きの表情を見せる。


 ん? 第3警備団……黒目黒髪……まさか!?


「もしかして、ボーンズさんの息子さん?」

「え?」


 モーザは驚いたように立ち止まる

 第3警備団のマチスと言われていた男も訝しげにこっちを見ていた。


 ボーンズさんは、俺がアジルを殺った時にカポの集落にある第3警備団の詰め所にいたおっさんだ。色々と面倒を見てもらってよく覚えている。確か息子がスパズでそのせいもあって俺のことを気にかけてくれたんだ。


 この反応を見る限り間違いないだろう。

 そうか、警備団に入れずにやさぐれている感じかあ。

 うん、いい人材みっけ。


 マチスは、険しい顔で一緒にいる第2警備団の男に聞く。


「コイツは?」

「ああ、昨日殺しで連れてこられた奴だ。冒険者同士の諍いだ」


 おいおい、あまり変なこと吹き込まねえで欲しいんだが。


「だから、俺は被害者だって。いきなり刺されたんだよ。それをやり返して何が悪い」

「被害者だあ? その割に元気にピンピンしてるじゃねえか。嘘つくにしてもまともな嘘をつけってんだ」

「教会の司祭に回復してもらったんだ。それは教会で確認してるはずだ」

「ふん。まあいい。コイツは判待ちだ。すぐに縛り首だろ」

「はあ? おいおい勘弁してくれよ。ホントに調べもなにもねえの???」

「副団長が直々に調べを取ってくれたんじゃねえか。良かったな正義が貫かれて」


 マジかよ、あのヒゲが副団長か。もしかしてギルド長と繋がってるのか?


 モーザは何か聞きたそうな感じだが2人に促されてそのまま通路の出口に向かってあるいていく。


「モーザ! 俺は冒険者ギルドやめて個人で仕事を始めようと思ってるんだ。一緒に仕事しようぜ! スパズスパズ言ってるヤツ等見返そうぜ!」


 三人は立ち止まらずそのまま通路を出ていく。警備団のやつが鼻で笑うのがムカつく。

 

「俺、こんな所すぐ出るからさ。覚えておいてくれよ!」



 ……


 さて。本当に出れるのだろうか。なんかちょっと不安になってきた。


ありがとうございます。

昨日寝てる間に少しブクマが増えていました。なんかありがとうございます。

気を使ってもらっちゃった気分です。


明日の分、今日完成できましたら明日行きます。

間に合わなかったら土曜に成るかもしれません。

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