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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第二章 ゲネブの省吾 ~冒険者編~

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52.ゴブリンの巣穴 3

今週もよろしくおねがいします。

ゴブリンの巣穴、最終話です。

 炊き出しを頂いてから、各々昨日と同じ寝床で休む。やはりお風呂とかは期待できないらしい。酒を飲んで盛り上がってる集団もあったが、あまり遅くまで騒ぐ者は居ないようで、やがて順々に寝息を立て始める。



 作業二日目の今日は、空がどんよりとして今にも雨が降りそうだ。雨具を持っていなかったので警備団の兵士に言うと、雑貨屋が開いてるから行ってこいと言われる。アジル達のマントが有ると言えばあるのだが、次元鞄の重ね入れで潰した話をしちゃったので新しいのを買って使ったほうが良いよな……。


 雑貨屋で、ポンチョの様なマントの様な雨具を買う、防水のためなのかオイル感が強い。それを次元鞄に突っ込むと、集合場所に急いで戻った。




 昨日燃やしたゴブリンの灰なども一緒に穴に埋めるらしい。ひたすらに土を運んでいく。荷車は、横幅は60cm程度のあまり広いものでは無いので穴の中でもギリギリすれ違える。一輪車の様にバランスを取る手間は無いが、凸凹の道を押すのはやっぱり一輪の方が抵抗が少なくて楽な気がする。


 午後になると少し雨が降り出した。外仕事の時の雨は本当に勘弁して欲しいところだ。買った雨具も地球での透湿素材じゃないので中で蒸れるし、全く良いことは無い。他の冒険者達もだんだんと無口になり黙々と働く。


 今日も一度フォレストウルフがやってきて、すぐに始末されていた。近くに居た冒険者に、ウルフしか出ないのか? と聞くとボアも出るには出るらしい。マンドレイクを探していた時に見たような猿の魔物はキラーエイプと言われる魔物がそれっぽいが、その魔物は知恵が有るのか人間が集団でいる場所には出てこないと言うことだった。



 結局この日での完了とはならず、穴埋めは明日にずれ込んだ。

 往復を考えると、5日か……食事と宿代が掛からないことを考えれば可もなく不可もない依頼になるのだろう。ある意味、5日で依頼を5つこなしてランクアップへの道を狙ったほうが良かったのかもしれないなどとも考えてしまう。



 次の日の昼過ぎくらいで穴が埋まり。明日の朝に全員でゲネブに帰る事を伝えられた。個人的には今日のうちに走って帰ってしまいたかったが、荷車を持って帰らなくてはいけないため、もう一泊教会に泊まることを余儀なくされた。




 帰り道はもう大丈夫かなとリンク達と一緒に歩く。実はずっと気になっていた事があった。


「オーヴィ。ちょっと聞きたいんだけどさ」

「ん? どうしたの?」

「土魔法の時に言ってた、エレメントなんだけどさ。それについて教えてもらいたくて」


 そう。土を一度エレメントにして、それを移動させる。

 土以外の魔法も、エレメント的な存在に変換できるのかと言う疑問だ。土魔法で土を発生させた時、魔素の供給が止まると霧散していくのなら、同じ様に光魔法も魔素が切れれば光源が無くなるのなら、光も同じような性質が有るのではないかと。


 つまり。光をエレメント変換すれば、その間自分の姿を隠せるとか、そういった妄想だ。ただ、どう考えても物質なら解るのだが、波と粒子の性質を持つ光でそれが出来るのかと言われると厳しいとしか言いようがない。


 それでも、一度考え出すとどんどん楽しくなってくるので、オーヴィにエレメントの感じ方などを事細かく聞いていく。しかし質問に質問を重ねているとオーヴィも段々面倒くさそうな態度を隠さなくなってくる。


「色々聞いて悪いな、ほれ、ここに魔力を注ぐと水が貯まるという不思議な筒が有る。お礼にこれをあげようと考えているんだが。どう思う?」

「不思議な筒って……魔道具じゃないか。え? ホントにくれるの?」


 可愛い奴め、お茶の子さいさいだ。一般的な何処にでも有る形らしいが一応ピート達の前では使わないように言っておく。



「それじゃあ、土魔法属性のスクロールを色々集めなくてもいいのか?」

「そうだよ、生活魔法と言われる各属性の基本魔法を覚えれば、理論的にはその属性の魔法をすべて使えるようになるんだよ。それこそ剣士として一人前に成るように練習に励むように、ひたすらその属性のレベルを上げ使い方さえマスターすればだけどね。時間がかかるよ。だから例えば剣で秀でた上級ランクでお金を持ってる冒険者はその属性を極める必要ないからね。自分の手数を増やすためにワンポイントで攻撃魔法だけ取得したりするんだよ」


 んじゃあ、俺も<光源>を足がかりに頑張ればレーザーとか撃てるようになるのか。


「でも、適性も必要だよ? 今回いた3人の土魔法師も茶色の髪だったり茶色の目だったりしてたでしょ? お兄ちゃん黒目黒髪だから……」

「もし俺が祝福持ちなら、目や髪の色関係なくある程度どんな魔法もいけるかな?」

「ははは、黒目黒髪の勇者ならそうかもしれないけどね。祝福なんて伝説だよ」


 ほほほ。生きる伝説ですか? 俺は。



 南門に着く頃には、やはり少し薄暗くなっていた。荷車を返却して、ぞろぞろとギルドに向かう。


 一気に帰宅した冒険者が報酬を受け取るために並んだのでどの列も混んでいる。あまり変わらなそうだったので、久々に受付の青髪のお姉さんの所に並んだ。名前聞きたいなあなんて事を考えながら報酬を受け取ると。


「ショーゴさん、個人指名で依頼が入っていますが……」


 魔石磨きの依頼が指名依頼されていた。ゴブリン討伐で魔石が大量入荷したのかね? 何となく明日は休みたいなあなんて思っていたが、お爺さんとまったり仕事なら悪くないか。そう考えそのまま依頼を受けることにした。



 報酬を受け取ったあと、みなそれぞれに宿や自宅に戻っていく。やっぱ皆疲れてる感じだなあ。


「うう、今日は何処の宿にするかな……」

「なんだ兄ちゃん、決まってないのか? うちに来るか?」


 おお……宿泊代をケチれるのか。突然のリンクの誘いに揺れる。しかしスラム街か……ゆっくり出来るのかな。人の家にお世話になったりって微妙に苦手なんだよなあ。


「うーん。すげー魅力的な誘惑なんだけど、もっとお金がやばくなったら相談するわ」

「おう、兄ちゃんならいつでもいいぜ。子供とかもウロウロしてて慣れないと落ち着かないかもしれないけどなっ」


 リンクたち良いやつらだなあ。そんな事を考えながら、『花の家』に向かった。


ありがとうございます。

もしよろしければブックマーク等頂けたら嬉しいです。


明日もよろしくお願いいたします。

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