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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第七章 閉ざされた島

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299.ヨグ神の呪い 2

おはようございます。

「はぁ。はぁ……」


 まったくクソッタレ過ぎるぜ。一体どこまで切り刻めばコイツは黙ってくれるのだろうか。増えまくる頭に、対処が厳しくなってくる。既に<剛力>無しでは対応できなくなり始め、更に攻撃の手は減りまくっている。みつ子の魔法頼りでどうにか対抗していた。


「ちくしょーめ! コイツのコアは石柱か? それともボストークなのか?」


 だが石柱はあれほど黒く主張していた姿は既に無い。真っ白く燃え尽きた灰のような色だ。みつ子の火球がぶつかるのに合わせ蛇の首をかいくぐる。あれほど鍛えた俺の心肺もかなり崖っぷち感を演じている。ゼェゼェと酸欠の苦しみと、魔力切れの苦しみに耐え、石柱に剣を向ける。

 みつ子もそれを感じ取り、弱めにはなるが小さめの火球を弾幕のように展開し、俺の動きをサポートする。


「ていやっ!」


 かなりの無茶をと思ったが、届く。なるほど。もうこっちは守る必要が無かったのか。

 バフッという軽い音と共に抵抗感のないまま石柱が崩れていく。呪いの力は完全に抜けたということか。


 ハァハァ……エグいぜ。


 それと同時にジリジリと蛇が場所も移動を始める。あの石柱が枷になって動けなかったとしたら、完全に悪手だったというわけか。ゲンナリと泣きそうな目でみつ子の方を見る。


「みっちゃん魔力は」

「全然余裕。半分は残ってる」

「もう帰って寝たいんだけど」

「ははは。ふかふかのベッドが良いなあ」


 あ~。ふかふかのベッドかあ。ゲネブの我が家に帰りたいぜ。まったく。蛇はズルズルと前に進む感じはあるが、思ったより遅い。まだ体が慣れないのだろうか。


「メラがボストークをコアに取り込んでるような話をしてたけど、中にうっすら見えるボストーク叩けばとか?」

「どうだろう。ボストークが儀式に使ったアイテムとかあったり?」

「アイテム??? 伝説のオーパーツ的な?」

「なんか、あの気持ち悪い魔力の渦の中に、ちょっと毛色の違うのがある感じがするのよ」


 ん?

 言われてみれば……ボストークの胸のあたりの魔力の色味が若干違うのか? たしか司祭的な服装に偉そうなデカイ首飾りを下げていたかもしれない。宗教的なアイコンかと思って特に気にしていなかったが……。


「まだ動きが遅いから、コイツの動きがこなれて来る前に叩きたいな」

「そうね、こっちに来るかと思ったけどなんかジリジリだよね」


 かと言って大量の首が絡むことなく小器用に攻撃をしてくるため、俺達の方も気軽に近寄れなくはなっているのだが。


 残りの酒をぶっかけて着火させるとか? いやあ……そこまで濃度高くねえな。もったいないし。でも……御神酒的な浄化能力があるわけでも……あるのか? 試すか。


「……へ? 省吾君???」


 俺は次元鞄から酒を取り出し瓶の蓋を開ける。そしてそれを口に含ませ。再び瓶をしまう。


「あええいう」

「はい?」


 みつ子の戸惑いを無視し、再び蛇に向かう。ニョロニョロとメデューサの頭かよっ! と言う状態で、胴から生えてきた蛇たちが口を開け一斉に伸びてくる。俺はギリギリの所で急停止。


「ブッ!!!」


 毒霧さながらに口に含んだ酒を吹き付ける。


 ……うん。意味なかった。



「ごめん! 火を合わせればよかった???」


 みつ子が俺の狙いが火吹き的なものかと思ったのか、火種を提供出来なかったのを誤ってくる。


「いやいや。ほら、御神酒的に溶けたりしないかなって思っただけで」

「……日本じゃないからねえ。違うんじゃない?」

「……うん」


 コンチクショー。手が思いつかねえんだよ。酒を吹きかけられたところがジュって感じで溶けるような湯気が出るみたいな反応があれば俄然前向きに慣れたんだけどなあ。あの足元の湯気みたいに。


 ……湯気? 足元?


「そうか。みっちゃん下を見て」

「下?」

「<聖刻>刻んだ石を敷き詰めたじゃん? びっちりと。綺麗に」

「あ……それでうまく前に進めないのか」

「ほらっ! ちゃんと綺麗に石畳のごとく並べるのにも意味はあるでしょ???」

「……たまたまじゃん」

「まあそうだけど……」


 って、コイツが<聖刻>を刻まれた石畳の上にいるからその部分の実体が溶けて前に進む推進力を生み出せない。それは分かったけど。

 事態が好転するわけじゃないんだよなあ。


 問題は次々と生み出される蛇の頭だ。もともとは魔力の塊なんだろ? 呪力かもしれないけど。それがなんか意味不明の力で結びついて形を形成してる……その繋ぎを壊せば……って。それがこれから壊したいコアじゃねえか!


 このままじゃジリ貧過ぎるぜ。なんかねえか!


 俺は苛立ち紛れに足元の石を蛇に向かって蹴りつける。まだ積まれてなく形を見る為にただ並べて有ったのだが。石を受けようとした蛇の顔がひしゃげる。それでも物理的な慣性の力を失った石は重力に従って落ちる。ひしゃげた顔は少しすると元のように新品の蛇の顔へと戻っていく。



 ……あれ?


 魔力が集まってコアで凝縮されて形を形成してるのか。もしかしたら……。



 <ノイズ>


 それでも魔力量を考え小さいスペースに、魔力のノイズを混ぜる。


「やっぱりだ……」


 つながっていた魔力の塊が一瞬結合が崩れ形がゆがむ。少し霧散した部分もありそうだ。これは……行けるじゃねえか。


「いまのは?」

「<ノイズ>だ。コイツラの形を形成してるのは魔力の塊だ。一瞬だが魔力の結合に不要な情報をを入れればその結合にダメージを与えられる……じゃねえかって」

「て、天才ですか? 省吾君!」

「ふふふ。みッちゃんもタイミング見て<ノイズ>頼むよ。音声じゃないから<ラウドボイス>はいらないけど、出来るだけ強めに」

「うん。省吾君魔力足りる?」

「行くさ。やるしかねえし」


 俺はプレジウソに飲ましたマナポーションの瓶を取り出す。5本あれば、各瓶数滴づつなら入ってるんじゃねえか? と言う貧乏根性だが、蓋を外し一本ずつ口に垂らせていく。俺の魔力の絶対量から考えれば僅かな回復にしかならないが……。せめてもの気休めだ


 お? コイツも今のノイズで少し危機感を感じたのか? 大量に蠢いていた蛇の頭が少しまとまり、その数を減らす。その代わりに1本1本の首が厚みを増し、ぶっとい魔力で耐久性を強めてる感じなのだろうか。


「行くよっ!」


 足を後ろに大きく上げ、足元の<聖刻>入りの石を蛇に向かって蹴る。石が蛇に到達する前に俺は再び蛇に向かって突っ込んでいった。



ありがとうございます。


いやあ。ストック作れてウハウハだったんですけどね。

原因不明の胃腸炎でダウンしてしまいましたw 昨日は帰宅後すぐに寝てしまう始末。

まだ熱っぽいので、あ、コロナの抗原検査は陰性でした。一応。

今日は書けないかも~

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