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3.初めてのお泊り。

懲りずに続きを。ストックが無くなるより早くどんどん続きを執筆出来ると楽なのですが。。。

 裕也はしばらくこの世界になれるまで泊まって行けと言われるが、本来俺は、初対面の人間の家にズカズカと居座れるほど図太い性格じゃないんだ。だけど……日本で暮らしていた世界と比べ明らかに異質な世界に突然転生した俺としては藁にもすがりつきたい気分なのは否めない。


 ただ……リア充感満載な家庭にこんな朴念仁が居候とか、俺の精神が耐えられるのか……自信は無いぜ。


 だが……。


 よく考えろ省吾! この状況。エリシアさんとひとつ屋根の下というやつじゃないのか? お風呂に入ろうとしたら、偶然。そう。偶然に着替え中の……。ほほう……。


 それにだ。もしかしたらエリシアさんの友達の超絶美人エルフとか紹介してもらえるチャンスだって……もしかしたら……あってもおかしくないんじゃないか?


 ……うん、行ける気もする。いや。行ける。そうだ。迷わず行けよ。行けば解るさ!



 

 そんな俺の葛藤はよそに、なぜかハヤトは俺に懐きまくってた。ハヤトは母親譲りの金髪に、翡翠のような目の色。イケメン予備軍で間違いない。こんな可愛らしい無垢なハヤトを前に、俺の邪心は綺麗サッパリ洗い流されていく。


 大丈夫だ。大丈夫。


 俺は、裕也夫妻が仲良さそうに厨房で夕食の支度をしている間に、ハヤトにリバーシの相手をさせられていた。

 過去の勇者がこれを売り出して大儲けしたのだろうか、などと考えながら徹底的に角を狙う。そこには容赦も油断も存在しなかった。ふふふ。大人が本気で遊ぶっていうのはこういうことさ。

 


「お兄ちゃんすげー強いね!」


 そして、どういうわけかお兄ちゃんである。

 それまで気が付かなかったと言うか違和感はあったのだけど、今の俺の体は15~6くらいの年齢になっていた。裕也が転生時に女神からこっちの世界で一人前と言われる15歳の体にすると言われたらしいが、どうやら俺も同じ扱いになっているようだ。

 11歳のハヤトから見れば立派にお兄ちゃんである。



 それから一応通電が出来るかの確認をと、裕也のePhoneを見せてもらったらなんと俺のと同じ世代の機種だった。よく考えれば20年以上前に異世界に飛ばされたのならスマホじゃなくガラケーや下手するとポケベル時代かもしれない。


 実際裕也が死んだのも2020年の夏。同じ魔法事故での異世界転移だと言うことも解った。


 転生に関して、裕也が言うには女神が生き返らせる直前に「今回3つの魂が吸い込まれちゃってね、あと2つの処理があるのよ」なんて事を言っていたらしい。そう考えれば、そのうちの1つが俺のことだろう。おそらく天界の時間の流れは、下界とちょっと違うんだろうとお互い納得した。

 「今回」と言うのが少し気になるところではあるが。


 となると単純計算でもう1人は俺と裕也の転生時期の中間、つまり10年くらい前に転生してるか、転生業務に20年の期間が開くのであれば20年後に転生してくる感じなのだろうか。会えるなら会ってみたい。



 スライムに溶かされた足の話になると、乾草のような物を水と一緒に練り潰して傷口に塗りつけられた。いわゆる薬草らしい。回復魔法もあるらしいのだが、裕也的に俺が回復魔法を使えるようになるまではこういう技術も覚えておいたほうが良いと言うことだった。


 そして空いていた部屋に簡易的な寝床を作ってもらい、エリシアさんが用意してくれた服に着替え、日暮れとともに寝ることにした。

 布団の上で天井を眺めながら、今の自分の境遇や今後のことを考えていたらあっという間に眠りに落ちた。




 朝。

 目が覚めると、家の外で音がする。

 窓から覗いてみると、裕也とハヤトが畑で作物の収穫をしていた。

 部屋から出ると、エリシアさんが朝食を作っていたので畑を見てくると声をかけて外に出る。


「お兄ちゃんおはよー」


 子供は朝からハイテンションだ。

 「おはよう」と返事を返しながら近づいていくと、畑の隙間から裕也も顔を出し挨拶してくる。なんとものどかな朝じゃないか。

 野菜は全く詳しくないが、多分日本では見かけないだろう形の野菜が沢山取れていた。


 収穫を終え、畑の脇の井戸で顔を洗っていると朝食の準備が出来たとエリシアさんに声をかけられた。

 ふと昨日の傷がまったく痛まないのに気が付き、井戸の水で薬草を洗い流してみると傷はきれいさっぱり無くなっている。

 これは凄いな、ポーションとかの飲み薬もあるのだろうか。やっぱり異世界ファンタジーな世界に放り込まれたんだなと改めて感じる。




 朝食を取りながら裕也と今後の相談をした。


「この世界はびっくりするくらいにゲーム的なんだ。だけど死んだらそこまで。そこが俺が冒険者としてやりきれなかった所でもある。お前がどう生きていくかは解らないが、同郷の仲間が何もわからないうちに死んだりするのもやりきれない。時に、ある程度やっていけるレベルまで付き合ってやるよ。それから町に行っても遅くないだろ?」


 なんて良いやつだろう。リア充は爆発して欲しい所ではあるものの。


 ここの小屋は龍脈の小さな溜り建ててあるとかで、近くにあまり魔物は出ないという。魔物を狩るにはもう少し森林の奥に入っていく必要があるそうだ。


 この世界は魔素と言われる物で満ちていてその影響で多くの魔物が棲んでいる。その中で龍脈と呼ばれる魔素を払うような場所がありそれを龍脈と読んでいるようだ。


 ちなみにこの大陸にはその龍脈が広く巡らされており、街と街を結ぶ街道も龍脈に沿って居るため魔物に襲われる事が少ないという。そして所々に龍脈が溜まる場所があり、街は大きな龍脈溜まりを利用して作られている。


 逆を言えば、人の生活圏は龍脈沿いにしか無いということになるらしいが。



 食事を終えたころエリシアさんが話しかけてきた。


「そういえば昨日のズボンの穴、同じ色の生地は無いんだけど適当な布であててふさいじゃっていいかしら?」

「あ、助かります。結構履きやすいやつなんで気に入ってたんですよ」

「あと服のポケットにいっぱい石が入っていたけどあれは処分していいのかしら?」

「あ……大丈夫です。何も武器がなかったので投石用にと思って適当に突っ込んだだけなんで」


 それを聞いていた裕也が感心したようにつぶやいた。


「省吾お前、冒険者向いているんじゃないか? 昨日持ってた木の棒といい怪我の処置といい生存本能が高いというか、適応力があるよな」

「そうか? どうなんだろう、無料で時間つぶせるからってネットの投稿小説で異世界転生物読みまくってたからかな? あんまり読みすぎて最近食傷気味だったくらいで」



 食事も終わり裕也に付いていくと、家から少し離れた所にある例のレンガ造りの小屋に入っていった。中に入るとそこは鍛冶場になっていた。壁には使い込まれた鍛冶道具が並んで吊り下げられている。おおお。これは良い感じじゃねえか。男はこういう場所に憧れるんだよな、工具一杯のガレージとか。


 裕也が鍛冶場の隅の方にある剣が沢山刺さった箱の中をゴソゴソと剣を出しては戻し出しては戻しとやってる。しばらくして1本の剣を取り出した。


「まずは片手でも持てるサイズの剣が良いかな。素人は片刃の方が安全だろう」


 そう言いながら差し出してきた剣を鞘から抜いてみる、それは刃渡り80cmほどのナイフのような形の剣だった。刃にはキレイなダマスカス模様が入っていて、男心をくすぐる一品だった。


「すげー、かっこいいじゃないデスカ」

「だろ? メインは鋼だからそこまでレアなもんでも無いが、ミスリルやオリハルコンを微妙に分量を変えて合金化させて、それを積層して打ってるからな。綺麗な模様が入ってるだろ。鍛冶チートの俺様の銘を入れれば末端価格は半端ねえぞ」

「おお。これをくれるのか?」

「まあ、使ってみて相性が良さそうなら良いけど、駄目なら他のを考えるぞ」


 やばい、刃物ってこんな心を躍らせるのか……。


「ふふふ、気に入ったみたいだなあ。それから防具だ。そのベストは脱いでおけ。俺は防具は専門じゃないから趣味で作ったようなもんだが、店で売ってる初期装備よりはちゃんとしてると思うぜ。」


 いわゆる革鎧というやつなのだろうか、厚めの革のベストで剣道防具で言う垂が付いていて、肩当ても申し訳程度に付いている簡単なものだった。


「よしじゃあ外で簡単に剣の振り方だけ教えるから、そしたら行こうか」


 そんなんで良いのかよと思いながら剣の使い方を教わる。


「いいか、右手を鍔元に左手を柄頭を握る。剣を振る時の主は左手だ。そう……小指と薬指で握る感じで人差し指と中指は軽く添える感じで……そうそう……ん? ああ違う違う、それは右で振ってるだろ、それだと叩き切る感じになるから刃がすぐだめになる。包丁だって引いて切るだろ、それが切るってことだ。振るのは左手を主にするんだ。そうそう、当たる瞬間にスナップをかけるように刃を滑らすんだ……おいおい、ナタとか斧じゃねえんだから……」


 おっさん、なんかうるさい。

 が、なんか口答え出来る感じじゃない……目がマジなんだ。


 ブン、ブン…………


 少し振っては直され、振っては直され……全然簡単に、じゃねえよ。



 やばい、疲れてもう振れない……と思った時体が淡い光に包まれ疲れがすーっと抜けていく。


 びっくりして振り返ると、ハヤトがニコニコして何やら魔法をかけてくれていた。


「回復魔法??? すごいなこれっ!」

「お兄ちゃん大丈夫? 回復しながらやればいくらでも練習できるからね」

「お、おう……ありがとうな」


 なんか優しいような鬼のようなセリフに感じるぜ……。


「お父さん出かけなそうな感じだからって、お母さんお昼ごはん用意し始めてるよ」


 そう言うとまた家の方に戻って行った。


 その後素振りはとりあえず形になってきたからと、抜き胴の様な動きを練習させられた。超重量の魔物も多いから躱しながら攻撃をするのも出来ないと危険だと言うことだ。


 なにやら足運びが重要だとかで、例によって細かすぎる指導が続く。


 結局お昼までみっちり練習をし、午後に近場で少し狩りをすることになった。


なんか初めての作品投稿でウキウキして何度も読み返してしまうんです。そうするとどんどん気になるところが出てきて、ちょっとづつ手直ししてしまうんです。どんどん続きかけって感じですけどね。あと3話分くらいはストックあるので、明日も投稿します。

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