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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第七章 閉ざされた島

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251.裕也との再会 2

おはようっす

 その後、俺と裕也とで買い出しなどを頼まれて食材を買いに街まで出向く。裕也の宿泊しているホテルの部屋はスィートと言うよりコンドミニアム的な部屋の為、簡単なキッチンなども付いている。長期滞在と言うか居住を念頭に置いている感じがする。


 俺たちが買い出しから戻ると、エリシアとみつ子で料理などを作り始める。

 俺と裕也は、すでに目を覚ましていたソフィアを必死にあやし始める。



「あうぅ。あうぅ」


 まだ、寝返りもできない赤ん坊だ。当然首も座っていないため、抱いていいぞと言われても怖くて遠目に見ているだけだ。早速みつ子が作ったロンパースの様な服を着せられていた。けっこう可愛いぜ。


 ブリッ。


 ……ん?


「……まさか……」

「いや……間違いないな」

「ふむ。ここは裕也先輩が手本を……」

「いや。省吾も予行演習としてやってみると良いぞ」

「だがしかし」

「されどありなん」


 ……。


「ちょっと! 2人とも何譲り合ってるの? 放っておくとカブれたりしちゃうんだから」


 2人で牽制しあっていると、みつ子がやって来て文句を言う。そのままソフィアの前に座り込み、ロンパースの下をペロリと剥く。


「もう。おじちゃんたちは役にたたないでちゅね~」


 みつ子はそのまま手際よくおむつを脱がせると、中はすでに飽和状態だ。俺は思わず一歩後ろに下がるが、みつ子は気にせず汚れたお尻を綺麗にしていく。


「み、みっちゃん、なんか慣れてるね」

「姪っ子の面倒を見てたことも有るしね。アルストロメリアのユニオンハウスにも団員の赤ちゃんとか居たのよ。はーいソフィーちゃん。キレイキレイなったね~」


 なんとなく、みつ子も母親になるとこんな感じなのかな。なんてまじまじと見つめてしまう。





 その後、トイレに行くときに風呂場の横を通ったら、大量のおしめが天井から下げられていた。そこら辺は使い捨てのオムツが無い世界では色々面倒くさいのかもしれない。高級ホテルなのに随分と生活感を匂わせる。


「お前たちもそろそろか?」

「え? ああ。まあ。まだ自由が欲しいなって思っちゃうけどな」

「だけど、こういうのは早いほうが良いぞ」

「そうだなあ……」


 今度、じっくりみつ子と話してみても良いのかもなあ。



 転生してきた裕也とそれをずっと支えてきたエリシア。俺とみつ子。このメンバーじゃなくちゃ話せない話題もいっぱいある。

 俺たちは久々の再会を楽しんだ。



 夕食を終えると、ひとまず俺たちもホテルに帰ることにする。

 裕也は、明日にはモーザの槍の修理をするということで工房に居るようだ。また俺もそっちの方に顔を出すことを約束する。その間にみつ子はまたエリシアの育児のお手伝いを買って出ていた。もう完全にソフィアにぞっこんだ。


「明るい家族計画かぁ……」

「え? なに?」

「いや。そろそろみっちゃんも、子供欲しいかなって」

「……へへへ」


 バシッ!


「痛て。な、なんだよ」


 バシッ!


「だから、痛いって」

「へへへ」

「え? みっちゃん。それ照れてる反応なわけ?」


 バシッ!


「おーい……」




 翌日、朝にラモーンホテル西門支店のレストランで朝食をとる。一応鐘のなる時間という事で話していたので皆勢揃いだ。


「で、今日も俺たちは裕也達と居るんだけど、皆はどうする?」

「わしゃあ、妻を探すだけじゃよ」

「ん。そっか……あ、誰か爺さんに付き合ってやれるか?」


 なんだかんだ言って、他国のジジイだしな。戦争の英雄とか聞くと少し丁寧に扱ってやりたくもなる。するとフルリエが付いていくという。


「いいわよ。元々そのつもりだったし」

「ありがとう。モーザはどうする?」

「俺はミドーとジンを連れて依頼を受けようと思ってるんだ。2日3日かかっちまうかもしれんが」

「依頼? ……どんな?」

「山の方に行ったところにワイバーンが出るらしい。ゲネブ周辺でワイバーンの出るところは相当山に行かないと無かったからな。いい機会だ」

「おおお。ワイバーンかあ。……まあいい機会かは解らないが、了解した。じゃあ、明日は居ないかもな。ホテルは取っておくから気をつけて行ってこいよ」


 モーザらしいといえばモーザらしいが。ワイバーンか。俺も狩ってみたいかも。ちょっと時間があったらまた考えておくか。一週間ほどは王都に居られそうだしな。


 とりあえず全員の行動をチェックして、モーザたちは帰ってきたらまたこのホテルで会う約束をする。



「省吾君もワイバーン狩りに行きたいんでしょ?」

「え? ん……まあちょっとだけ」

「ふふふ」


 みつ子とも途中で別れ、俺は工房へ向かう。なんとなく知らない街を一人で歩いていく感じは良い。人も多いし。……スリも居る。そっと<ノイズ>を<ラウドボイス>に乗せて落として放置だ。


 工房はすでに火が付いていた。覗くと、昨日声をかけてきた隣の少年も居る。少年は熱心に裕也の仕事を見ていて、まるで弟子かなにかのようだ。

 裕也はすぐに俺に気が付き入ってくるように手招きをする。そのまま入っていくと、ようやく少年が俺に気がついた。


「あ、昨日の兄ちゃん」

「昨日はありがとね、無事に裕也に会えたよ」

「お、おう」


 軽く少年に挨拶をしながら、裕也の作業を覗き込む。


「お、早速モーザの槍か? どうだ。治りそうか?」

「おいおい。俺にそれを言うかよ。前よりいい具合にしてやるよ」

「おう、よろしく頼むな」


 ふと工房を見渡すと、結構広々としてる。窯は……居抜きで入ったような話をしていたが、結構新しそうだ。もしかしたら気に入らなくて作り直ししたとかあるのかもしれないな。


 感覚的に趣味のガレージといった感じだ。建物の入口から厚めの木材を使った四つ折りになる大きめのドアになっている。今は端っこの1つ折分だけを開け締めして出入りしている感じだが、大物の鉄工品を工房から出すときには必要だったのかもしれない。裕也は剣などの武器がメインのためそこまで大きいものを作るわけではない。


 そして中にはいると、土間になっており、真ん中にドーンと炉が設置されている。炉はシンプルだが横に、日本に居た頃にテレビで見たことが在るような鞴が設置されており、取っ手を押したり引いたりして風を発生させているようだ。作業場の大きさはだいぶ広くなっているが、作業の様子は前の小屋と大して変わらない感じがする。


 以前にハヤトが裕也の手伝いをして、熱した金属をハンマーで叩いていたりしたが、それを隣の少年がやっているという感じだ。


 俺は裕也達の邪魔にならないように、少し離れ、周りをウロウロする。工房の奥が小上がりの様になっており、その奥が居住スペースだろうか。覗いてみると品よく家具など置いてあり、2人で暮らすには十分な感じはする。

 まあ確かにススなどが発生する工房の脇で赤ん坊を育てるというのは日本から来た俺たちには当然気になるのだろう。


 それでも一応炉の真上には漏斗状に広がった煙突もあり魔道具で換気扇のように吸い上げているようで工房の中の空気はそんな煙たくもないし具合は良い。熱いは熱いけどな。


 

「お。今日はやってるじゃねえか」


 そんな中一人の男が開けたままの扉から顔をのぞかせた。


ありがとうございます。

明日の投稿のために、仕事の合間にちょこちょこ頑張らないと。

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