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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第七章 閉ざされた島

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249.王都 2

おはようございます。

 どうしたものかと途方に暮れていると、変な集団が家の前で佇んで居るのが気に成ったのだろう、隣の工房から15になったか位の少年が出てきた。年齢もバラバラの俺たち6人を怪しいやつを見るような目で見てくる。


「ユーヤだろ? 今は居ねえよ」

「え? ああ、ありがとう。居ないって、待ってれば帰ってくるのかな?」

「いや。しばらく居ねえと思うぜ。剣が欲しけりゃ武器屋回ればいい。まあ、売れ残りなんて無いだろうけどなっ。ハハッ」


 それだけ言うと、少年は工房の中に戻ろうとする。


「ちょっと待って。裕也どこに行ったか知ってる?」

「んあ? 知らねえよ。知ってても教えるわけねえだろ」

「いや、俺達は裕也の友達なんだよ。ほら、決して怪しい人間じゃないぜ。な」

「……省吾君、それ一番怪しいやつ」


 みつ子の言う通り、少年は超胡散臭そうに俺を見る。


「皆そう言うんだ。俺はユーヤの友達だーってな」

「えー。ほら。なんか裕也から伝言貰ってない? わざわざゲネブから出産祝いに来たんだぜ? 剣の依頼とかじゃないんだよ」

「え? 出産祝い?」


 お、出産祝いに少し反応が出た。その時少年の工房の奥から酷い濁声が響いてくる。


「おい。ビクトー! いつまでやってるんだ!」


 怒鳴りながら出てきたのは、プロレスラー並のガタイをした壮年のおっさんだ。いかにも鍛冶師といったおっさんは、これまた胡散臭そうに俺たちの方を見ながら出てくる。


「親父。いや、なんかコイツら武器の依頼で来た客じゃねえみたいなんだ」

「ああ? じゃあ何しに来たって言うんだ」


「えっと。ですから出産祝にと……」

「出産ったって、ユーヤは男だぞ?」

「はい? あ、いや。出産したのはエリシアさんですよね……でもまあ旦那は裕也な訳で」

「そんなの知ってるわ」

「あ、はい」


 うっわ。職人ってなんでこんな面倒くさいタイプが多いんだよ。

 しかしおっさんは、そのままこっちをみて一言。


「サクラ商事か?」

「え? あ、はい。そうです。あ、聞いていました?」

「ああ。工房区画の空気はススで赤子に悪いって言ってな、ホテルで暮らしてるわ」

「え? まじっすか。何処のホテルかは――」

「いつも使ってる所って言えば分かるって話だ。それで分からねえなら偽物だからって話だな」

「あ、なるほど……了解です。ありがとうございます」


 おっさんに礼を言ってホテルに向かう。裕也と言えばラモーンズホテルしか無いだろう。たしか王都にはラモーンズホテルの本店が有った気がするが。なんとなくみつ子がうろ覚えでホテルの集まっていそうな区画にラモーンズホテルも有ったと思う、と言うことだったのでそちらに向かう事にした。


 王都は大きさ的にはゲネブよりほんの少し大きいくらいらしいが、街の歴史はだいぶ古いためゲネブと比べて区画が微妙に入り乱れている。いや、ゲネブは大規模に区画整理とかしているから道も広いし真っ直ぐなんだろうな。

 そんなヨーロピアンな裏通りみたいなのは歩いていて楽しいのだが。道がわからなくなりそうだ。


 俺たちは新たな老人を拾うこと無く。ラモーンズホテルを見つける。西門の近くだ。ただ、思ったより普通の感じのホテルで、ゲネブにある高級ホテルの感じと比べると一段回下がる感じがする。一号店と言うことで最初はこんな規模から始めたのかもしれないな。


 日本のホテルで「裕也は居るか?」なんて訪ねても個人情報的に教えてくれないとは思うが、そこら辺はまだ緩い世界だ。尋ねると「少々お待ち下さい」と客の名簿を開く。


「……」

「……えっと。もう一度お名前をよろしいですか?」

「裕也です、あと奥さんのエリシアさんと、産まれたての子供の3人だと思うのですが」

「……ん~。ございませんね。当ホテルで間違いは無いのでしょうか?」

「あれ? 裕也がラモーンズホテル以外のホテルに泊まった話って聞いたこと無いんだよなあ」


 俺がそうつぶやくと、受付の男性はあれ? と言った感じで俺の方を見る。


「失礼ですがお客様は王都の方では無く?」

「え? 俺達ですか? はい。俺達はゲネブから来たばかりなんです」

「なるほど。それでしたら、ラモーンズホテルは王都に3軒ございまして、残りのどちらかかもしれませんね」

「3軒???」


 話によると、ここと同じ様な一般旅行者向けのホテルがもう一軒俺たちが入ってきた南門の近くにあり、それと本店が中央通り沿いに在るという。本店はかなり高級ホテル系と言うが。


「それじゃあ、裕也さんなら本店じゃないの?」

「うん、だなあ」


 そう言えば……。


「やっぱり、本店はここより値段が高くなります?」

「そうですね。やはり本店の部屋の作りは少しグレードがお高めになります」

「……ですよね。じゃあ、部屋ここで取っていっちゃうかな」


 本店でじゃあ、部屋を取ろうと言う話になったとき、高いから支店でって言いにくい気がするんだ。小市民としてはこっちのラモーンズホテルで部屋を抑えちゃうべきだという判断だが………


 いや、でもそれでもラモーンズホテルだよ。それなりのグレードなんだって。



 部屋を取ったあと、モーザの長槍なんかは次元鞄に入らないので、そういった手持ちの荷物をそれぞれの部屋に置いてくる。本当はシャワーも浴びたい気分だったが、まあそれは後での我慢だな。


 その後、受付の人に本店の場所を聞くと、再び俺たちはトコトコと歩いていく。


「旦那。腹減ってきません?」

「ん? うん。まあ……そうだな。皆も……減ってるか」


 ミドーが空腹を訴え、確かにと仲間を見渡すと十分に空腹感を感じさせる表情だ。昼くらいに王都に着いてひたすら歩いていたからな。言われてみると腹が減ってる。


 そう言えば王都は、みつ子もジンも住んでいたんだ。店は2人に任せるか……。


 ただ、ジンは元々王立学院でこの王都に住んでいたもの、寮や学園の食堂での食事が殆どであまり店は詳しくないということで、結局みつ子にチョイスを任せる。みつ子は意気揚々と、かつて王都で暮らしていた時代に好きだったと言う店に案内してくれた。



「あらま。もしかしてミツコかい? あんたゲネブにお嫁に行ったって聞いていたけど。どうしたの? 出戻りかい?」

「ははは。お久しぶりっ。仕事で久しぶりに来たの。ルッカさんも全然変わらないね~」

「ほほ~。なるほどねえ。で、旦那さんは……一緒に来てるの?」

「来てるよ~。はいはい他人のふりしないの。ルッカさん。この人が省吾君です」

「おお~。なるほど……ふんふん……へぇ。可愛い子じゃない」

「はははは、こんにちは」

「ちょっとオヤジ臭いけどね~」

「ほっとけっ!」


 みつ子も、馴染みの店に5年ぶりくらいに顔を出せたのが嬉しかったようで、始終楽しそうにしている。


 そして食事を終えるとようやく裕也の泊まってる(と思われる)ホテルに向かった。


ありがとうございます。

少しづつ執筆ペースを上げていきたいのですが。

なかなか・・・・ですね。

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