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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第六章 ゲネブの省吾~続謎の珠編~

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218.トゥルの依頼 20 ~山の集落~

おはようございます。

 BBQの宴はその日の夜まで続き、夜は昨日もらった果実酒を振る舞われ楽しく盛り上がる。どうやらモーザの竜との契約も祝う感じになってる。


「モーザ、契約してなにか変わったのか?」

「ん? なんかハーレーと意識が繋がった様な感じがするんだ。たまに話しかけてくる」

「え? テレパシー的な?」

「テレパシー? なんだそれ」

「いや、ううむ。なんていうか意識で話しかければ相手に聞こえるような? 念話って言った方が良いのかな?」

「ああ、そんな感じだ。あとスキルに<竜との契約>と言うのが生えてる。少し大きめだな」

「まじか、それってスキルで出るのか。なんかすげーな」

「おう。竜に乗って出かけられるんだぜ。やべえよな」

「う、うん」


 そうか。竜との契約はスキルで発現するのか。加護の持ち主が器が大きめなのはそういった条件があるからかな。なんか俺もちょっと羨ましくなってきたが……龍の加護じゃない俺には契約は無理な気がするんだよな。


「私も竜と契約したいな~」

「みつ子も俺も、なんとなく難しそうな気がするんだよなあ」

「言葉は分かるんだけどねえ」

「あと、なんか皆子供すぎるんだよなあ。もちょっと大人が良いな」

「う~ん。確かに子供は可愛いんだけどね。大きさが可愛くないから、はしゃいでオイタした時の被害がひどそうだね」

「うわ……想像したらやばかった」

「ふふふ」


 その後昨日一緒に飲んだオクトさんも謝りに近づいてきたが、謝りの言葉を言わさずに飲ませまくった。





 散々盛り上がった次の日。朝起きると妙にモーザが眠そうな顔をしてる。


「ん? 寝足りないのか?」

「いや……ちょっと……」

「どうした?」

「夜寝てる時に、何度もハーレーが今何してるの? って声を掛けてくるんだ……」

「まじか……」


 話的に初めての契約でハーレーも嬉しくて念話を使いまくっちまうのか? しかしそういうのは始めにガツンと言わないと後々イニシアチブを取られたりしそうだからな。今日はきっちりと2人の間で決め事を決めてくるようにモーザにはっぱをかける。


 朝食を食べると、モーザも流石にキツイと思ったのか意を決して竜の寝床に向かっていった。


 トゥルは果実の苗を貰いに行くということで、木魔法を使うフォルにトゥルについて行き、出来るなら苗を管理をするように頼む。ショアラとスティーブもそれに付いていった。俺とみつ子はとりあえず昨日セットした氷室の様子を見に行くことにした。



 氷室は問題なく動いていた。やっぱあのお婆ちゃん只者じゃないな。携帯氷室用と言ってた気がするが冷却力はなかなかの物だ。外気温の影響を受けにくい洞窟を利用しているのも功を奏している気もするが、十分使えそうだ。魔石の方も村には在庫が十分あるようだったが、竜が取ってくる魔石は少しサイズが大きい気がする。ここまで来る間にまた魔石が増えていたので少しシーンさんに渡しておいた。



 その後、モーザの事も気になるので竜の寝床に行ってみるとちょっとした騒ぎになっていた。



『モーザはおでの体が目当てだったんかっ!』

「体ってなんだよ、だからオレにはオレのペースだってあるんだよっ」

『だどもおで達は友達だ。いつだって話しかけてもいいだでっ』

「友達だって何でも許されるわけじゃないだろ!? お前だってゆっくり寝たい時にいちいち起こされたら嫌だろっ!?」

『だども……だども……』


 うわあ……完全に痴話喧嘩じゃねえか。やっぱ200歳って言っても子供だよな。間に入ってあげたいが、どうすりゃいいんだ? やがて『モーザの馬鹿あああああ』と叫ぶとハーレーは洞窟の奥に逃げ込んでいった。あっけにとられたモーザが俺がいるのに気が付き助けを求めるようにこっちを見る。


 ……


「しょうがねえな、じゃあちょっと俺が――」

「私が行ってくるよ」

「え? みっちゃん行ける?」

「わかんないけど。省吾君が行くと正論で殴りつけてハーレーがもっと傷つく気がするの……」

「う……分かる……気がする。お願いしていい?」

「うん。ちょっと行ってくる」


 みつ子がちょっと苦笑いしながら洞窟の奥に向かって歩いていった。


 ……


 ……



 1時間も経っただろうか。やがてみつ子と共にハーレーが洞窟から出てきた。


『おで……わかった。我慢する。モーザと友達だから』

「お、おう」

『でも、たまにはおでと遊んでくれる?』

「お、おう。もちろん遊ぶさ」

『ゲネブの街に入れないって言うけど。それも我慢するだ』

「そ、そうだな」

『モーザは不器用だからおでが色々ささえていくんだ』

「え?」

『あどモーザに彼女が出来ても、おでは妬いたりしないぞ』

「へ?」


 なんだ? 一応……妙にしおらしくなっちまってる。みつ子の方を見ると得意げにウィンクを飛ばしてきた。や、やるじゃねえか?


 余計なことも吹き込んでいそうな気がするが。



 でもまあ、いきなり初対面でお互いのことを知らないで契約したんだ。始めは色々とすり合わせが必要だろうな。ハーレーもそうやって大人になっていくんだ。うん。やっぱ子供の竜と契約するのって相当きつそうだ。


 それでもみつ子と女性たちから果物を分けてもらい、それを竜の子たちに与えながら良さげなのが居ないか探ったりしてみた。モーザはようやくハーレーと仲直りが出来たようだ。龍に乗るためのハーネスのようなものを借り、騎乗する練習をするといってハーレーに乗りどこかに走り去っていった。


 夕方になって帰ってきたモーザはだいぶぐったりしていたが。ハーレーはすげえぞとなかなか良い感じで楽しんで来たようだ。


 トゥル達も、果物の育て方などを村の人からきっちり指導を受けたようで順調そうだった。果実も味見をさせてもらえたが確かに旨い。日本で作られているような糖度の異様に高いものではなく上品な甘さの果物だ。違う場所では三角形の不思議な形の果物なども作られているらしいが、トゥルは育てやすさからこの桃風の果物を選んでいた。桃風と言ってもちょっと果肉を押すとその部分が熟んでしまう感じの柔いものではなく、食感的にはりんご的な硬さがあり輸送にも耐えれそうかな? なんて思う。


 それから2日ほど、モーザはハーレーの騎乗に慣れるために練習をし。俺たちはパン爺さんを訪れたりして、まったりと村の生活を楽しんだ。



 こんなスローライフを楽しむのも久々で後ろ髪は引かれるが……あまりいつまでもここに居てもしょうがないからな。そろそろ帰らないとな。




ありがとうございます。

誤字の多い中、大量の誤字報告感謝しております。

それでもなるべく減らそうとはしておりますのでご了承ください。


明日もイケルと思います。

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