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190.女子会 1

おはようございます。


久方ぶりにレビューを頂き舞い上がっております。

やはりレビューを頂くとアクセスが一気に増えてバリバリ盛り上がりますね。

今後ともよろしくお願いいたします。

 ガサゴソ。ガサゴゾ。


 朝、何やら物音がして目が覚める。久しぶりにじっくりと寝たくて昨夜は<良き眠り>を切って寝たんだった。目覚めのまどろみの中、なかなかに重い目蓋というのも久しぶりかもしれない。


「ごめん。起こしちゃった?」

「おはようみっちゃん。大丈夫よ。どうした?」

「昨日ホテルに泊まったんだけどね、装備は家に置いたままだったから取りに来たの」


 その言葉の通り、みつ子は寝室の棚から冒険者装備を出して着替えているところだった。俺はベッドに横になったまま装備をつけていくみつ子を眺めていた。


「ねえ。みっちゃん」

「ん?」

「チューして」

「あら? まあ。甘えん坊さんですか?」

「うーん。おじちゃん昨日は気疲れしまくって、もうぐったりでさ」

「はいはい。ちょっとまってねおじいちゃん」


 ……


 ……


「うっし。なんか元気が出た」

「仕事の時間までゆっくりしてなよ」


 みつ子はそう言うと出かけようとする。


「あ。今日は仕事休みにしてもらったんだよ。のんびりしてるよ」

「え? じゃあさ、夕食また皆と食べるから省吾君もおいでよ」

「邪魔にならない?」

「パンテールさんも紹介しろってうるさいのよ」

「ははは。分かった夕方には家にいるよ、あ。事務所の方が良い?」

「うーん。シャワー浴びたいから家に居て」

「了解」


 ……あれ?


 ちょっと待て。パシャ居るんだよな?


 ……やっちまったかも。昨日に引き続き心労が……。




 昨日と同じ様に部屋の掃除や、みつ子の脱いでいった服を洗濯する。なんか下着は洗うと怒られるんだが。あえて洗ってあげる。最近ようやく<ウォーター>が使えるように成り洗濯がだいぶ楽になった気がする。


 初めて水を出せた時。まるで三重苦のあの人と、サリバン先生のように光明が差し込むような衝撃を受けた。以前土魔法のオーヴィからエレメント変換の話を聞いたことが有ったが生活魔法の<ウォーター>は消えない水が。攻撃魔法の<ウォーターボール>は維持の出来ない消える水が発生する。感覚的に、オーヴィの言ってたエレメント的な話が分かった気がするんだ。


 でも、水や土の様な物質的なものと、光はちょっとまた違うのだろうか。光魔法の方はなんとなくまだ感覚が掴めなくて悩み中だ。みつ子の火魔法もなんとなく光寄りの感覚の様な気がする。



 昼過ぎ、3時くらいだろうか。みつ子が帰ってきて着替えなどをすましている。俺は普段着のままで良いやと思っていたが、どうやらみつ子は納得できないようで時間が有るから俺の服を買いに行こうと言い出した。


「えー、コレで良くない?」

「ちょっといいお店行くのよ。もうちょっといい服買いに行こうよ」


 牢屋から出た時にシシリーさんが用意してくれた服はだいぶいい感じだと思うけどな。だがいい服だっただけに結構着回して袖口や首元が少しヨレヨレしちゃっている。仲間に彼氏を紹介する立場のみつ子としては納得できないのだろうか。



 2人で街に出て買い物をする。みつ子は嬉しそうに腕を絡ませてくるが、少し恥ずかしい。中央通りの今まで寄ったこともない少し高級感の有るブティックでみつ子に言われるがままの服を買い身につける。


 鏡の前に立つ俺は、すこしばかりキザな感じがしてコレで良いのかと悩む。元々があまりオシャレをする人間じゃなかったからな。私服も登山ブランドの山に行くような格好が多かったんだよ。まあそれでもそれなりに自分のオシャレとして着ていたわけだが。


「やっぱりもう少し普段着ても浮かないのにしようぜ」

「うーん。分かる気はする」

「でしょ? 無地の方が助かるなあ」

「ほらほら、でも暑い時はこのカーディガンを腰に巻いたりしてさ」

「業界人が出来上がるのですね」

「そうそう」


 この世界の服はあまり種類が多くない。高級店になると刺繍の多さが高級品としての主張をするようで、黒地に金糸でゴージャスな柄を刺繍してあるような服はやっぱ抵抗感が半端ない。色々店を回って、ようやく良い素材を使ってシンプルに作っている店を見つけ服を決めた。


 決めたのはシンプルに白いシャツに紺の薄手のカーデガン、それと短パンだ。地球だとドレスコードのある高級料理の店に短パンで入るのはNGだが、この世界にはそんなものはない。と言っても冒険者が城壁の外に短パンで出ていくなんて話も聞かないが。安全な街の中の普段着としては温暖なゲネブではたまに見かける。


 気がつくとみつ子も自分の買う服を決めていた。俺は大人だからな「え? みっちゃんも買うの?」なんてツッコミはしないのさ。店を回っていたら結構良い時間になっていたので俺は脱いだ服を店の袋に入れさせてもらい、そのまま待ち合わせの料理店に向かった。



「アルストロメリアで予約をしてあると思うのですが」

「はい、承っております」


 店はそこそこ上品な感じでお高そうなお店だ。以前シシリーさんに連れて行ってもらったレストランと同じ様な格に感じる。中に通されるがまだアルストロメリアの面々は来ていない。とりあえず飲み物だけ頼んで待つことにした。


 しばらくすると1人の女性が入ってくる。


「悪い。待たせたか?」

「あ、ドリーさん。私達も来たばかりですよ」

「ほう、彼がみつ子の良い人か」

「は、はい。省吾と言います。よろしくお願いたします」


 ていうか、なんでアルストロメリアの人達は「良い人」って言い方するんだろう。たしか前の獣人もそうだったなあ。王都流か?


 まもなくパンテールも含めた残りの3人もやってくる。パレードの時遠目だったからあまり気にならなかったが、こうして目の前で見るとデカイなこのおばちゃん。190くらいはあるんじゃねえか? そんなデカイなりで待ち合わせに遅れた感じでアタフタしてる姿がとてもAランクの冒険者には見えない。


「ごめんミツコ。遅れた。申し訳ないな」

「ママが遅れるのなんて慣れてますよ。こっちはこっちで先に始めちゃってますけど」

「おう、彼がみつ子の良い人か」

「省吾と言います。はじめまして」


 全く同じじゃねえか。やっぱ「良い人」なんだな。古風と言うか。


 入ってきたパンテールは残りの2人を紹介してくれる。1人はパシャだ。知ってる。もうひとりはトレゾアというらしい。今回の人選はAランクパーティーになれる貢献度の人間と貴族出身者で纏めたらしい。そうか。パンテールのおばさんも貴族出身なのか。


「そう言えばパシャとは会った事があるらしいな」

「え。あ。まあ。ちょっとだけ」

「え? 省吾君そんな事言ってなかったじゃない」

「いやまあ。なんとなくそうかな? なんて思ってたけど。確信もないし」


 まあみつ子は突っ込んでくるだろうな。うん。でもこの話は華麗にスルーを――。


「以前<剛力>集めでゲネブの先にあるダンジョンにパシャに行ってもらってたんだ。そこでショーゴ君と会ったようだ。まあ話を聞く限り悪いのはこっちだ。うちの者が申し訳なかったな。気にするな」

「はははは。もう覚えてないし。大丈夫ですよ」

「ええ? どうしたの? まさか喧嘩したの?」

「いやいやいや。なんもなかったよ」

「むー。何が有ったの? パシャさん」

「ん? 王都の冒険者とゲネブの冒険者のやり方の違いで少し揉めただけだ。気にするな。……コイツがパンテールは糞だとか言ったくらいの話だ」


 おいおいおいおい。パシャよ。全然許しちゃいねえじゃん。ていうか糞までは言ってねえぞ。


「ちょっと。省吾君! どういうこと?」

「アイヤー。困ったアルヨ」

「ふざけないでよっ!」


 ……


 ……


「なるほどねえ。まあ王都周りのダンジョンは無法地帯だったからね」


 この話を1人自分だけ知らなかったってのも有ったんだろうな。みつ子は俺がパンテールの事をクダラナイみたいに言っちゃった話でちょっと憤慨していたが、パンテールが必死になだめて話をしてくれる。大した話でもないからな、マナーの違いで衝突なんて。あの獣人の子の感じだとあの後はちゃんとやってくれたっぽいし。まあとっとと話題を変えてくれよ。


ありがとうございます。

もう少し国王の来訪関連は続きますが、どうかよろしくです。

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