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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第六章 ゲネブの省吾~続謎の珠編~

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183.時間つぶしトレーニング

おはようございます。

 それから国王の訪問の日まで予定が無かったので、皆で森の中で訓練などに勤しんだ。奥までは行かず、適当な場所でお互いに稽古を付ける感じだ。


 みつ子もこういう時は剣で参加する。魔法ばっかりで近接戦闘は苦手かとも思っていたがそれがなかなかやるんだ。やはり転生者はみなある程度のチートはあるんだろうな。しかしもし剣で勝てなくてその上あの火魔法を持っている、なんて事になると完全に俺の立場がやばい。俺は大人気なく出る杭を打つことにする。


「モーザ。やっておしまい!」

「省吾君じゃないの???」

「ふん。モーザに勝ったら相手をしてやろうじゃないか」

「ふふふ。ちょっと待っててね」

「おいっ! ちょっと待て! 俺に勝てると思ってるのか?」

「モーザ君、女性に弱そうだから」

「なっ!!! くそう!」


 ……否定しないんかい。モーザ……。


 実際、割といい男だと思うのだが、モーザは女性に弱い。黒目黒髪だとイケメンでもモテないのかもしれないな。一度レベリングに女性司祭がやってきたときなんて、珍しく頭を下げてまで女性の担当を逃げたくらいだ。流石にみつ子は長く一緒に居る分慣れてきてはいるが、サシでの対戦となると緊張を強いられるようだ。



 みつ子が持ってる剣は、街で見かけた竹材を必死で加工した袋竹刀の様な物だ。普通の竹刀は作り方が良く分からなかったので竹を割って革を加工した袋に突っ込んだ感じだ。柳生新陰流あたりでそんな袋竹刀を使ってたと思う。ただちゃんと作り方を知ってるわけじゃなく、持ち手が上手に出来なくて苦労をした。モーザの持つ槍のタイプは更に構造を悩んで作り上げた一品だ。イメージは薙刀用の竹刀みたいなやつ。


 いくらみつ子も転生チートがあるとはいえ、そう易易とモーザには勝てない。こういう対戦を見ているとモーザにも覚えさせた<瞬動>の効果の高さを強く感じる。突きはじめの動作もかなり早いし、攻撃された時の対処も素早い。<動作予測>もみつ子の避ける方向を予測するのか、いやらしく動きを封じていく。双方とも決め手を欠いたまま長期戦の様相を見せる。うんうん。なかなか良い訓練になるじゃないか。


 焦れたみつ子が攻勢に移る。


「ごめん、モーザ君。一瞬待ってもらっていい?」

「ん? どうした? 降参か?」

「ううん。ちょっと暑くて……」


 そう言うとみつ子は着ていたシャツを脱ぎ始めた。


「なっ!! 何を考えてる!!!」


 焦るモーザにみつ子が、「え~だって暑いじゃん」と素知らぬ顔でシャツを脱ぎ捨てる。ブラジャーがこの世界には無いのだろうか。みつ子は上半身をチューブトップの様な胸を隠す布だけの状態になる。ちなみに下半身はいつものアラジンパンツのような物を履いている。まあセクシーといえばセクシーだが、ベリーダンスの踊り子みたいなもんで、そこまでエチイ格好でも無いのかな? 


 だが。モーザには抜群の攻撃力を見せる。


「よし、コレで良いね。さ、行くよ」

「良くねえよ! ちょっ! 上着ろよ!」

「え? 別に胸出してる訳じゃないじゃん。大丈夫よ」

「駄目だっ! 駄目だっ! なんて破廉恥な!!!」

「はい、行きます~」

「おっおい!」



 ……


 みつ子の方にまともに目を向けれないモーザが勝つ術は無い。


「むっ無念……」



 勝ち誇るみつ子が俺に袋竹刀を突きつける。


「次はあなたよ!」

「ふははは。良いだろう。よくぞここまでたどり着いた!」


 ようやく俺の番が来たようだ。勝ち気にはやるみつ子だが、とっておきの秘策があるんだ。俺は、頭上の龍珠をコントロールし俺の前へゆっくり下ろしていく。そして俺とみつ子の間でぐるぐると回しはじめた。


「ちょっと! 魔法は禁止でしょ???」

「コレは魔法ではない! スキルだ!!!」

「うわあ……」

「さあ。その火を飛び越えて来いっ!」

「何処の三島よっ!」



 とまあ、まだ俺はモーザに負けないしな。モーザと苦戦するみつ子に負けはしないぜ。触ったらビリビリするガルと、触ったらアッチッチのメラに対処の出来ないみつ子に勝ち筋などないんだ。


「ショーゴさん……それは無いですよ」


 スティーブも若干呆れ顔で見ている。だがなスティーブ。男はいつでも全力投球なんだ。俺はそれをお前たちに教えたかったんだ。わかってくれ。



 ……


 ……



「今日の省吾君、減点1です」

「え? ええええ???? なんで?」

「ずっこいのは駄目です」

「むう……」

「今日は私一人でベッドで寝るから、サクラで寝てね」

「みっちゃ~~ん?」

「甘えても駄目ですっ」


 うん。調子に乗りすぎちまった。


「お前も同罪だ!!!」


 モーザもみつ子にプンスカしている。




 でもみつ子はちゃんと夜には機嫌を直してくれた。



 そんな感じで、国王の到着まで和気あいあいと己を磨きながら過ごした。レベリングばかりの日々が続いていたのでかなり良い気分転換に成ったんじゃないだろうか。そして今回の訓練で1つ面白いことが分かった。みつ子がファイヤーボールをメラにぶつけると、ファイヤーボールをそのまま吸収してしまうんだ。ガルの方は雷属性だけあってぶつかって弾かれるだけだったが、対火魔法にはメラは有効っぽい。


 国王の到着予定日の前日には、みつ子、モーザ、スティーブの3人は事前説明があるため第2警備団の詰め所に行った。あそこは、嫌な思い出が多いからな。俺が行かないで済んだのは良かった。まあ副団長だけが嫌なヤツなのかもしれないけどな。


 数パーティーの冒険者が依頼を受けて一緒に説明を受けるらしい。うちはサクラ商事でパーティー扱いにしてもらえるようだ。


 俺はその時間に、頼んでおいた服を取りに行き、その後ジロー屋のオヤジに料理人のスケージュールなどを確認しに行った。


「まあ、お前はテンイチを作る時だけで良いっちゃ良いからな。あれは恐らく夜食的なので作る形になるから、実際いつ注文を受けるか解らねえんだ」

「え? じゃあ、ただ厨房で滞在期間中ぼーっとしてるんすか?」

「そうだな、まあとりあえず午後からで良いぞ、ほれ。貴族街に入れる書状だ。夕食の準備は昼飯終わって……3時位に来てくれればいいわ」

「1日拘束されなくて良かったけど、行くときは正装で良いのかな?」

「いや、それは持ってきておいてくれれば良い、更衣室に棚もあるから必要な時に着替える感じだな。来る時は普段着で大丈夫だ」


 領主の館の、従業員用の裏の入口などを教わり、貴族街に入る書状を受け取る。刃物などの武器類と次元鞄も持ち込みは禁止のようで大きめの袋でも持って行く感じか。一応龍珠に関しても問題はないという事も書いてもらえてるようだ。


 ふう。


 面倒だけど、貴族街を見れるのはちょっと楽しみだな。


ありがとうございます。

ダラダラしていると直ぐにストックが溶けていきますね。


明日の分は大丈夫ッス

また明日!


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