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過去の転生勇者が色々やっちまって、異世界ライフがシビアなんですが。  作者: 逆霧@ファンタジア文庫よりデビューしました。
第五章 ゲネブの省吾~謎の珠編~

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172.みつ子のカレンダー 2

おはようございます。

昨日サボっちまいました。

 俺とモーザがレベリングに励んでいる間に、みつ子とスティーブは版画用の木板や彫刻刀等の道具を購入してせっせと作業をしていた。みつ子はコスプレの裁縫などを自分でやっていたと言うだけあって工作的な作業は好きなようだが、版画自体は初めてらしく試行錯誤しながらやっているようだ。まあスティーブはアシスタントだな。


 夕方にレベリングから帰ると、事務所で予定のデザイン画など見せられ相談されたりする。といってもカレンダー自体は日本でよくあるタイプの物をそのまま作る予定のようで目新しいものではないが、細い線を出すのがなかなか大変らしい。なんか楽しそうでいいじゃん。




 6組目が6日間のレベリングを終え休日に事務所に行くと、汚れないようにとの配慮だろう。床に大きい布を引いてスティーブとみつ子がカレンダーを作っていた。この世界に売っている1枚物のカレンダーではなく、1から13の判子も作り、1年分のカレンダーとして作っているようだ。


 スティーブが版画を刷り、みつ子がそれをまとめて一冊のカレンダーに仕上げている。上部を糊で止め、さらに硬めの紙でまとめて、通常ミシン目が付いている部分に千枚通しの様なもので細かい穴を開けて切り離ししやすい感じに仕上げていた。


 何日か前の試作品は、紐でぶら下げ捲くるような感じだった筈だが、ちょっと改良しているようだ。だが手作業だけに完成スピードはゆっくりになっている。


「いい感じじゃん。手伝おうか?」

「大丈夫、省吾君今日休みでしょ? のんびりしててよ」


 そんな事言われても、必死に頑張ってるしなあ。


 手持ち無沙汰なので街に茶菓子的なものを買いに行き、みつ子とスティーブにお茶を淹れて出したりする。お茶とお菓子をテーブルに置くと、流石に二人共手を止め休憩する。


「で、これどこで売るつもり?」

「え?」

「え? って。考えてなかった?」

「うーん。そうだねえ。普通のカレンダーはどこで売ってるの?」

「多分商業ギルドが仕切って、いろんな店舗に卸している感じだと思うな」

「そっか、じゃ商業ギルドに相談する?」


 色々話した結果、まずはランゲ爺さんの所に持っていって話を聞いてみることにした。カレンダー自体は30冊ほど出来上がっているようで、その中で出来の良さそうなのを持ってランゲ爺さんの事務所がある家具屋に行く。


 魔石磨きは、レベリングの間に頼まれたりしてみつ子を連れて行ったことがあるので、一応面識は有るが、こういうのは俺もついて行ったほうが良いのかと思う。




ランゲ爺さんへのプレゼンはみつ子自身で頑張っていた。正直手帳的な物も無い世界だから簡単なスケジュール管理が出来るのは確かに良さそうだけどね。かなり忙しい商会の人なんかはこんなんじゃ足りないだろう。家庭用のイメージだな。


 ランゲ爺さんも売れると判断したらしく、店舗などに置いたりしてくれるという。まあ商品を卸す感じなので、ランゲ商会で商品開発をしたりする手間が無いから敷居は低いのだろう。俺はノータッチで全てみつ子に任せようと思っているので、値段や卸す数など2人で相談して貰っている間に、俺は下の階で家具でも眺めることにした。



 ソファーの所でオットマン等を見てると、以前も対応してくれた店員が声をかけてきた。サクラに合うオットマンを探していると言うと、やはりオットマン単品はなかなか無いと言われる。ソファーとセットで作られることが多いようだ。ただ、もし気に入った形などがあればそれに張る革材を合わせて職人の方に頼んでくれると言われた。


 うん。めちゃくちゃ魅力的な事言われちまった。オーダーメイド気分じゃね? 恐る恐る値段を聞くと、ソファー本体とかとは違ってなんとかなる金額だ。たしかに1つ、このオットマンをサクラと同じ革材で仕上げればかなり良いんじゃね? というのがあったので思わず頼んでしまう。


 このまま店員さんがサクラの色等を見に来てくれるというので、みつ子に言伝を置いて家に向かう。多分商談だもの。長くなるよね。良いよね。



 以前、サクラの革がブラッドバイソンと言う魔物の物ではと言われていたのを伝えると、何種類か革を持って家まで来てくれる。「なるほど……」とサクラをおもむろにひっくり返し裏の職人の刻印等を確認する。


「この椅子の職人はゲネブに居ますのですぐに連絡が取れると思います。場合によっては同じ職人に頼むのもありかと思うのですが」


 なるほど、店でこんな感じと指定したオットマンは製作者が違うようだ。サクラと同じ親御さんに作ってもらえるならそれ以上の幸せはねえ。喜んでお願いした。




 店に戻るとまだみつ子は爺さんの部屋に居た。商談的なのはほぼ終わっていたが、だいぶ雑談で盛り上がってるようだった。もっと四季がハッキリしてれば、月ごとのデザインとか変えたりして楽しいかな? なんて言ってるが。月ごとに版を掘らないと厳しくなるよなあ。面倒くさいですよね。


 カレンダーがそこまで売れるのか解らないが、値段的にそこまで大儲けするものでは無い。と言っても紙自体それなりにするので安い買い物では無いが、ランゲ商会に来るお金持ちな客などは平気で買っちゃえるだろう。


 こういう事言うと怒られるかもだけど、小学生の頃図工の時間あたりに自分たちで紙を漉いて、こういうマイカレンダーを作ったような記憶がある。紙質も日本のそれとは違う粗造な作りなので若干そんな若い頃の思い出を呼び覚ます一品だった。


 その後、ランゲ商会と契約した納品数が揃うまで2人でカレンダーを制作し、それが終わるとまたレベリングの方を手伝ったりしていたが、カレンダーはそれなりに売れるようでたまに追加で発注を受けると2人で制作をしたりしていた。


ありがとうございます。

長過ぎるレベリング業務どう処理していこうか。悩んでますw

ふふふ



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