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勇者様の理想の彼女  作者: 屋月 トム伽
9/17

ジークは目を反らします

王都につくと、飛竜は何故かさっさと上空に上がり見えなくなった。

「そういえば、ジークは何しに王都に来たの?」

「何しに…て、」

(イグニスにフィーネの口説き方を聞きにとは言えない。)

ジークは、無表情のまま固まってしまった。

「壊してしまったテーブルと、仲間に会いに来た。」

「ふーん、でも飛竜に乗れたから、すごく良かった。また、一緒に乗せてね。」

フィーネの笑顔に、ジークは連れて来て良かったと思った。


ギルドにつくと、ジークは入り口で悩んだ。

(フィーネの可愛いさに、誰かが目をつけたらどうする?)

「ジーク、入らないの?」

「いや、フィーネはここで待っててくれ、仲間の居場所を聞くだけだから。」

ジークはフィーネを近くのベンチで待たせ、走ってギルドに入った。


「大至急、イグニスの場所を教えてくれ!」

ギルドに入るなり、ジークは受付のロジーに聞くと、ロジーはビックリした。

「どうした?ジーク。血相変えて、大物でも見つけたか?」

「いや、魔物ではないが、一大事だ。」

「だが、イグニスはお前の方が知ってるんじゃないか?今なら、いつもの店で遅いモーニング取っていると思うぞ。」

「そうか、わかった。」

ジークは疾風のように出ていくと、フィーネの元に戻ろうとした。


ギルドを出て、フィーネを見ると、彼女の周りに男が二人いた。

(なんだ?あの男達は!?)


「だから、人を待っているんです!どこにも行きません!」

男達はフィーネをナンパしていたのであ

る。

「あ、ジーク!」

ジークが近づきフィーネは声をかけた。

「俺のフィーネに近づくな!」

「!あの、大剣!?まさか、ジーク?」

ジークは怖い形相で男達を睨み付け、男達は逃げて行った。


「ジークを見て、逃げちゃったね。」

「すまん、少しとはいえ、一人にさせて。」

「お仲間は?」

「いつものところでモーニングを食べているらしい。まだ新居をもらってないのかも。」

「家をもらう?」

「ルミナス王から、魔物退治の褒美でイグニスとサリアは二人の家を希望した。」

「王様から?ジークは何をもらったの?」

「…」

(なんだ?褒美に彼女が欲しいと言ったとフィーネに言えない。)

「…金」

「欲しい物なかったの?」

「特には」

「なんか、目を反らした?」

「…、イグニスはきっとこっちだ。」

(フィーネが疑っている。やっぱり言うと引かれるのでは。)

ジークは足早にフィーネを連れて歩いた。


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