ジークは目を反らします
王都につくと、飛竜は何故かさっさと上空に上がり見えなくなった。
「そういえば、ジークは何しに王都に来たの?」
「何しに…て、」
(イグニスにフィーネの口説き方を聞きにとは言えない。)
ジークは、無表情のまま固まってしまった。
「壊してしまったテーブルと、仲間に会いに来た。」
「ふーん、でも飛竜に乗れたから、すごく良かった。また、一緒に乗せてね。」
フィーネの笑顔に、ジークは連れて来て良かったと思った。
ギルドにつくと、ジークは入り口で悩んだ。
(フィーネの可愛いさに、誰かが目をつけたらどうする?)
「ジーク、入らないの?」
「いや、フィーネはここで待っててくれ、仲間の居場所を聞くだけだから。」
ジークはフィーネを近くのベンチで待たせ、走ってギルドに入った。
「大至急、イグニスの場所を教えてくれ!」
ギルドに入るなり、ジークは受付のロジーに聞くと、ロジーはビックリした。
「どうした?ジーク。血相変えて、大物でも見つけたか?」
「いや、魔物ではないが、一大事だ。」
「だが、イグニスはお前の方が知ってるんじゃないか?今なら、いつもの店で遅いモーニング取っていると思うぞ。」
「そうか、わかった。」
ジークは疾風のように出ていくと、フィーネの元に戻ろうとした。
ギルドを出て、フィーネを見ると、彼女の周りに男が二人いた。
(なんだ?あの男達は!?)
「だから、人を待っているんです!どこにも行きません!」
男達はフィーネをナンパしていたのであ
る。
「あ、ジーク!」
ジークが近づきフィーネは声をかけた。
「俺のフィーネに近づくな!」
「!あの、大剣!?まさか、ジーク?」
ジークは怖い形相で男達を睨み付け、男達は逃げて行った。
「ジークを見て、逃げちゃったね。」
「すまん、少しとはいえ、一人にさせて。」
「お仲間は?」
「いつものところでモーニングを食べているらしい。まだ新居をもらってないのかも。」
「家をもらう?」
「ルミナス王から、魔物退治の褒美でイグニスとサリアは二人の家を希望した。」
「王様から?ジークは何をもらったの?」
「…」
(なんだ?褒美に彼女が欲しいと言ったとフィーネに言えない。)
「…金」
「欲しい物なかったの?」
「特には」
「なんか、目を反らした?」
「…、イグニスはきっとこっちだ。」
(フィーネが疑っている。やっぱり言うと引かれるのでは。)
ジークは足早にフィーネを連れて歩いた。