ジークとフィーネ
ジークは飛竜を飛ばし急いで、フィアードの森へ行った。
(思えば、戦いの日々だった、魔物と戦い、レベルを上げ、気が付けば、イグニスはサリアと恋人同士になっているし、周りの奴らも、彼女や結婚してる者までいる。俺も、彼女が欲しい!)
ジークはそんな事を考えながらいると、飛竜がキューと声をだし、下を向いた。
下を見ると、森の中に小さな泉のような湖が見えた。
「なんだ?水が飲みたいのか?しょうがないな。」
ジークは飛竜と湖に降り立った。
飛竜から降りると、チャポンと音がし、ジークは音の方に振り向いた。
そこには、肩より少し長い水色の髪の女の子が湖から上がる所だった。
「きゃぁ!?」
思わず見とれていたジークは、彼女の悲鳴で我に返った。
「すっ、すまん!」
「痴漢!?」
「違う!飛竜に水を飲ましに降りただけだ!」
ジークは、思わず、彼女の腕を掴み落ち着かせようとしたが、力強くそのまま押し倒してしまった。
そのまま、二人は目が合った。
「きゃぁ!やっぱり、痴漢!?」
彼女の悲鳴でまた、ジークは我に返った。
「違う!?とっ、とにかく!早く服を着てくれ!!」
樹の影から、彼女はじっとジークを睨むように見た。
「本当に痴漢じゃないんですね?」
「違う!飛竜に水やりにたまたま降りただけだ!」
「後ろで飛竜が水を飲んでいるし、一応信じます。痴漢呼ばわりして、ごめんなさい。」
樹の影から出て来て、彼女は素直にジークに謝った。
「こちらこそすまん!まさか人がいると思わなくて。」
「まあ、本当に人は私以外森に住んでませんから。」
「は?この森に水の乙女がいるのでは?」
「何ですか?それ?」
「…」
「魔法使いセレスティアの予言で、ここに水の乙女がいると、」
「セレスティアは、私のお師匠様ですけど、予言なんてできませんよ。騙されたのでは?」
彼女がポカンとした顔で言った。
(あの魔女めー!?)
ジークは心の中で叫んだ。
「あのー、お師匠様がなんかすみません。痴漢呼ばわりしちゃったし、お詫びにお食事でもします?」
「そういえば、腹が減ったな。」
「村に今から買い物に行きますので、すぐに作りますね。」
「そういえば、名前を聞いてなかったな、俺は、ジーク・ルカニアだ。」
「私は、フィーネです。」
二人は飛竜を置いて村へ行った。