ちいさなエール
学校のチャイムが鳴り終わると同時に安心の一息がそこらで聞こえる。
今日は授業というより、講演だった。
心についての。
みんなそれぞれ悩みを抱えているし、その気持ちを表したり、先生にいうことは決して恥ずかしいことじゃない、みたいな内容だった。そして、友達の相談には親身になるようにともいわれた。友達なんていない俺には関係ないやって思ってた。
ありきたり過ぎて眠くなっていたし、半分は絶対寝ていたと思う。
この時、俺はなにも考えることなく、ただ、新学期をぼっちらしく生きていた。
◇◆◇
6月になって、急に学校にいかなくなった。いじめとか体調不良と言うわけでもない。ただ、行きたくないのだ。
最初は心配してくれていた人もいたけど、途中からうざがられるようになった。まあ、当然といえば当然なんだが。
それからメールも、関わりも全部俺から切った。
その時は何も感じなかったけど、徐々に寂しさが出てきた。でも、今いったとしても・・・
◇◆◇
それから、中学の友達の奨が家に来るようになった。学校に行っていないことを話したら、最初は驚いていた。でも、俺を責めなかった。
「何で?」俺は彼に問いかけた。「なんで、こんな俺を、親にも周りにも責められるおれを責めないの?変じゃん。」
そしたら、あいつはこう言い放った。
「圭は、 なんか悪いことした? 学校に行けてないのは良いことではないよ?でも、それで、ここまで圭が追いつめられなきゃいけない理由にはならないじゃん。先生も、親も、責めてくるって?なら俺が、圭の居場所になる。俺は、いつまでも圭の味方だから、安心しな。」
今にも泣きそうな目でそういう奨の言葉にちょっとだけ救われた気がした。
「独りになりたくない、だから、側にいさせてくれる?」
「独りきりになんかさせないから、なんかあってもなくても、正直に話して。」
◇◆◇
それから夜通し思い出話について、奨|について、趣味について語りあった。
そしたら、自然と笑顔が出てきた。自分でも、すごい久しぶりに笑っているような気がして、すごいうれしかった。
帰り際
「やり直すのは難しいかもしれないけど、もう一度、頑張ってみるよ。」
奨
そう言った。
日の出前なのに、なぜか光に照らされたような、そんな気がした。
同じく学校テーマです。
この短編集は学校をテーマにやっていくつもりです。