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接木  作者: 世良榎名無シ
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第4話【修正】

 私は何のために書いている?

 私は永遠に生きたところで、誰のために有れる?

 そもそも私には、その淀んでいる心なるモノは有るのか?

 立ち直るも何も、

 最初から今迄、

 一度も、

 私は、

 人間ではなかった。

 人間であってくれと、

 私を愛し、願ってくれる者もいなかった。

 唯々迷惑で、鬱陶しく、面倒で、

 余計な事をされたくないから、

 だから、

 「おいバケモノ、首輪着けろ」

 としか言われずに生きてきた。

 誰も私を愛さない。

 当然だ。

 私は誰の心も分からないから。

 だから悪意で手を握られているのか、

 好意で肩を叩かれているのか、

 何も分からなかった。

 数少ない理解者に存在しない悪意を見出し、

 敵対者の方便に依存し、偏愛を寄せてきた。

 心が無い為に理解者を憎悪し、

 敵対者を愛していたのだ。

 誰も近寄らなくなるのも無理無い。

 振り返って。

 心の無い私が何故心の浮き沈みを気にしていたのだろうか。

 そんなものは初めから無い。

 では、この塞ぎ込んだ精神は何だと謂うのだろう。

 ……簡単な話だ。

 また「人間ごっこ」をやって悦に浸っているだけだ。

 故にこんな事に意味は無い。

 また奇形児を作る作業に戻るか、

 もっとマシな人間ごっこに努めるか、

 或いは人間ごっこを今度こそやめるか。

 兎に角、この不安も恐怖も虚無感も全て、

 全て存在しないモノで、

 私の妄想で、

 唯此処にあるのは、

 私の身体が全て腐り果てて死ぬと謂う、

 そう遠くない未来ただ1つ。

 だからこんな、

 無意味な、

 「不治の病を宣告され絶望に打ち拉がれた人間」

 のロールプレイは終わりだ。

 私に心は無い。

 感情も。

 有るのは壊れた身体と不出来な脳味噌だけだ。

 ならばせめて……。

 せめて。

 誰かに愛されて、見送られたかった。

 否。

 これも人間の心の真似事なのだろう。

 この悲しみも、寂しさも、苦痛も。

 全部心の無い怪物の妄想。

 私には誰も必要ない。

 バケモノはバケモノらしく、

 嗤いながらお前達の血肉を貪り、

 憎まれ、

 怨まれ、

 嫌われ、

 嗤われ、

 死を喜ばれながらこの世から消え去ろう。

 その日まで、共に嗤い合おう。

 お前達は私の「喰いモノ」。

 見返りに、幾らでも殴り、蹴るがいい。

 其れがお前達の答えだと、

 私は生まれた日から知っていた。

 さあ、この夜が明ければ。

 私はまた腐った人間の皮を被る。

 だからお前達は私の正体を喝破し、

 死ねよ消えよと大合唱しておくれ。

 砕け散る、その時迄。

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