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プロローグ〜桶狭間の戦い①〜

お久しぶりです。『ゲーム片手に天下統一player1〜勢田に我が武田の旗を立てよ〜』の投稿より半年間、仕事の都合により中々投稿出来ませんでした。改めてまして新作描かせていただきます。不定期投稿となるかも知れませんが、なるべく早く次話を投稿したいと思います。



1560年尾張国 清洲城






「言わずともわかっていると思うが…今川についてだ。何か策がある者はおらんか?」



目尻にシワがよっていることから大変機嫌が悪いことが判断できる。それに加えて手に持った扇子を広げたり閉じたりしてもいる。そんな彼が座っているところは、集まっている家臣達が座る場所よりも一段と高い場所であり身分も一番高いのが伺える。


織田信長。


誰しもこの名前の人物を詳しく知らなくとも、名前くらいは知っている、見たことあるだろう。三英傑の一人であり、戦国の世を終わらせるきっかけを作った人物である。それ故に比叡山延暦寺の焼き討ち、長島一向一揆における男女2万人の殲滅。天正伊賀の乱など数多の非戦闘員を含めた者を虐殺した人物としても知られている。


家臣達は近くで織田信長という男を見ているので経験から下手な事を言えば、自分の首が飛ばされかねないと思っている。



「殿!ここは籠城しかないかと……。今川は2万5千から3万。我らは集めてもせいぜい3千だ、野戦をしたらひとたまりもない」



「何を言う!籠城したところで誰が援軍をくれると申すか!援軍どころか同盟国もないわ!ここは迎え撃つべし!」



尾張国織田氏の居城である清洲城では籠城派と出撃派で論争を繰り広げていた。



籠城派は鬼柴田と恐れられている、柴田勝家や、佐久間信盛、村井貞勝といった父の代から仕えている家臣達。出撃派では乳兄弟である池田恒興、丹羽長秀といった信長の側近達であった。



「数年前まで同盟国だった美濃を治めていた山城守(斎藤道三)様も子である一色左京大夫(斎藤義龍)との戦で亡くなっており敵対関係。対する今川は駿河・遠江・三河・尾張一部を治めている大国であり、背後には武田、北条と行った大国もいます」



戦より補給や物資など奉行職のほうで活躍している側近の丹羽長秀が答える。



「丹羽殿の言う通り、同盟国がいない現状ここは撃って出て義元の首を取るしかないと思う」



長秀の意見に対して同意する、信長の乳兄弟である池田恒興も答える。



「丹羽殿や池田殿は織田家を潰すお積りか?なんの策もないまま、無闇に撃って出て殿が討ち死になされたらどうなる。殿がいなければ織田家どころか尾張が焦土となるだろう」



柴田勝家は織田家を心配するが故のひとまずの、籠城策だった。



「ならば柴田殿、籠城策を取った上でも援軍も無くやがて降伏し今川の属国となるか、または滅亡するかも知れないのですぞ。織田家を思うならば籠城策は下策である」




「ぬっ……」



長秀の正論に戦では鬼柴田と恐れられている勝家でも言葉に詰まる。


家臣達の論争を目を閉じ、一言も話さなかった信長はようやく言葉を発した。



「ここで仲違いされても困る。落ち着け」



「「すいませぬ!」」



長秀と勝家達は深々と頭を下げる。



「良い……。儂が思うに……「殿!た…た、武田の使者が面会を求めておりまする‼︎」な…なんだと?」



信長の自ら思う策が聞けると家臣達は下げた頭を上げた直後、会議中の広間に家臣が転がり込んできた。



「今川の同盟国であるあの武田が?」



信長は考えてもいなかった武田からの使者に目を大きく開けて驚く。



「はい!」



「な…ならば、そ…早急にここに通せ!失礼の無いようにだ!」




「はっ!」



信長は驚きすぎて言葉がうわずる。

信長同様に家臣達も動揺している。



「甲斐の武田が何の用だ?仮にも同盟国相手の敵だぞ我々は」



「まさか、今川の援軍に武田の軍勢も出てきたということか?」



「こ…この戦勝てるのか?」



「今川相手ならある程度戦えるかもしれんが、戦国最強の武田相手には無理だな」




家臣達がヒソヒソと隣の者たちと会話をする。家臣が武田からの使者を急いで呼びに行きやがて部屋に床を踏む鶯の鳴き声が段々近づいてきた。これは誰かが廊下を歩いていることを知らせることができる。いつ暗殺されるかわからないので屋敷や城などで多く用いられる。



「失礼」



一言そう言って広間に入ってきた武田の使者を信長達、織田家の者は見る。



「織田上総介様、お初にお目にかかる。武田遠江守 信景でございます」




「う…うむ。甲斐の地からはるばるご足労いただき感謝する。して遠江守殿、貴殿は苗字からして武田の縁者なのだろうか?」




「我が父は武田家当主である武田徳栄軒信玄であり私はその三男でござる」



既に武田の使者で驚いていたのだが、更に追い討ちをかけるように当主の三男と名乗ったのだ。



(当主の三男が来たと言うことは、それだけ大事な話しなのだろうか)


信長は信玄が自身の子を使者として送ってきた意図が分からなかった。




「してご用件は?」



「我が父、武田家当主の言葉をそのまま述べさせていただきます。『我が武田は甲斐・信濃・上野の三ヶ国はいずれも内陸国、貴殿も知っての通り越後の上杉を打ち破り海を取ろうとしたが、誠に遺憾ながら勝敗は決せぬ。我が武田は今までの方針を変え、駿河・遠江・三河の海を制する。今川が上洛の軍を挙げた今、今川の領内には兵はあまり残っておらぬのだろう。ついては織田殿には今川治部大夫(義元)を討ち取って貰いたい』とのこと」



「と…ということは、武田は今川から敵対して我が織田に味方すると?」



「はい、そう思ってもかまいません。ただ今川に勝利した暁には武田と同盟を結んでいただき、駿河・遠江・三河を武田が制しますので容認していただきたいのです」




「なるほど、海が欲しい武田は今川が邪魔、そして我が織田も今川が邪魔。利害が一致したということか。敵の敵は味方ということだな」



「はい既に我が武田家は密かに今川領に向けて進軍中、上総介様が治部大夫殿を討ち取ったと同時に攻め入ります」



「しかし大軍である今川に勝てるなど、そうそう容易いことでは無い。策が無いので、今もこうして軍議の真っ只中だ」



呆れたように家臣達を見渡す信長。



「そこは大丈夫でしょう。幸い、我が父から織田に助力せよと言われておりますので…」



信長はそれを聞いた途端、凄い勢いでその場から立ち上がり信之の側まで駆け寄りその場に座り頭を下げる。これは本当にあり得ないことであり、ましてや織田家の当主である信長が大国の当主の子とはいえ、三男に頭を下げる事はそれだけ武田との関係を重視しているからだ。



「誠に感謝する。長秀、遠江守殿の部屋をご用意せよ。軍議は一時中断だ」



「はっ!」



信長は長秀に命じて信之が使う部屋を用意させるのだった。


面白い、続きが気になる。続きを早く書けや!と思ってくださる方、ブックマーク、感想などよろしくお願いします。





※名前を信之→信景に変更

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