表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

別れの季節を乗り越えて、出会いの季節がやってくる。凍った水は溶けだして、隠れていた芽が顔を出す。僕の花は咲かないのかなぁ。そろそろ咲いてもいいよね。でも僕の花はまだ芽を出さない。

 僕は高校生になった。高校生と聞くと、やっと大人の一歩目に立った気がする。そしてさらに小中学生のときより自由になった気がした。小中学生のときは親が、勉強しろ!とか言ってきて束縛されているような感じだった。でも高校生になったら何も言われない。こんなに嬉しいことはないだろう。親からの勉強しろ攻撃を受けなくて済むから。こんなことを考えてるのは僕だけじゃないじゃないだろう。高校進学が決まった中学三年生は絶対考えてる。やっと親から開放された。その喜びを踏みしめ僕は天に向かって手を掲げた。「やったー!」不覚にも声に出てしまって、周りのごみ捨て中のおばさんや疲れが溜まってそうなサラリーマンがこちらを変な目で見たが、僕は気にしない。だって高校生になれたのだから。天に掲げた手の先に白い鳥が飛んでいた。自由に羽を広げ飛んでいた。「あの鳥も多分高校生だな。」と思った。

 僕が通う高校の最寄り駅まで着いた。ここから三鷹第二高校までは、綺麗な桜道を通る。この桜道で僕のヒロインと出会う。そして熱い恋をする。というのが僕の妄想で現実に起こるわけもなく、この桜道が終わろうとしていた。「これでいいのか、僕の青春!!」そう言い放った瞬間!鳥のフンが肩に落ちた。「のぉぉぉぉぉ!!」また注目を浴びた。生意気そうな小学生が近付いて、「だっさぁ!」と言い放った。僕の青春、高校生生活はもうエンディングを迎えた。小学生に馬鹿にされて生きていけるかよ。僕はもう涙目だ。「さよなら僕の青春!さよなら僕の高校生生活!」そう言って僕は近くにある公園の公衆トイレに走っていった。

 色んなことがあったが、それらを全部リセットしてさっきの続きに戻ろうか。奇麗ではない桜道を抜けると田んぼが広がっている。そこに2つ学校がある。僕が通う三鷹第二高校と名門女子校の三鷹第一高校である。三鷹第一高校の生徒のほとんどがお嬢様で、三鷹第二の馬鹿な生徒とは釣り合わない。だから三鷹第二の馬鹿な生徒が立ち入ってはならない禁止区域である。見た目も全然違う。第一は施設は整備されてて、壁は塗りたて。それに比べて第二は施設は最悪、壁は薄汚れている。「これが社会の縮図かぁ…」意味の分からないこと言い出し、「綺麗な学校で青春を送りたぁい!!」と言った途端、一気にこちらへまた注目が集まったのでその場から逃げるように全力疾走で学校に向かった。

 学校の正門を通過した、やっぱ早く着きすぎたせいで人が全然居なかった。そんなことは気にせず自分の下駄箱に向かった。「えっと…一年二組だったかなぁ」一年二組の下駄箱を見ても僕の名前が無かった。「おかしいなぁ…まぁ後で先生に言えばいいか。」そう思い、靴は下駄箱の上に置き、自分の教室に向かった。廊下を歩いているが、何か思ったより綺麗な感じだった。普通に整備されていて、教室も綺麗だった。「外見だけ悲しい感じだな。」と思い自分の教室に着いた。

 席順を黒板に書いてなかったので、自分の席が分からなかった。「まあテキトーにどっか座って待つか。」と言い、ドアの近くに座った。ここで僕の高校生生活が始まるのか。クラスに可愛い子いないかな。楽しみでウキウキしてた。こんな感じのことをずっと考えてるとドアが開いた。来た!入って来たのは清楚な女子生徒だった。可愛い…よし挨拶しないと…そう思うと、僕は、「おっおはよう…!」と言った。そうすると清楚な女子生徒は「えっ?」と言って戸惑っていた。俺、まさかやらかしたか…なんだこの反応は全然分からない。女子生徒はまだ戸惑っていた。僕は勇気を出して、「どっどうしたの?」と話しかける。すると女子生徒は息を呑んで、「何でここにいるの?ここ女子校だよ…!!」と言った。「え??」「えっとだからここ三鷹第一高校だよ…」「え、えぇぇぇぇぇ!!!!」僕は倒れた。嘘だろ、間違えるなんて。そしてもう終わったな。僕の高校生活は。「あのー大丈夫?」僕は立ち上がり、「大丈夫です!」と返答する。「えっと、もうちょっとでここの生徒が登校するよ。」「助けてください!!」と僕は言う。「見つからないようにここから逃して下さい!何でもしますからぁ!」女子に頼るなんて最悪な男だと自分は思った。そしたら女子生徒は「いいよ!早く急ごう!」と言ってくれた。「ありがとうございます!!!」と深めの礼をする自分。「大丈夫だから早くしないと他の人来ちゃうよ!」「はっはい!」と返事をした瞬間、僕達は走り出した。考えれば分かった、下駄箱に自分の名前が無かったのも、教室や施設が整備されているのもこの学校なら当たり前だ。だってここはお嬢様が通う名門女子校だから!「早く!」僕は女子生徒に連れられ下駄箱に着き、靴を履き、正門に向かった。ゴールまであとちょっと、でもここで最悪の事態が…!正門からリムジンが大量に入ってきた。「えっと…これは?」僕は女子生徒に聞いた。「時間切れみたい…どうしよう…」と女子生徒が戸惑っている。「もう僕はいいよ…このまま正門から出て怖いここの先生に捕まるよ…」と僕はそう言った。でも本当はそんなこと言いたくなかったけど、これが一緒に協力してくれた女子生徒に向ける最高のカッコつけ方だ!さよなら僕の高校生活!!すると女子生徒は僕の裾を掴み、「まだ諦めちゃダメ!裏門があるはず、だからそこに向かいましょう!!」と言った。「え…でも僕はもう…」「良いの!!行きましょう!」と僕の手を引き裏門に向かった。

裏門に着くとまだ人は誰もいなかった。「良かった!」と女子生徒が自分のように喜ぶ。「ありがとう!本当にありがとう!」と僕は感謝の言葉を述べる。「大丈夫!バレなくて良かった!次からは間違えないようにね!」と微笑みながら言った。「うん!じゃあこれで!」と裏門から出ようとしたら、「あのー名前ってなんて言うの?」と女子生徒が言ってきた。「僕の名前、僕の名前は神田新太!」「新太君ね!ちなみに私は白峯結芽乃っていうから!」と笑顔で言った。「じゃあ気をつけて学校に行ってね!新太君!」彼女はそう言って微笑んだ。「うん!」と言い僕は後ろを向き、本当の学校に向かった。また会えるかな。いや会うんだ。白峯結芽乃さんに!こうして僕の高校生活、青春が始まったのかもしれない。という恋愛モノによくあるナレーションを妄想して考えていたら、いつの間にか田んぼの中にいた。「だっ大丈夫??気をつけてー!」白峯結芽乃がそう言う。「うん!気をつける!」と僕は大きな声で叫ぶ。「そんな大きな声出したら…」「おいっ!誰かいるのか!」と怖そうな男子教師の声が聞こえ、やべっ!と思い僕は勢いよく走り出した。「おいっ!誰かいるなら返事しろ!」「はいっ!います!」という白峯結芽乃の声が聞こえた。「よっしゃーここから僕の高校生活を楽しむぞー!」と泥だらけの僕はそう言ってまた注目を浴びた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ