第1回 八岐大蛇
とりあえずは第1回目ということで、まずは私の作品のスタイルがどういう変遷を辿って来たのかを、何回かに分けて書いてみようと思います。ちなみに次回はまったく別の内容を書こうかと思ってますので、ご理解のほどお願いいたしまする。
正直なところ、私は幼少期の記憶はほとんどありません。あってもせいぜい恥ずかしいものばかりで、思い出したくなどないのが実のところです。この当時の話を母から聞いていると、どうやらある一冊の絵本に熱中していたようなのですが、そのタイトルと言うのが……。
『ヤマタノオロチ』
八岐大蛇とは、記紀神話の序盤に登場する八つの頭と尾を持った怪物です。
絵本の流れとしては、出雲の地で次々と娘を喰らう八岐大蛇を、高天原を追放された須佐之男命が退治する、というものです。八岐大蛇を退治した後、須佐之男命は新たに妻とした櫛名田比売とともに幸せに暮らしましたとさ――大雑把に言えばこんな話です。
確かにそう言われると、そんな絵本を読んだ記憶はうっすらとあるのですが……そんなものを読んでたのか、自分。自分でもびっくりしているところですが、母も当時はびっくりしていたようです。
そんなわけで、私の黎明期はいきなり記紀神話の世界から始まっていたのでした。
ちなみにこの須佐之男命、八岐大蛇を退治する少し前は、実の姉(天照大神)の宮殿でクソを撒き散らしていたとか。大した奴だ……。