7話
始まりは馬車の中
お尻が痛い。
座ったまま眠ったため、体の節々が痛い。
何故かケーゴはのびのびと寝ていた。若干イラッとした。
水筒の水で顔を洗い(水魔法で多少多めの水がキープできるようになった)、
馬車に戻ってケーゴとともに携帯食を齧った。
昼前にはバード村につき、お礼を言って、僕らは雑貨屋に行った。狙っていた短刀と鉄の棒を購入するのだ。はっきり言って高かった。ケーゴはつよさが上がり、鉄の棒を振り回すことができるようになっていた。僕は全体的にはステータスが上がっていたが、剣や棒には適性がないようだった。
この村を北に向かうとモンスターの種類が変わる。数種類のモンスターがいるようだ。もちろん竹槍も使えるようだが、攻撃力でいうと短刀の方が高い。鉄の棒は当たればそれ以上だ。
お金にはならないが、南のスライムを試しに叩いてもらった。オーバーキルでゼリーが飛び散っていた。
ギルドに向かい、クエストを確認する。
グレイウルフの討伐、ゴブリンの討伐、ブラックボアーの討伐の3種類があった。採取クエストも存在した。
グレイウルフはすばやさが高いため、なるべく避けるようにし、ゴブリン討伐と採取をすることとした。最低でも1000ゼニーを稼がなければ、宿屋に泊まれない。
村の北には柵の間に門番がおり、門を開いてくれた。日が落ちる時には門を閉めるので、夕暮れまでには帰ってくるように言われた。街道沿いにはモンスターが見られなかったので、まず東の森から入って行くこととした。前衛にはケーゴ(HPが高いので)、後衛には竹槍を持った僕が続いた。(竹槍役に立つのかな?)今日は様子見だ。1匹でも狩れたら帰ろう。そう思って慎重に奥へ進む。
「ぎゃっぎゃー」
ちょうどいい具合にはぐれゴブリンを見つけた。
ケーゴはそっと近づくには難しく、がさがさ言わせながら大胆に近寄っていく。
「っぎゃー」
ゴブリンもこちらが分かったようだ。草をかき分け向かってくる。
両手には短い槍を持っている。
「おおおおおー」
ケーゴの右わきを抜け、僕が先にゴブリンへ接敵する。竹槍でけん制する。
ふっと左側に風が吹いたと思ったら、
「ばぎゃん」
とゴブリンが割れた。
ケーゴの鉄棒による攻撃であった。一撃だ。
ゴブリンにもオーバーキル?すげーなー。
特にケーゴの表情は変わらない。すかさずゴブリンの鼻を短刀で取る。討伐証明である。
「すごいなケーゴ、一撃だな」
「・・//」
照れているらしい。
ほめられ慣れてないため、ちょっとした一言がうれしいようだ。積極的にほめよう。
戦闘の状況が分かったので、今日のところは村へ帰ることとした。明日は水筒や携帯食も持って来よう。
村への帰り道を進んでいたとき、
「ヴヴヴぅ」
唸り声が聞こえた。
森の奥にグレイウルフが数匹いるようだ。
「急いで帰るぞ!」
敏捷性が高く、群れを成すグレイウルフは今は戦いたくない。
僕たちはダッシュで村へ帰ることにした。
が、向こうは獲物として判断したようで、どんどん迫ってくる。
「はぁはぁ、追いつかれそうだぁ、まずいな」
ケーゴは足が遅く、数歩遅れて走ってくる。
迎え撃たなければ追いつかれそうだ。
「くそっ」
振り返って迎撃しようとした瞬間
「アース」
ケーゴが魔法を唱えた。土がわずかに窪み、グレイウルフがそこに足を取られる。
「びゅん!」
横なぎに打ち払った鉄の棒が、グレイウルフ数匹を同時に薙ぎ払う。
「キャイーン」
あとは、静けさだけが残った。
ケーゴスゲー。
僕はまた、討伐証明の両耳を剥ぎ、2人で村へ帰ったのだった。
はっきり言って僕いらなくね?
宿屋に泊まり、次の日から積極的に狩りをおこなった。
携帯食、水筒、雨具をリュックサックにそれぞれ持ち、東の森、西の森と狩りに出かけた。
鉄棒を持ったケーゴは無敵だった。数匹いても瞬殺であった。僕は竹槍で最初に威嚇し、敵の注意を引き付ける役であった。それすらもいらない可能性もあった。
ケーゴの土魔法は早くもLv1になっていたようだ。頻回にはできないが、ここぞというときに落とし穴の様に使えるのが狩りの役に立っていた。カウンターの性能でパーティー項目があり、そこでケーゴとパーティーを組んでから、僕はひも生活のようだった。ホモっ気はない。その代わりにはならないが、採取は一生懸命することとした。でもケーゴも一生懸命していた。
まあとにかく、経験値とお金を稼ぐのだ。最終的に自分のレベルを上げ、俺TUEEEができればいいのさ。
などと現実逃避をしながら、数日たったのであった・・・