6話
目を覚ますと、まだ薄暗かった。
昨日は疲れて、体も拭かずそのまま寝てしまった。
隣のベッドではケーゴがまだ寝ていた。
そっと外に行き、井戸水で顔を洗い、ついでに体を拭いた。
カウンターではHP、MPも回復していた。
部屋へ戻り、ケーゴを起こし、なけなしのお金を払って朝食を食べた。やはりあまりおいしくなかった。この村での長居はやだなっと思った。
持ち物を確認し、行商人さんのところに向かう。
「じゃあ乗って、出発するよ」
馬車の中には商品がいっぱいで、身を小さくして座っていた。
HP、MPを使うこともできないので、ケーゴと少しずつ話してみた。
彼は僕と同じ17歳。身長だけは高いが、体重は僕と同じくらいで痩せ気味の体つきのようだ。気は弱く、小中学校でもつかいっぱしりをさせられていたそうだ。強くなる気持ちはあるため、リアルでも体力づくり、筋トレをしていたそうだが、何故か筋肉はつかなかったそうだ。異世界に来たら、筋肉がつくのではないかと思って、誘われて門をくぐってみた。でもスライムは、いわゆる打撃系の攻撃は相性が悪く、HPだけ削られて村にやってきたそうだ。
村の宿屋の主人は気のいい人で、筋トレ代わりの薪割で宿賃としてくれた。
今後、誘ってくれた人がやってくるまで、そうしておくつもりだったそうだ。
「誘われた人って、立花なんだ。ここに来るの?」
「・・・来るって言っていた」
「ふーん、そうなんだ」
僕に異世界のことを聞かせてくれた人と、ケーゴを誘った人は同一人物だった。
「まぁ、とりえあずスライム狩りをしようか。竹槍を使えば狩れるよ。まずはレベル上げとお金稼ぎをしようか」
「・・・うん・・・よろしくお願いしま・・・」
最後の言葉は聞き取れなかった。
初心者の村へ帰り、またスージーとジェームズに挨拶をした。
この間お別れしたばかりだっただけに、少し恥ずかしかった。
2人でスライム狩りを行った。
はっきり言って、ケーゴには難しかったようだ。僕の1レベルの時よりつよさはあるようだったが、はやさが少なかった。そのため、必ずスライムからの反撃を食らうこととなった。それでもHP16あるので、レベル2までは行けた。ぎりぎりまでスライム狩りをやってもらい、先に宿屋へ返した。あとは僕だけでスライム狩りと薬草採取を行い、お金稼ぎをした。
また、数日間は同じことの繰り返しであった。
夜には僕は水魔法の練習をした。MPぎりぎりまで水筒に水を作る練習をし、ようやくウォーターLv1スキルを手に入れた。ケーゴにもMPができた時点でスージーに見てもらうと、彼は土魔法ができるようだった。
スライム狩りはなかなかはかどらなかったが、勤勉に筋トレ、ここでも薪割を行い、僕と一緒に寝る前に魔法の練習をした。出来た土は窓から捨てた。
ようやく僕のレベルが6まで上がり、ケーゴのレベルも4まで上がった。
お金はもう少し貯めたかったが、20000ゼニーたまったので、次の村で武器を買うこととした。実は馬車が明日旅立つそうだ。逃すのはもったいない。
お世話になったジェームズ、スージーに別れを言い
「またすぐ帰ってきたりしてwww」
などと冗談を言われながら(冗談だよねw)
バード村へ行くこととした
馬車の中でまたケーゴといろいろ話してみた。
「・・立花君がいうには、もう2人この世界に来ている人がいるみたい」
どうも、少し打ち解けたみたいで、多少スムーズに会話ができてきている。
「知ってる、門のばあさんがそんなことを言っていた。どんな人か分かる?」
「・・2人は女の子だって。・・1人は次の町にいるんだって」
女子かー。リアル女子はめんどくさいな。
でも仲間になるんだったら、打ち解けないとな。いい子だったらいいんだけどね。っとなると、男3人、女2人のパーティーになるんだろうか?なんか偏っているな。
なんてことを思いながら馬車の中で眠った・・・