57話
それからの日々は、各々が魔王完全消滅の為、動くこととなった。
帝国ではアンデ、ジー、スターが王国の王様やソフィアと協力して、使用済み魔石を集めることとした。魔王の核から悪素を取り出してしまったので、悪素そのものである使用済み魔石が大量に必要となったのだ。
アルフレッドとレーコとケーゴは予定通り、現代日本に行った。そこから飛行機に乗り、現代の魔王の核を探すつもりである。大陸変動があったため、以前の地球とは地形が変わってしまったが、恐らく紛争地域にあると予想されたので現在移動中である。
リョウはユーマと共に現代の”呪われた”宝石を探していた。リョウ達が作り上げた地下組織を総動員して、現代の悪素を探しているのである。集められた宝石はジーが作った悪素測定器で分別した。また手が出せないところは、ユーマがこっそり盗ってきた。新聞では『怪盗ルパン4世か!?』との見出しが、一面を飾ったこともあった。
そして・・・
ジュンイチは暇であった。
使用済み魔石収集も、魔王核探しも、呪われた宝石探しでさえ、役に立つことはなさそうだった。一時期はパシリ扱いをされていたが、放置プレイも心に来るものがある。
「・・・なにしようかなー・・・」
お空を見上げ、独り言をいうジュンイチであった。
こんな時、テンプレではモンスターの襲撃があったり、山賊に襲われているお姫様がいたり、魔王が現れたりするのだが、いままで全てつぶしてきたのですることがないのである。今はお気に入りの山へ飛んできて、ぼんやり夕日を眺めているところであった。
「・・・お宿にもどろー・・・」
今宿泊しているところは、メイプルのゴブリン亭である。日課の鍛錬も、日々のギルドクエストも終わらせてしまったので、することがない。かと言って、このままお山の夕日を眺めていても、しょうがないので宿に帰って、ふて寝するしかないのであった。
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『ジュンイチ暇なの?だったら、ファイナル・ファンタジー・アタックの練習してみたら?』
「なにそれ?」
『レーコいわく、名前はどうでもいいそうなんだけど、魔王復活した場合の切り札になるそうよ?』
晩にリョウといつもの通信をしていたら、暇なジュンイチに朗報を届けてくれた。
『私たちは、ジュンイチがいないときに練習しちゃったの。ごめんね?』
ジュンイチも加えて練習した場合、発動すると都市が消滅してしまうどころの騒ぎではなくなるという。
練習の仕方を教えてもらい、翌日から鍛錬を始めるジュンイチであった。
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「たっだいまー帰りましたー」
約2週間後、レーコとアルフレッドは帰ってきた。
「ジュンイチー、暇してたでしょう?お仕事上げるねー」
うぜー、と思うジュンイチであった。
「氷の大地に基地作ってきてよー、あそこで最終決戦するわよー」
「最終決戦?終わったんじゃなかったのか?」
「いいから、読者はみんな分かっているから、早く行って来なさい。ジー連れて行くのよー」
うざかったが、ファイナル・ファンタジー・アタックの一人練習もほぼ終わったため、また暇になるのも嫌だったので、仕事をしに行くことにした。
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「あんな寒いところ、わしは嫌じゃぞ」
ジーはいきなり拒んだ。
そんなこと言っても、陣を作れるのはジーしかいない。ジュンイチだってじじーを乗せていくのは嫌なのだ。困っていたところへ助け船が来た。
「ジー・サマー。役目を終えて帰ってきたら、お前の望んでいたものをやろう」
アルフレッドも一緒に帝都へ帰ってきていたのだ。どうもジー・サマーが欲しがっていたものがあるらしい。
「本当ですか?帝王様。ほっほっほ、こりゃこりゃ何をしている?出発するぞい」
現金なじじーであった。
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「ジー・サマーが欲しがっていたものって何でしたか?」
「・・・それは男同士の秘密だ・・・」
口は堅いアルフレッドであった。
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じじーを乗せ、ジュンイチは飛ぶ。
耐寒のアクセサリーを忘れたため、背中ではっくしょいと連発するじじーをうざいと思いながらもジュンイチは飛んだ。
あまりにも文句を言うものだから、オランの町で一度降りて購入した。ジュンイチのお金だった。後で帝王に請求しようと誓うジュンイチであった。
予定通り砦で一旦休み、ショウリュウやリューユに挨拶をして、氷の大地へ向かった。
あれからずっとモンスターの出現がないため、心配されつつ見送ってくれた。
そして、今氷の大地へ降り立った。
「寒いのー、ジュンイチ寒いぞー」
「いや、僕は寒くないし」
「寒くて手が動かんのじゃが」
「いや、僕の手は動くし」
「どうにかしてくれんかのぅ」
びゅーびゅー冷たい風が吹きすさぶ、氷の大地である。
ジュンイチは加護のお陰で全く寒くなかったが、じじーがうるさかったので、でっかいかまくらを作ってやった。
「おー、寒かった。まだ手がかじかんでおるわい。何か温いもんが欲しいのぅ」
うるさいじじーである。うるさかったので、コーンスープを作ってやった。
「おー、温まるのー」
「いいから、早くやってよ!」
だんだんいらいらしてくるジュンイチであった。




