56話
今この世界の魔素は半分に減っている。すなわち悪素が半分できているということである。魔王は王素が7割以上集まれば、現身を表すことが出来る。その力は悪素の量次第ではあるが。悪素がモンスターポップアップに使用されていたせいで、アルフレッドが核を見つけたころは復活する為の量が5割程度しか集まってなかった。しかし、核にこつこつと魔石を投与した結果、現在7割弱のところまで来ているのである。
放置していても復活するレベルとなった魔石を見つめ、アルフレッドは考える。何がまずかったのかと。この核を壊すことを一義に考えた方がよかったのか?しかし、核を砕いただけではこの世からモンスターはいなくならない。どうすればよかったのか、回答はでてこない。じっと核を見つめるアルフレッドであった。
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「勇者御一行様のおなーりー!」
ジュンイチ達はどうどうと帝都城の正門から入って行った。アンデは帝都の高位文官に任命されており、ジーやチェリー(スターだってば!)も顔見知りであったので顔パスだったのだ。今回帝王に勇者が招かれたということにして、どうどうと入城してきたのである。
「勇者御一行様、ご苦労様でした。ただいまアルフレッド帝王に使いを出しますので、少々お待ち願いますでしょうか」
「その必要はない。アルフレッド帝王より直々にお会いすると、私が勅命を受けているのだ。このままアルフレッド様の元へ向かう」
「おお、アンデ様がそうおっしゃるのであれば、お願い頂けますでしょうか」
そのまま、ぞろぞろと奥の間に突き進む一行であった。
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「さて、時は来たようだ。最後の一押し位自らの手で行う事としよう」
そういうとアルフレッドは核を台座に置き、魔石粉砕装置の元に行く。
「さらば帝国よ、願わくば人類の未来に幸あらんことを!」
「ほーっほっほっほっほっ、それは聞けない相談ね!」
「えー、それじゃあ僕らが悪者みたいじゃないか」
「レーコ、それはないわー」
「駄目ですよレーコさん。こんなシリアスな場面でそんなこと言っては」
全員からダメ出しを食らうレーコであった。
「・・・こほん、あーアルフレッド帝王様、初めまして。私は異世界から参りました柳楽玲子と申します。この度魔王を殲滅する為に参上いたしました」
「やればできるじゃないか」
「うるさい!えー、モンスターの数を減らし、魔王を殲滅する計画を立てましたので、お聞きいただけたらと思います」
「・・・無駄だ、もはや最後の魔石を投じた。直ぐにでも魔王は復活するであろう」
「あー、最後の魔石は降りかかっていないよ?俺が止めたから」
見ると台座のところに立つユーマがいた。台座には壺が逆さにはまっていた。レーコとケーゴの合作、封印の壺である。
「・・・魔石がかからなくても、自然復活は妨げられない」
「そんなことはないぜ。持って来てくれ」
ユーマが壺を持ってくるとその壺にチェリー改めスターが、持ってきた箱からスライムを数匹入れ込んだ。
「これで減ったはずだぜ、確認してくれだぜ」
ジーがカウンターの様なものを近づける。
「これはレーコ殿と合作した、悪素計測器じゃ。真ん中のメモリが一番上に行けば、この世界の魔素と同じくらいの悪素となる。ふむふむ、測定結果では大体1割位に減っておる。1割位分解できたはずじゃ」
「この壺に入れて置けば、復活することはないわ。後でもう1割程度抜いて置けば計画通りね」
「・・・どういうことだ?」
その後、アルフレッドを交え現在の状況および今後の方針に関して、質疑応答を行った。とりあえず、この世界での魔王復活は阻止できたのであった。しかし現段階では封印状態であり、再復活はあり得る状況である。
「という訳で、この首輪を掛けて頂戴。目立たない様にしておくからねー」
帝国と王国を魔法陣でつなぎ、いったん王国へ帰るジュンイチであった。
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「つまり、どうゆうこと?」
「まあ、今後の展開を見ていたら分かるわよ。魔王の核はアルフレッドにしか取り扱えないから、現代日本にアルフレッドを連れて行くつもりよー」
「はあ?」
「とりあえず、おバカなジュンイチは、帝国とオランとの壁をケーゴと一緒に壊してきて。もう必要ないし」
まあ、聞いても考えても分からないとは思うので、しょうがないから後始末をしに行くジュンイチとケーゴであった。
魔王の核は一般の人間には見ることはできない。もちろんジュンイチ達にも存在感は分かるものの、視覚的にとらえることは不可能である。魔王の核が見えるものは、悪素に充分触れたものであり、魔王の呪いを受けたものである。その状態では、魔王復活に精神が誘導され、悪素を持って来させたりするのである。結局アルフレッドも魔王復活に動くことになったのだ。
しかし、この”呪い”は利用価値がある。現代世界に帰っても魔王の核のありかが分からないのだ。その為、アルフレッドを現代世界に連れて行き、核を見つけさせることにしたのである。解説終了。
こうして、この時代の魔王復活は妨げられ、平和な世界がやってくるのであった・・・
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「私の固有武器って、結局不必要だったわね」
「ほんとは、6人で合体技を使う予定だったのよねー」
「そうなんだ」
「6つの角を持つ、正8面立方体を作り、神をも超える力で魔王を倒す予定だったの。実際復活すれば使わざるを得ないから、無駄ではないのよー」
とあるソフィアとレーコの会話であった




