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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第八章 スライム
51/59

51話



始まりは、雲の上


ジュンイチは、ご機嫌だった。

王城をリョウと共に出発した後、メイプルで一泊し、初心者の村、ウォーレンの町で宿泊した後、現在夜を徹しリョウを背負いながら、雲の上を飛んでいる最中である。


背中でリョウは眠っている。ぬくもりが座布団を通じ、感じられる。


「ぼかあ幸せだな」


風魔法のアクセサリーをレーコから貰ったお陰で風の抵抗も減り、更に飛行速度が増した。もうそろそろパールの町に着く頃だ。夜明けも近い。


今日はパールで遊び、午後にはハルツールへ行くつもりだ。最終目的地は山町の温泉である。遊び倒すつもりのジュンイチであった。



「がっはっはあ、そうかジュンイチにも彼女が出来たか。母ちゃん今日は宴会だー。山ほど酒を持ってこーい」


「あんたはいつでも宴会だろ?それで、リョウさんだっけ?まあ、ゆっくりしときな。これからごちそう作ってくるから。今日はいい魚が入ったんだ。おいしいものを作って来るさ」


ジュンイチ達は予定通りパールに着き、午後からハルツールに来ていた。

ガッハと女将さんにリョウを紹介して、バードで仕入れた酒を渡すといきなり宴会に突入することとなった。

お酒は辞退したが、ガッハたちがうまそうに飲むのを見て、リョウは飲みたそうにしていた。


「そーれ、のめやうたえや、がっはっはー」


「ポセーイドンはーうみをゆけー」


せがまれて、日本の曲を歌うリョウであった。ジュンイチも合唱し、楽しいひと時を過ごしたのだ。


「また、いつでもおいでな。漁次第だけど、またうまいものでも作るからね」


「お世話になりました。また来ます」


いつもの宿で一泊した後、山町まで飛んで行くジュンイチ達であった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「それで、スライムはテイムできないの?」


「なんで俺がそんなことしなきゃあならないんだ!」


チェリーは王城まで連行されていた。

レーコはチェリーが高位のモンスターテイムマスターと知り、話を持ち掛けているのだ。


「この資料によると、あなたはチェリー・ボイスクラブが本名ね?」


「その名前で俺を呼ぶな!」


「名前の由来で幼少時からいじめを受け、青年時にボイスクラブ家から出家、その後の足取りはつかめずといったところだけど。もしよかったら、王家の権限で名前を変更してあげるわよ?」


「・・・どんな名前だ?」


「スター・ライトセイバーなんてどう?」


「・・・かっこいい」


「じゃあ、決まりね!」


こうして、チェリー改めスターは悪の組織から寝返ることになったのである・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「それで、何か変わった情報でもないの?」


「勇者は3人王城にこもっているらしい。2人は出て行ったそうだが、移動が速く足取りがつかめんそうだ」


「・・・そろそろ動かないの?私暇で死にそうなんだけど?」


「動かねばなるまい。近頃魔石の集まりがよく、予定より復活時期が早まりそうだ」


「私はどうすればいいの?」


「軍を動かし東の町を取り込む。挟撃の形にしたいから、東の王国からアンデッドを率いてくれ」


「分かったわ。アンデッドは海の底を移動できるから、サンドラからゴブリンキングを沸かせたヤーツクの町に向かわせばいいわね」


「その方が無難だろう」


物語は最終局面に向かっている様だった・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



その後しばらくして、ジュンイチ達は山町で温泉三昧をしていた。ずっと温泉につかっているわけにもいかず、少しずつギルドでのクエストもこなしていた。


最近はモンスターの出現頻度も少なくなり、強いモンスターは見かけなくなった為、薬草採取などのクエストをこなしていた。

朝起きて顔を洗い、近場の森で鍛錬を行う。双剣の練習に加え剛剣の練習も取り入れている。偶然出現したモンスターは氷の礫で瞬殺し、氷漬けにしてギルドへ持ち込んだ。


午前中はリョウとギルドクエストをこなし、午後は町の観光。今のマイブームは山崖から採取できる緑茶とお団子である。ゆったりした午後を過ごし、宿に帰りお風呂につかる。部屋に戻り、リョウとまったりした時間を過ごす。異世界に来て、幸せな毎日を送るジュンイチであった。


「はあー、ばばんばばんばんばんーっと」


「ジュンイチー上がるわよー」


「はいよー」


今日も温泉につかり、ゆっくりとした1日を終えるところであった。


「・・・また、東の町にモンスターが増えてきたそうだ」


「まじか?またゴブリンの集団か?」


「いやそれが、ここらではあまり見かけないアンデッドの集団らしい」


「アンデッドなんて、ここらへんじゃあ見ないよなあ」


「そうそう、しかも高位ランクもいるらしいし、王国側から来てるっていううわさもあるそうだ」


「いやだねぇ」


不吉な会話をする2人がいたがジュンイチは華麗にスルーし、リョウとフルーツ牛乳を飲むのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



ソフィアとユーマはスージーと会うため、初心者の村に向かっていた。

レーコに風魔法の魔道具をもらい、俊敏を使って進んだため、約1週間程度で村に着いた。もちろん、お姫様はお姫様抱っこをされていた。


「スザンヌ、お久しぶり。元気でしたか?」


「お姉さま・・・、どうか許してください」


「もちろん怒ってなどおりません。どうか、立って、顔を見せて?」


跪き土下座をするスージーを立たせ、再開を喜ぶソフィアであった。


「私は今、幸せよ?父様はもうお怒りは冷めておられるから、よかったらお城へ戻らない?」


「いえ、私はもうここの暮らしに慣れましたので、帰ることはできません」


「・・・好きな人でもできたのかしら?」


「//」


ジェームズと、いい関係を持っているスージーであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



「という訳で、第2回スライム実験たいかーい」


チェリー改めスターは、ようやくスライムをテイムすることが出来るようになった。スライムはその特性上、他のモンスターと比較し思考が読めないことが原因でテイムできなかった。しかし、テイムの基本は飴と鞭、好物と恐怖である。その基本状況を作り上げることで、ようやくテイムできるようになったのである。


「それでは、この鳥肉を捕食させるのじゃ」


「なんでじじーに仕切られなきゃならねーんだ!」


「わしはじじーではない、このチェリーボーイが!」


「俺の名前はスターだ!この耄碌じじー!」


びびびびっ

「はい、喧嘩をやめなさーい」


隷属の首輪を発動させ、喧嘩を辞めさせるレーコであった。

ちなみに実験はうまくゆき、テイムされたスライムは遺体となったモンスターを捕食することが出来るようになったのである。




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