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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第八章 スライム
47/59

47話



ジュンイチは空を飛ぶ


ヘンデルの町やウォーレンの町、バードの村は久しぶりであり、懐かしさのあまり、泊まる必要もなかったがそれぞれ一泊して来た。


ヘンデルの町の日本食もどきやウォーレンの町のイカ焼きは、懐かしい味付けであった。砦でもらった食材と交換し、各町の日持ちがする食材をリュックに詰め、バードの村へ降り立った。バードの村ではその食材を使って村人にふるまい、代わりに地酒をもらった。ハルツールのガッハに今度分けてやろう。


王城を出て4日目の昼に初心者の村に帰ってきたジュンイチであった。


「ジェームズさんお久しぶりです、ジュンイチです」


「おお、ジュンイチ君久しぶり。元気でやっていたかい」


まずギルドで現在のスライムの状況を聞くジュンイチであった。

季節は冬も終わりを迎え、そろそろ初春である。初心者の村ではぼちぼち冒険者見習の学生が集まる頃である。


「数体スライムを持っていかないといけなくなったんですが、いいですか?」


「冬の時期はなかなか間引くことが出来なかったんで、むしろありがたいよ。学生が来るまでに、100匹位間引いてもらうと助かる。特に大き目なスライムは学生には手ごわいだろうから、大きいやつから狩ってくれ。核の依頼が今50個来ているから、半分はおいてくれればありがたい」


ジェームズの依頼を快く引き受けるジュンイチであった。

スライム狩りに行く前に、宿屋に向かう。寝床を確保する必要と、スージーへ久しぶりの挨拶を行う事とした。


「こんにちはー」


スージーは相変わらず暇そうに、ストーブの前でまったりお茶を飲んでいた。


「おや、久しぶりだね、元気だったかい?」


「お久しぶりです、スザンヌ王女」


「よしとくれ、今は宿屋のおばちゃん、スージーだ。それを知っているということは、王城に行ったのかい?」


「はい、ソフィア姫とも会いました」


「・・・そうかい。元気だったかい?」


僕は、王様のこと、ソフィア姫の事を知っている限りスージーに話した。スージーは懐かしそうに、悲しそうに、そして最後には嬉しそうに話を聞いていた。


「そうかい、元気なのかい。目も見えるし、歩けるんだね。よかったよ・・・」


「はい。それで、2・3日泊まりたいのですが、いいですか?」


「ああ、食材が少ないからあまり豪勢な食事は出せないが、上手いものを作ってやるさ」


「それなら、リュックに各地方の食材がありますので使って下さい」


「ほう、じゃあこっちに運んでくれ」


貯蔵室にリュックの食材を全て出した。お酒も出そうとしたが、断られた。お酒は誰も飲まないそうだ。


「今から食事を作ろうと思うが、少々時間がかかると思う。その間はどうする?」


「時間も遅いですから、ちょっと偵察だけして来ようと思います。あまり遅くならないつもりです」


「できあがるまで2・3時間はかかると思うから、それまでには帰っておいで」


宿を出て、最初に降り立ったスライムの森の偵察に行くジュンイチであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



チェリーのスキルはモンスターテイムである。

彼はドラゴン以下のモンスターであれば、何体であろうとテイムできる実力を持っている。不可能な種類はアンデッド系とスライムである。アンデッドはもう一人の女性が従えることが出来るし、スライムは最弱なのでテイムできなくても気にしなかった。


ただ、初心者村の周囲ではスライムしかいないため、木を切り倒すモンスターをテイムしてこなければならない。氷の大地の魔法陣から飛んで来た彼は、スライムの森奥地に降り立ち、北へ向かってゴブリンをテイムしに行くつもりだった。


「さすがにワイバーンで村に向かえば目立つし、しゃーねーか」


乗ってきたワイバーンを帰し、スライムの森を進んで行くのだった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



ジュンイチは空を飛ぶ


夕暮れが近いため大雑把にしか把握できないが、大き目な青色のスライムは大体目星がついていた。


「ここに来るまでに、概算20匹位大物がいたな。明日はあれらを中心に50匹核をとろうか。おや?」


大体の目算をつけながら、そろそろ帰宅を考え始めたころ、不自然な方向に動く影を見つけた。目立たぬよう木の陰に隠れてその方角を見つめていると、若い男がぶつぶつ言いながら草を分けてくるのが見えた。こんな時刻でこんな時期にこんな場所をうろつくなんて、かなり怪しい人物だとジュンイチは思った。


「あー、もう、うっとうしいな。テイムしたモンスターを連れてくればよかった」


身なりはまるで貴族の様に立派であるが、手にもつ武器は先端が棍棒状になった杖を振り回し、襲って来るスライムを叩き潰していた。


「・・・どうみてもあやしいよな?」


今晩は野宿するらしく、大きな岩にたどり着いた男はそこへ座り、背負っていたリュックから携帯食を取り出し、齧り出した。


「・・・寝てから連行しよう」


そっとその場を離れ、村へ戻るジュンイチであった。

ギルドへ行き、不審者がいることをジェームズに報告すると魔法抑制帯を預かった。彼が寝てから捕縛するつもりだと伝えると、今晩は寝ずに待っていてくれるそうだ。宿へ行きスージーの御馳走を3人で取った後、しばらく3人で歓談した。


夜も更けたころ、抑制帯をひっさげ男の元へ向かった。

まだ初春も早い時期であり、夜は冷え込む。男は丁度都合のいいことにすっぽり寝袋へ入って寝ていた。杖は枕代わりにしているようだ。


岩陰に降り立ち、ゆっくり近づいてゆく。

男は起きない。

今晩の天候は少し曇っており、星明りも少ない。辺りは風が草を揺らす音だけであった。


男の足元に近づく。

男は起きない。

軽く足から抑制帯を巻いてゆく。

男は起きない。

少し男を転がしながら抑制帯を巻いてゆく。

男は起きない。


男は眠りが深かったようだ。

動けなくして、男の荷物を背負い、杖をベルトに挟み、男を浮かせながらギルドへ戻るジュンイチであった・・・




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