45話
ジュンイチの朝は早い。
備え付きの洗面所で顔を洗い、訓練場に向かう。隅で小一時間の鍛錬を行い、再び個室に戻り体を拭く。そろそろ風呂に入りたいと思うジュンイチであった。
今日は砦の南に向かい、レベル上げが出来そうなモンスターを探すつもりである。食堂へ行き、朝食をもらう。スープ麺と言うべき食事をつるつるっと食べ終え、リュックを背負い砦の門に向かう。
「ちょっと出かけて来ます。多分昼には帰って来るつもりです」
「おー、ジュンイチ殿ですか、お気をつけて」
門番に挨拶をし、人目が切れたところで空を飛ぶジュンイチであった。
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「あー、俺はちょっと食事をしてくるから、ここで待っておくように。お前たちにかかって来るモンスターはいないだろうが、周囲の敵を襲わないようにおとなしくしておけ」
若い風貌の男はそういうと、ワイバーンに乗り込み、少し離れた場所へ向かった。流石に携帯食では飽きるので、生きのいい食材を採取して食事をすることにしたのである。モンスターにはそれらに背負わせた食事を与え、動かないように指示をしたのであった。
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ジュンイチは空を飛ぶ。
南の方角と云っても広い範囲であり、蛇行するように飛んでいた。
約5Km飛んだところで、遠くにモンスターの集団を発見した。
遠くではっきりしないが、割と大きなモンスターであり、レベル上げになりそうな敵である。
辺りは雪景色で、隠れるところもない。ジュンイチは両手に大きな片手剣を作り、空より接敵して行く。
「うぉりゃー」
モンスターはいきなりの攻撃にびっくりしたのか、動くこともできずそのまま首を切られていった。
「サクッサクッサクッ・・」
合計5体のモンスターの首をさくさく刈った。
「・・・急襲できたからなのか、あっけなかったな」
大きすぎて持ち運べないため、そのままにしておいた。更に周囲を見たが、特に他にモンスターを発見できず、一旦砦へ帰ることにしたジュンイチだった。
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「なんだこりゃー!」
若い風貌の男がワイバーンに荷物と共に帰って来ると、そこではテイムしたモンスターが全滅していた。
「おい、しっかりしろ、傷は浅いぞ」
首ちょんぱされているモンスターを励ます男。しかし、モンスターは動かない。
「なぜなんだー!」
男のむなしい叫び声が周囲に響き渡った・・・
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意図せず謎の組織の計画を阻止したジュンイチであった。
レベルは75まで上がっていた。しかし、今後のレベ上げに苦慮することとなった。
「魔王城まで、ここからどの位かかりますか?」
「魔王城の位置は知らないが、ここから南に行くと氷の大地と呼んでいる場所があり、モンスターが産まれる場所と言われている。そこで産まれたモンスターは周囲に食べ物がないため、北へ向かって来るらしい」
「じゃあ、最近はモンスターが産まれていないと言うことですか?」
「砦に襲撃がないということは、そういうことだろうな」
なんということでしょう!
いきなり来た意味がなくなったジュンイチであった。
「他に、高レベルのモンスターの居場所は知りませんか?」
「ここからは、かなり遠い場所になる。諦めて、わしらに剣の指南をしないか?」
ショウリュウ将軍からの提案であったが、明日まで考えさせて欲しいと、返答を伸ばしてもらった。
結局、せっかくここまで来たので、しばらく滞在することにした。他にすることもないので、双剣の型を教えることとした。その代わり、将軍達の剣を教えてもらうになった。
「わしらの剣は、対モンスター用の剣だ。剣にどの位威力を込められるか、ということを探る剣ともいう。」
ドランとの違いは、速度と威力、対人と対モンスターということらしい。
午前中はリューユの全体練習に参加させてもらい、午後はリューユ達に型を教えることとなった。
ジュンイチが練習に参加してから、兵士達の士気が期せず上がったことは副次効果であった。
空いた時間には諦め悪く、南の方角へモンスターを探しに行く日々を送るのであった・・・




