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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第一章 始まりの森
4/59

4話



始まりはベッドの中


見慣れない天井だ。

夜は明かりがないため、天井まで見ていなかった。

井戸に行き、顔を洗い、竹槍で素振りをする。


僕はコツコツと何かをすることが好きだ。

体力に恵まれているわけでも、成績がいいわけでもない。学校の成績はよくて中の下、クラブ活動などもやっていない。帰宅部で家に帰れば、パソコンで、インターネット、MMOなどもやっている。ただ、人とコミュニケーションをとるのは苦手で、RPGも結局ソロでやっていた。


弱いモンスターを相手にし、少しずつ経験値とお金を稼ぐ。レベルアップだけを目指す。思考を止めて、同じことを繰り返す。そんな作業の様な時間が、なんとなく気に入っている。


この世界に来たのも、リアルの環境を変えたかったというのがある。

でも性格は変わらないようだ。今日からのことも、恐らくしばらくは同じことの繰り返しをすることだろう。


なんてことを考えながら、素振りを終える。

型なんか知らないから適当だけど、スライム以外のモンスターを相手にしたときに、少しでも役にたてばいいなぁ。


体を拭いて、朝食をもらう。


「はい、ご飯出来たよ。できれば、連泊のお金を収めてね」


「ありがとうございます。がんばります」


未だお姉さんの名前を知らない。

宿のおばちゃっ、お姉さんでいいか。


僕はまた、スライム狩りに出かけた。



数日間同じことの繰り返しだった。

スライムのポップアップは数日かかるようで、同じところにはあまり見かけない。大きさもほぼ一律で、巨大スライムなどは見かけなかった。どうもジェームズが間引いているようだ。


川上に行くと、薬草があった。スコップなどがないため、竹で簡易なスコップを作り薬草刈りをした。根っこから持っていけばいいようだ。


レベルは5になり、スライム相手では経験値が伸びなくなってきた。

お金もある程度たまってきたので、次の村に行く準備を行うこととした。服を数枚とリュックサックもどきを購入。次の村まで徒歩で2・3日みたいなので、途中で野営をしなければならない。


モンスターは次の村の向こう側では強くなるが、それまではスライムばかりの様なので、道中気を付けなくてもいい。ただ、夜は冷え込むので、毛布を購入した。武器は木刀しか売っていなかったので、長さの関係でやめた。その代わり竹槍を合計4本持ってゆくこととした。食事は乾パン・干し肉を買い、念のためHPポーションも1本だけ購入した。高かった。


水が一番困った。多量に持ってゆくのは重くて現実的ではない。

困ってジェームズに相談した。


「水魔法が使えれば一番手っ取り早いよ」


「魔法が使えるかどうか、わからないんです」


「スージーには相談してみたのかい?」


「誰ですか、それ」


「宿の受付嬢だよ」


宿のお姉さんの名前はスージーというそうだ。

早速、聞いてみることとした。


「こんにちは、スージーさん。魔法を使ってみたいのですが」


「おや、初めて名前で呼んでくれたね。魔法かい?まずは使えるかどうか確認しないとね」


宿の奥にいったん引き込むと、水晶を持ってきた。


「まずはここに手を置きな」


「何をするんですか?」


「魔法の種類の確認だよ。どんな魔法が使えるか、この玉で確認できるのさ」


いうとおりに右手を置き、しばらくすると玉が熱くなってきた。

少しずつ色が浮かんで来たようだ。


「手を放してごらん。うっすら青くなっているようだね。お前さんは水魔法が使えるようだね」


何という偶然なのだろうか?ちょうど使いたい魔法が使えるようだ。


「魔法を使うには、イメージが必要なんだが、きっかけは魔法コントロールだね。今度は玉に両手を置きな」


水晶を挟む様に両手で持った。


「水が湧くイメージを持つんだ」


玉の底から中心に向かい、湧水が出てくるイメージをした。

じっと見ていると、自分の体の中心から両手に向かって動く、”感覚”があった。すると、青い色が底から中心に向かって出現した。


「それが魔法のイメージだよ。後は今の感覚を忘れないように、練習するんだ」


「ありがとうございました、やってみます」


そっとカウンターを確認したが、MPは減少していなかった。魔法コントロールだけでは、MP減少はしない様だ。

いつもの様に狩りと採取を行い、夕ご飯を食べてから、宿の部屋で魔法の練習を行う事とした。両手を約10cm位離し、玉をもつイメージをして、水が湧き出るのを想像する。両目を瞑り、魔力が両手に集まる感覚を自覚する。


ふいに、中心から両手に向かう”感覚”がして、その後、「ぽちゃん」という音がした。目を開け確認すると、水がこぼれた様に床が濡れていた。


カウンターを見ると

MP7/8

と僅かに減っていた。


「できたぁ。はぁ。でも少ないな」


3日間の量には全く足りない。魔法で水を作り出すのは諦めた。

練習すれば1日分程度にはなるかもしれないが、やはり3日分の水は背負って持ってゆくこととした。




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