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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第六章 西へ向かおう
38/59

38話



始まりは領主の屋敷の中で


その後、完全に襲撃がなくなったことを確認するため、数日町に留まることとなった。

宿に行きたかったが、集団行動を乱すなと言われ、しぶしぶ屋敷で寝泊まりした。

もちろんリョウは女部屋である。


公爵のお抱えの料理人が作っているため、脂肪が多そうだが、おいしい食事が3食食べれた。


「このままじゃ、太っちゃう」


『太ってもかわいいよ』


心の中でつぶやくジュンイチであった。

数日間襲撃がなくなったことで、ようやくクエスト完了が言い渡された。

3パーティーでギルドへ行きクエスト報酬をもらい、ようやくパーティー解散となった。


「このままパーティーにいてくれればいいんだがな」


「いえ、これから向かうところがありますので」


「そうか、俺らはメンバーの里帰りが終わるまで、数日この町に留まった後レーベに帰るつもりだ。また再会できればいいな」


「その時はお願いします」


ミルと握手をし、別れた。リョウも仲良くなった女性メンバーと挨拶していた。

その後雑貨屋へ行き、買い物を行った。数日分の食材のみ購入する。


「馬車は結局いらないかな?」


「ジュンイチに乗って行けばいいからね」


『僕はあなたのロプロスです』


心の中で誓うジュンイチであった。

南の砦まで、馬車で約14日位かかるそうだ。

リョウを乗せてショートカットできれば、3日位で行けそうである。

乗り心地がいいように座布団もどきを購入し、僕の背中にマッチするよう裁縫した。

リョウと体が密着しないことは、決して残念ではない。決して。


「・・・3つのしもべに命令だー」


歌いながら空を飛んで行く。ちなみに荷物は腹に巻き付けてある。

近くから見ると、ちょっと残念な格好である。


「かーいちょーロプロスーそーらーをとべー」


リョウも合わせて歌いだす。今日は天候もいいし、絶好の飛行日和だ。

空から時折来る魔鳥は、交代交代で瞬殺していった。


「どーん」


今回はリョウの番である。

おいしそうな魔鳥は捕まえに行くが、基本は放置である。


夜間は少し広い場所に寝床を求め、炎竜を番犬にする。

まだこの周辺でも炎竜の効果は絶大だ。夜間襲われたためしがない。

椅子になりそうな石に座り、食後の紅茶を楽しむ。今夜は星が綺麗だ。


「それでねー、桃太郎が真剣白羽どりをしたんだー」


「あっはっはー」


相変わらずくだらない小話でも喜んでくれるリョウであった。


「じゃあ、次の話ね」


「・・くっくっ、もう笑い過ぎてお腹が痛い。もう終了・・」


「分かった、じゃあまた明日ね」


「明日もするのー?」


リョウとの時間は楽しい。この時間が永遠であればと思うジュンイチであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



その頃トーベは


「あー、姫さん、ゴールドプレートになるのは時間がかかるなー」


「それはそうですよユーマ、特に私はあまり役に立てませんから」


「あー、俺は今トーベと名乗っているから」


「駄目です。せっかくユーマという素敵な名前があるんですから」


「・・いや、その名前、きらきら過ぎて俺には似合わないから」


「い・や・で・す」


「分かりました、姫さん」


「私のことはちゃんとソフィアと呼んで下さる約束でしたよね?」


「あー、分かりました、ソフィア姫」


「ソ・フィ・ア・で・す」


「・・・分かった、ソフィア」


「//ふふ、ユーマ、様・・」


とてもいい雰囲気を醸し出す、2人であった。

現在シルバープレートとなり、ゴールドへのクエストをこなしている途中である。まだ数回のクエストをこなさなければランクアップできない為、暫くは西の大陸へ行けない2人であった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



その頃レーコ達は、


「もう少し、のんびりしましょー」


「・・・」


中央の町で喫茶店に入り、フルーツジュースを飲みながら、まったりしていた。


「私忙しいのは苦手なのよねー」


「・・・」


無口ながら目線で相づちをうつケーゴであった。熟年のカップルを想定させる雰囲気であった。

町を襲撃しているモンスターとは、まだ戦っていない。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



結局5日かかって砦にたどり着いたジュンイチ達であった。

砦は地表部分がドーム状となっており、明らかに地下が存在している構造となっていた。入り口には石の門があったが、閉鎖させてはいなかった。

門を開き中に入る。人気がまったく感じられなかった。


「すいませーん」


中は天井の隙間からの木漏れ日が、薄暗い砦内部を照らしていた。リョウのファイアーボールをライター代わりに浮かべ、僕は中に向かって叫んだ。


「みみず・・・」


しーんとした砦内部から、確かに声が聞こえた・・・




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