34話
嫌味を言われながらもクエスト完了の札を商人からもらい、僕らはギルドに向かった。今回のクエストで4人ともゴールドプレートになった。
「さて、西の大陸に行こうか」
「その前に情報のすり合わせをしようぜ。知っていることを教えろよ」
ギルドの喫茶店で軽食を取りながら、打ち合わせを始めた。
「えー、向こうに行ってからでいいじゃん」
「いや、向こうに行ってもめんどくさがって教えないだろう」
「よくご存じで」
むかつくやつだ。
そうは言いながらも、西の大陸について話し出すレーコであった。
西の大陸の最初の町はレーベという港町だ。
そこから南の方角に向かえば、魔王の城へ至る最前線の砦がある。
砦に向かうのに3つの道があり、現在どの道も組織化されたモンスターが襲撃しているらしい。その為、それぞれの襲撃を鎮圧しなければ砦の安全が保てないそうだ。
レーベから一番東に向かう道は最短距離で、途中の町がゴブリンキングを中心としたモンスターに襲撃されている。中央の道では山町があり、レッサードラゴンの群れに襲われているらしい。一番西に向かう道が一番遠く、その途中の町ではレッサーデーモンが数体いるらしい。
数が多いのはゴブリンキングの集団だが、一番強いのはレッサーデーモンの数体らしい。
「・・・それで、トーベがゴブリンキングの集団をやっつけるから、私たちは中央の道を行くわ。あなたたちは西へ向かって」
「いや、飛行タイプは僕らの方が対処しやすいだろう。どう考えてもレッサーデーモンの方にお前らが向かった方がいいじゃないか」
「・・・遠いんだもん」
「そんな理由?」
「大丈夫よ、レッサーデーモンなんかリョウのレイピアで一撃よ」
「いや、近寄るまでが大変だろう」
喧々諤々、意見を交わすが、押し切られる。
「!とにかく!あなたたちが西へ向かうの!」
押し切られた・・・
確かにリョウが接敵できれば一撃で倒せるだろう。その為の方法を探した方が、今後の活動に生かせるだろう。
現在右手にレイピアを持つだけだから、左手に盾タイプの防具を持ち、敵に近づく方法を探るのだ。
「ちなみに西にはダンジョンがあるから、そこにお宝があるかもよ」
ダンジョン攻略なんかしてたら、いつになっても砦に着けないと思うんだが、フラグが立ったらしい。考えておくこととした。
とりあえず、船の手配をし、西の大陸に向かう勇者パーティーであった。
船の旅は素晴らしい。
海は波があまり立たないところを走行しているらしく、ほとんど揺れもなかった。4人とも特に船酔いもせず、まったりと過ごしていた。
クラーケンなどの海の魔物などは現在発見されておらず、海上貿易はほぼ安全な状況にあるという。
時折サハギンの様な弱い魔物が現れるそうだが、護衛の攻撃魔法で大概鎮圧されるらしい。現在活動中のゴブリンキングの取り巻きは、泳ぐモンスターが存在しないそうだ。
甲板でリョウと肩を並べ、夕日を眺める。
素晴らしい光景だ。
「きれいな景色ねー」
『君の方が綺麗だよ』
歯の浮くセリフは頭の中でだけ呟く。ジュンイチはヘタレであった。
こうして僕らは西の大陸へと向かっていったのであった・・・




