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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第六章 西へ向かおう
33/59

33話



「・・・ということで、西に向かおうと思います」


「いや、まてまて、何がということなのかが分からん」


「ちっ」


「いや、舌打ちするなし。他のみんなもうなずくなよ。知らないの僕だけ?」


5人が食堂に集まり、情報の共有とこれからの行動検討を行っているのだが、レーコが突然仕切り出した。


「いちいち私から説明するのは面倒なので、トーベさんお願いします」


「あー、・・・っま、そういうことで西の大陸に行くんだ」


「いや、説明になっていないし。あれだろ、西の大陸に向かうんだろ?そこからしか魔王城に行けないんだよね?その為にはゴールドプレートにならないと行けないから途中でクエストを受けるんだよね?」


「分かっているじゃないですか」


「説明を省くな!読者に分かりやすくするんだ!」


「いや読者が誰なのかは置いといて、後2・3回シルバークエストをこなせばみんなゴールドプレートになれるはずです。トーベは暫くランクアップできないから、ソロでの活動になりますね。ただ、俊敏が使えるからそんなに遅れることはないでしょう。まずはパールに向かいますね」


「あー、パールに向かうのは向こうで護衛クエストを受けた方が、往復になるため都合がいいからだよね」


「説明ありがとうございます。西の大陸の情報や、渡った後の行動予定は4人がゴールドプレートになってからということでいいかしら?」


皆一斉にうなずく、僕以外。

僕をはねて、4人で相談していたの?

ま、納得できるからいいけど、ちょっといらつく。


「ジュンイチもいいよね?」


「・・・うん」


リョウに言われれば納得できるジュンイチであった。

レーコに仕切られるわけにはいかない。

青春の一コマである。


早速4人で馬車に乗り込み、メイプルの町で買い足しをする。

御者は相変わらず僕だ。

他の3人は幌の中で、キャッキャッと騒いでいる。

ケーゴ、お前もか。


途中のモンスターはみんなを呼ぶのはめんどくさいので、さくさく僕が片付ける。はっきり言って無双だー。

飛んでいる鳥がいれば狩り、向かって来る豚がいれば狩り、踊っている牛がいれば狩る。いや、冗談ですが。

とりあえず肉は確保できるので、道中の食事は相変わらず豪勢である。


料理はリョウと一緒に行う。この瞬間と食事の間が一番楽しいひと時である。

王都で購入した紅茶を沸かし、食後のひと時を楽しむ。この間のモンスターの警戒はレーコにお願いした。まあほとんど出てこないため、警戒しているかどうかは不明だが。


レーコの風魔法でさくさく進み、パールの町に着く。

早速ギルドに行き、護衛クエストを受けるのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



トーベはすぐには王都を出ず、異世界の門をくぐった。

俊敏で偶像のあった洞窟に向かい、中に入る。

しばらく行くと、隠されている部屋の扉を開けた。


「やあ、久しぶり。動けるようになったかい?」


「ええ、お陰様で、もう普通に動けるようになったわ」


「それじゃあ、そろそろ帰ろうか?」


「ええ、お父様、お母様に会うのも久しぶりな気がするわ」


「実際久しぶりだろ?」


「ふふ、そうね」


中には色白金髪で妙齢の美人がベッドの上に座っていた。

トーベの話が終わると、立ち上がり、トーベに向かって両手を向けた。


「あまり急がないでね?以前の様に激しくされると、気を失ってしまうわ」


「気を付けます、お姫様」


恭しく跪くと、お姫様をお姫様だっこし、洞窟を出ていくトーベであった・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



護衛クエストはすぐ受けられた。


ギルドで確認すると、前回のレッサードラゴン討伐により今回のクエスト完了でみんなゴールドプレートになれるらしい。

護衛クエストを受けたのは自分たちのパーティーと、もうひとグループのパーティーであった。


「さあ、さっさと荷物を積んでくれ。気を付けて運ぶんだぞ、貴重品も入っているんだから」


荷物を積むところからが依頼に入っているそうだ。

つよさはもはや10人力なので積み荷など小指で持てる位だが、そんな訳にはいかず丁寧に荷作業を行う。


ケーゴに持たせればいっぺんに終わるのであるが、僕たちは粛々と荷物を積んで行く。よく見るとレーコだけが風魔法で浮かせてずるをしている。しかも自分も浮いているようだ。

まじめに働きなさい!


「あー、こんにちは。前回は助けてもらってありがとうございました」


荷作業が終わり、もうひとグループのパーティーと顔合わせを行った。

どこかで見た顔だと思ったら、サンドラへ行く途中助けたパーティーであった。


「あれからまたメンバーを募り、活動を再開したんです。頂いた魔石は1000万ゼニーもしまして、壊れた武器や防具より数段高い装備が購入できたんです」


よかったね。

とりあえず、僕らのパーティーが先行し、間に商人達を挟み、殿をそのグループに任せた。


道中はさくさく進む。

モンスターが出現すれば、僕がさくさく狩る。

肉は飛んでいる鳥を捕まえる。

食事は相変わらず豪勢な食事を作っていたが、うらやましがられたので、もうひとつのパーティーも誘った。商人は呼んでない。


野営は流石にリョウのドラゴンを出すわけにもいかなかったので、交互に行う事となった。ただ、もう一つのパーティーの力量はいまいちっぽかったので、僕とリョウ、レーコとケーゴが交代で行う事とした。


レーコはぐっすり休んでおり、モンスターが近づくとケーゴが対処していたようだ。リョウは僕に休むように言っていたが、2人きりとなって寝付くこともできず、夜明けまでひそひそ話をしていた。もちろんモンスターは僕の攻撃で対処した。


「・・・ぽちはいいました『はなさんかじいさん!』」


「・・くっくっくっ」


ひそひそ話で小話をすると、大笑いできないので全身を振るわせてリョウは笑った。


「・・もう、ゆるして・・」


「ぇー、もうひとつ面白い話があるんだけどなー」


下らない小話をしながら、夜は更けて行った。

メイプルの町に着き、積み荷を降ろして別の品を積み、またパールの町に帰る。

途中まで何事もなく、一行は進んで行く。

すると、前回襲撃に会った同じ場所でまた山賊の襲撃に会った。


「レーコ!山賊だ!シールドをよろしく!」


「りょーかーい」


気の抜けた返事とともに、レーコの風のシールドが全ての馬車をシールドする。

僕は飛んでくる矢の襲来を避けながら、山賊の直上まで飛来する。

しゅしゅしゅと氷の苦無を飛ばし、矢を射た前方の山賊を全て無力化する。


崖の上からも矢が飛んで来たので、そちらに向かう。矢は全てレーコのシールドで弾かれた。崖の上の山賊も同様に氷の苦無で鎮圧する。


後方からも山賊の一行が確認できたが、他が全てやられた後は踵を返し逃げて行った。それを見届けた後、御者席に戻る。後ろの商人や、殿のパーティーは襲われたことに気づいていない様だった。


「おつかれー」


そういうとレーコはまた幌の中に戻って行った。


「・・・不毛だ」


首を刈るのも気持ち悪いので、死体はそのままにし、パールへ向けて進むジュンイチ達であった・・・




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