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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第五章 仲間の元へ
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28話



「ジュンイチー、そっちに敵が行ったよー」


「ジュンイチ、お風呂の準備してよ」


「・・・ジュンイチ、暑いので魔道具を貸して・・・」


「あージュンイチ君、そろそろ俺も戦うよ」


・・・うるさい。

水魔法、遠隔攻撃能力、魔道具の存在、パーティーリーダーとしての立ち位置などジュンイチは引っ張りだこだった。ただ、なんかやってることは雑用が多い気がする。


御者もジュンイチにしかできないため、幌の中に他の人間が集まり、キャッキャッと騒いでいる。


「ジュンイチ、暑いから氷作ってー」


「・・・はーい」


片手を幌の中に向け、少し大きめの氷を生み出す。それを使ってレーコが風魔法で、幌の中だけ冷風をそよがせた。


「・・・暑い」


現在は午後に差し掛かり、冬も間近というのに直射日光により周囲は暑い。馬は平然と歩いているが、時々薄い氷を作り出し冷やしてやった。ただ、馬は感謝もなくもくもくと進む。ジュンイチは自分にも氷を作り、焼けた首筋に氷を当てた。


「ジュンイチ、ごめんね。少し変わろうか?」


「いや、大丈夫大丈夫、この位平気さ」


リョウだけが、時折御者席に来て、気遣ってくれる。その気持ちがうれしくて、ついつい見栄を張る。


「また、モンスターが出たら呼ぶから中で休んでていいよ」


「うん、分かった、ありがとう」


気分良くなったので水筒にアイスクラッシュを作り、中にフルーツジュースを入れリョウに渡した。


「あー、ずるいリョウだけ。私たちにも頂戴よ」


目ざとく見つけたレーコが叫ぶ。それぞれの水筒をもらい、同じように作って渡した。ケーゴとトーベは申し訳なさそうな顔をしていたが、レーコは当然な顔をしていた。

うざっ。


モンスターを発見したら、リョウかケーゴを呼ぶ。遠くの敵はリョウが馬車の中から、近くの敵は一旦馬車を止めケーゴが、それぞれ魔法で攻撃する。トーベのレベルがほどほど上がってからは、トーベも攻撃に参加するようになった。討ち漏らしは僕が対処した。


野営は相変わらずリョウのドラゴンが見張りをしてくれた。おかげでみんなぐっすり眠れる。食事は狩ったモンスター肉をリョウが炙ったり、僕が煮たりして作った。以前と変わったことは、ケーゴの土魔法で椅子とテーブルを作ってくれるようになったことだ。みんな皿に盛った食事を席につき、いただきますをして食べる。後片付けは僕の役割だ。


寝る前にリョウとケーゴはカンストしていない魔法スキルの鍛錬をしていた。僕は昼の疲れがあるので、お風呂を沸かしたらさっさと寝る。僕は朝型なのだ。

一応たき火はするのだが、炎竜の効果で夜間は寒くない。女性は馬車の中で、男性は毛布にくるまり地面に寝る。


ジュンイチの朝は早い。

起きて、桶に水を生み顔を洗う。

目が覚めたら、少し離れた場所で日々行っている演武を行う。

僅かな時間だったがリーヘイに教わった双剣の型を思い出しながら、ゆっくりダガーを振るう。その後、少しずつ動きを速め、宙に浮き、投擲を行う。


約1時間の鍛錬の後、体を拭いて朝ご飯の準備を行うのであった。


「おーい、朝ご飯ができたぞー」


みんな夜型なので、朝が弱い。すぐ起きたのはケーゴ、続いてトーベである。

ケーゴにレーコを起こしてもらい、リョウはとりあえず僕が起こしに行く。


「おーい、朝ご飯」


「・・・あと10分」


あまりせかすと不機嫌になるので、ほどほどにして食事を配膳する。

リョウ以外が席に着き、順々に食事をとる。リョウは寝過ごした場合はそのまま馬車で寝かして進むことにする。

リョウの朝食だけとりわけ、後片付けを行い出発する。レイピアは回収済みだ。


ほどほど時間がたったころにリョウが覚醒し、朝食をとっているようだ。

今日の天候は曇り、現在の気温は若干肌寒いようだ。耐寒を得ている僕にはあまり関係ない。


「前方にオーガの群れ発見。リョウ、ケーゴ、後討ち漏らしをトーベよろしく」


「「「はーい」」」


リョウが遠くから火魔法で群れを半壊にさせ、ケーゴが土魔法で落とし穴を作り棒術でほぼ壊滅させる。数匹の討ち漏らしをトーベが討伐した。残り1匹が向かって来たので氷の苦無で止めを刺した。

討伐証明部位を剥ぎ取り、また馬車は進む。まだ、フォーメーションなど決まらない勇者パーティー御一行であった・・・




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