27話
始まりは王城のふかふかなベッドの中で
昨日のお昼以降はまたとんでもない話になった。
昼食をみんなと食べて、歓談している時に立花がやって来た。
「やーー、みんな久しぶり。特にジュンイチ、久しぶりだねー」
「立花・・・」
「立花君、準備は整ったの?」
「あー、だいたいね。あっ、僕にも昼食頂けるかな?」
「はい、今ご用意致します」
立花は、気楽そうにそういうと席に着いた。
「あー、いろいろ聞きたいだろうけど、まずは俺のレベ上げ手伝ってよ」
「いや、お前自由過ぎるだろ。先に説明しろよ」
「うーん、話すの難しいんだよねー。何から話そうか」
そういうと、運ばれて来た食事をがつがつ食い出した。
「いや、最初から話せよ」
「・・・まあ、分かる範囲から説明しようかな。っと言っても異世界楽しめればいいんじゃない?」
「いや、確かに楽しいけど、目的なんかがはっきりした方がいいだろう」
「・・・目的は、魔王攻略さ」
「それだけ?」
「それが最終目標だね」
「分かった。じゃあ、その為にはどうすればいいんだ」
「全員のレベル、スキル、魔法をカンストさせ、固有武器を持ち、連携を強固にし、魔王城に向かう、ってとこだね」
「・・・分かった。じゃあお前のまずは固有武器を取りに行くんだな?」
「いあ、ほりわまたはやえ」
「えっ?」
「・・いや・・ごくん。それよりまだ俺レベル1なんで、レベ上げさせて」
「・・あぁ」
「ところで立花君て、実際年上だよね。何歳なの?」
「28」
「えっ」
「いやだから、28歳」
「「「えーーーーー」」」
「因みに下の名前は藤兵、これからはトーベって言ってくれ」
立花藤兵って、28歳って、よく高校生になれたよなと思いつつ、少しずつこの世界の話を聞いた。
この世界は約1万年の歴史があり、昔から剣と魔法の文化を持っていた。代々の王家は神代魔法を持ち、豊かな国を治めていた。5000年前、魔王がやって来た。この国の武力では歯が立たず、勇者を召喚し魔王を討伐した。しかしそれから200年毎に魔王は復活、その都度勇者を召喚し、討伐したらしい。
合計5回の魔王を倒してから以降、この4000年間魔王は現れなかった。しかし10年後に復活するという予言が、5年前に高位の予言師からなされた。
召喚魔法により、まず立花が、そして5人の勇者が王城へ集まることになる、と言った簡単な説明がなされた。
「よくある話だね」
「そうだろう」
「えっいやいや、そうでもないし」
「ま、とにかく手伝ってよ。ちなみに固有スキルと固有魔法はもう持ってるから。後レベル上げて武器取りに行くだけだし。」
「それじゃあみんなでレベル上げするの?」
「別々でもいいけど、そろそろみんなが他の人のスキルを知った方がいいから、俺の武器の場所近くまで、みんなで行こうか」
そういうことで、パールの南方の町、サンドラまで行くことになったのであった。
そして今日、王都を出発するのだ。
いや休む間もないとはこのことだ。
出発は午前中の内に、メイプルの町でトーベの装備を整えて、雑貨屋で旅の準備を行い一泊してからの出発とした。トーベの武器は”刀”である。来る前に武器屋で作成依頼をしていたらしい。この世界に”刀”を見かけたことはないので特注ということになる。ケーゴの装備も今までの様な革でなく、金属鎧を購入する。他の人たちもそれぞれランクアップ装備に変更した。お金はジュンイチの財布から出すことになった。
解せん。
夕食の際、それぞれのスキルや武器の確認を行った。
トーベ
固有スキル:俊敏
固有魔法 :闇魔法
固有武器 :刀
レーコ
固有スキル:英知
固有魔法 :風魔法
固有武器 :杖
ケーゴ
固有スキル:堅固
固有魔法 :土魔法
固有武器 :棒
リョウ
固有スキル:心操
固有魔法 :火魔法
固有武器 :レイピア
ジュンイチ
固有スキル:念力
固有魔法 :水魔法
固有武器 :ブレーサー
レベルは現在ジュンイチがトップの50であり、しばらくはパーティーでの経験値集めとなる。ケーゴやリョウはスキルレベルがカンストしていないため、積極的に攻撃参加をすることとなった。ただ、パールまでの道中には敵わぬモンスターが存在しないため、最終的には適当に攻撃をしながらパーティーフォーメーションを決めることとなった。
いろいろな準備を完了し、僕らの冒険が今まさに始まろうとしていたのであーるー・・・




