表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第五章 仲間の元へ
25/59

25話



始まりは毛布の中


硬くなった身体を伸ばし、水場で顔を洗う。いつもの様に演舞を行い、鍛練をする。最近は最後に海へ行き、海を割る練習を加えた。もう一度水場へ行き、汗を拭う。


結論として、神殿攻略の方法は考えつかなかった。

パールの町で魔道具を探したり、作成依頼を持ちかけたが、呼吸方法に関する回答は得られなかった。続けて神殿の渦に行き、渦を割る練習を行う。ある程度は割れたが、神殿までは届かない。


結局スキルレベルが上がるまで、解決方法は見つからなかった。が、レベルが上がったとたん、神殿に行く方法は解決できたのだ。


スキルレベルが上がったその日、さっそく僕は渦の上までやって来た。

渦に向かい手を翳すと、簡単に神殿が露出した。


「・・・簡単に行けるじゃん」


今までの苦労は何だったのだろう、海は割れ渦の外側まで水は引いていた。

ゆっくりと神殿の入り口まで降りて行く。入り口に入ると前回同様頭に声が響いた。


『資格を持つ者よ、進むが良い』


迷宮だった壁は奥まで割れ、道ができる。ゆっくりそのまま進んで行った。最奥の場所にブレーサーと2匹のドラゴンの偶像が存在した。


『私は双頭のドラゴン、双竜とも呼ばれている。そこにあるブレーサーを嵌めるが良い』


ブレーサーは誂えた様に僕の腕にぴったりと嵌まった。


『そのまま腕を私に向ければ、私の力が手に入る。その前に左側にある鞘を持って行ってくれ。以前炎竜に頼まれた物だ。炎竜に届けて欲しい』


鞘をベルトに差し、両手を偶像に向けた。


『私が中に入ればこの神殿が崩壊する。入り出したらすぐ逃げるのだ。逃げ道は作ってやろう』


ずるずると偶像が動き、ブレーサーに向かって来る。そのまま入り込んでくると同時に神殿の屋根が崩れる。更に柱に皹が入り、ぴしぴしと音が鳴り出した。

竜が完全に入るまではまだかかりそうであったが待つ暇も無く、僕はその場から逃げることとした。


宙に浮かび海の上を目指す。神殿を出たとたん崩壊が始まった。更に海が崩れて来る。この光景を見ることができる人があれば、きらきらとした美しい光景だったことだろう。しかし僕にはそんな余裕はなかった。前後左右から海が迫って来る。


すぽんっという感じで海から飛び出す。そのとたん勢いのついた海水は水柱となり更に迫って来た。逃げることは可能だが、へたをすれば津波が発生する恐れがある。僕は当然の様に両手を向け水柱を凍らせた。


「このままにしておけば徐々に溶けるから、大事にはならないだろう」


それにしてもスキルを使い過ぎた様だ。全身に疲労感が感じられた。このままでは海に落ちてしまいそうだった。力を振り絞り、舟に戻ると共に僕は意識を失ったのであった・・・



気がつけば、もう真夜中であった。

綺麗な星空を眺めながら、舟を町まで動かすのであった。

宿に戻り、毛布にくるまり、泥の様に眠った。

翌日女将と旦那に調査が終了したと伝え、別れの挨拶をした。

ようやくリョウに会える、逸る気持ちを抑え、僕はメイプルの町へ向かうのであった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



さかのぼること3ヶ月前、王城に向かった3人は異世界の門の前にいた。


「もう時間がないんだよねー。ジュンイチにも説明したかったんだけど、納得させるのには時間がかかるからね」


「・・そうですよね」


「まあ、帰った時には立花がいるから、きちんと説明できるし、その時には少し時間があるから、ゆっくり話をしましょう」


「・・そうですね」


会話をしながら門をくぐる3人の姿があったのだった。



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



ハルツールの町を出たジュンイチは、人気がないことを確認した後、空へ浮かんだ。パールの町に寄らずショートカットでメイプルを目指すことにしたのだ。


固有武器の影響か寒さに強くなった為、アクセサリーを外す。売るか譲るか解らないが、捨てることだけはもったいないのでリュックにしまう。

念力スキルがカンストした影響で、手のひらを下に向けなくても浮ける様になっていた。まるで足の裏に手のひらがある様だ。その為いろんな格好で飛ぶことができた。


「ららら、そーらーをこーえてー」


アトムのポーズをとったり28号やガメラの格好をもしながら飛ぶ。少し浮かれている様だ。


固有武器の扱い方は、すんなり理解できた。使いこなせるかどうかは別であるが。両手に水を生み出し、念力で剣の形にする。それをブレーサーの力で固める。片手剣の出来上がりである。空中で演舞をする。


その後は、今度は苦無を生み出す。投げると同時に次の苦無を作り、連続で投擲を行う。もはや購入する必要がなくなった。薬入りは注入しなくてもそのまま作れば良い。作成する武器の温度を下げれば下げるだけ強度がました。

メイプルの町を目指し、飛んで行く。疲れたら降りて休憩する。まだ2時間しか連続飛行はできない。


休憩は氷のシールドを展開し、周囲の魔物よけとした。丸いシールドを作る、まるでエスキモーの家の様に。ベッドを作成しても寒くはないが、硬くて寝にくい為、毛布を敷きその上で休む。

食事は鳥鍋だ。狩った鳥を捌き、鍋で煮る。火は作れないが熱い湯は産み出せる様になった。また水に手を近づければ、時間はかかるが沸かすこともできる様になっていた。


「・・調味料を買っておけばよかったな」


微妙な味の鳥スープを食べ終え、毛布にくるまり眠りに就くのだった。



メイプルに着いたのは、出発してから3日目の昼だった。直接王都に行くには人目につき過ぎる為、避けたのだ。

メイプル北西の森へ静かに降り立ち、街道へ出る。そのまま走って門へ向かった。


「うひゃー、久しぶりー」


久しぶりのメイプル料理を堪能してから、王都に向かう決心をするジュンイチであった・・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ