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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第四章 固有スキル
20/59

20話



連日オーガのみ討伐に向かう。


うまく投擲のみで倒せた場合は少なく、群れから離せなかったことも多々あった。止めをダガーで行ったり、あるいは町近くまで逃げ帰ったこともあった。

ただ、トレインは人の迷惑になるので、町近くまで追われた場合は、必ずしびれ薬を使って全て倒していた。


スキルは上昇していると思う。いつカンストするのかが全く分からないが、体感ではもうのど元まで次のスキルが出かかっている様な気がした。


その日は雨だった。

いつもの様にオーガを狙って森に行った。オーガのテリトリーに入ると、直ぐの場所にワイバーンが居た。どうも、オーガを襲った後らしい。

オーガを咀嚼しているワイバーンは1匹の様だ。ワイバーンへ投擲したことはないので、試してみることとした。

隠れて正面に回り、口周りを中心に苦無を連射する。


「しゅしゅしゅ・・・・・」


「すとと」


8連射の内3個が突き刺さる。狙った部位、両目および口蓋に突き刺さったようだ。


「ぎゃあぁーーー」


いきなりの攻撃で暴れるワイバーン。尻餅を着くような恰好から、両翼を広げ羽ばたこうとする。


「しゅしゅ」


柔らかそうな腹部を狙い、2連射する。1つは心臓へ向かう。


「ざくっ」


2本とも刺さり、暴れるがワイバーンは羽ばたけなくなった様だ。

そのまましばらくすると、うつ伏せに倒れた。


残心をし、ゆっくりワイバーンに近づく。こと切れたワイバーンを確認し、討伐証明部位のみを剥ぎ取った。

ワイバーンに刺さった苦無を回収しようと思い、手を近づけると、「すっ」と苦無が動いた。


「えっ、まだ生きてるのか?」


慌てて下がった。

しかし、しばらくしても動きがない。

もう一度近づき、先ほどの苦無に手を伸ばす。今度は動かない。


回収しようと更に苦無を握り、引き抜くとするっと手ごたえなく抜ける。

何となく違和感を覚え、カウンターを確認した。


スキル:固有スキル 念力Lv1


固有スキルが出来ていた。


「おーーーーーー」


念願の固有スキルができた。これで、次の段階へ行ける。

リョウと別れて、もう10日が過ぎた時だった。


早速武器を回収し、訓練場に向かう。

以前練習していた空き地へ走って行き、スキルチェックを行うのだ。


「念力という位だから、物を動かすんだよな。投擲から派生しているから、物を投げたりした方が分かりやすいかな?」


近くの小石を拾い、的にぶつける。あまり今までとの違いが感じられない。


「違うのか。さっき苦無が動いたから、手の傍のものが動かせるのかな?」


苦無を地面に突き刺し、手を差し伸べる。動け!と考えるが、動かない。


「うーん」


その場で胡坐をかいて座る。両手を見る。するとふわふわとどこからか綿帽子が飛んで来た。


「浮け!」と念じる。

すると、落下していた綿帽子がその場で留まった。

一気に体から何かが抜け、全身を疲労感が漂った。座ってられず、横になる。


「なんだこりゃぁ。力が抜けるぅ」


横になったままカウンターを確認するが、HPMPに変動はない。

何かその他のものが、消費されたようだ。


しばらく横になっていると、動けるようになった。

今日はそのまま宿に向かって、寝た。


次の日から再び念力の練習のみ行い、狩りに行くのは止めた。

顔を洗い、武器の練習はしたが、投擲は行わなかった。

朝ご飯をきちんととった後、水、ポーションを近くに置いて、ベッドに座り念力を行った。


大きいものは無理だろうと思い、木切れを丸く削り、机の上へ置いて動かす練習を行った。最初はちょっと動かすだけでも全身に疲労感が起きた。そのままベッドに倒れこむ。しばらく休憩し、体を起こし、水を飲む。カウンターを確認し、何も減っていないをことを確認して、再び木切れを動かす。


何度かやっている間に、どうも”ロス”があることに気づいてきた。

がむしゃらに「動け!」と強く念じなくても、そのものの存在を意識できれば動かせることに気づいてきた。もう一度木切れをよく見つめ、よく触り、たまには舐め、その存在を意識した。あるいは置かれてあるテーブルを事細かに観察し、表面の凹凸まで十分調べ、触り、頬ずりしてみた。


触った方がよく動かせるのにも気づいた。逆に手を放し過ぎると動かない様だ。

朝から晩までその日は木切れと向かい合って、最後には気絶した。


翌日もきちんと体を動かし、食事をとった後から念力の練習を行った。

何故かスムーズに動かせるようになってきていたが、数回後に再び虚脱感が襲ってきた。多分HPMPで表示されないSPとも言うべきものが、昨日の練習で増えたのではないかと考えられた。HPMPは宿屋やポーションでしか回復できないのに対し、SPは体感でしか分からないが、休んでいれば回復できると思われた。また、SPは訓練によって少しずつ増加しているものと推察された。


そのため、少し無茶をすることとした。

強く念じれば多くのSPを消費する、手を少し離せばその分多く消費するとの考察結果から、一瞬で気絶できる位に念力を発した。うまくベッドに倒れることができればよいが、多くはそのまま床へ倒れた様だ。HPが減少した。


数回気絶した後、ある程度手を放し、強く念じなければ倒れなくなった。

動かすものを徐々に重くしていき、大きくしていった。そのため、ある程度大きくなった後は宿の外でしなければいけなくなった。


この町の周囲はある程度狩りつくされているため、安全であった。

数日分の食事などをリュックに背負い、宿へしばらく外泊する旨を伝え、いつもの訓練場でスキルの練習をすることとした。

念力のレベルも上がり、多少無理しても気絶することは無くなった。SPを消耗すれば疲労感が感じられるので、そこで無理をして気絶した。


数日後、自分より大きなものを動かそうとしたとき、自分が浮いてしまうことが分かった。逆立ちをし、自分を浮かせる訓練も取り入れた。最初はジャンプの様な感じであったが、空中でものを手放すと2段ジャンプができるようになった。

空中で水を生み出し、それを土台にし、2段、3段ジャンプの練習も行った。あまり高く上がり過ぎると落ちる時が大変であった。


また数日間念力の練習に費やす日々を送ったのだった。




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