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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第一章 始まりの森
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2話



この異世界へ来る前には門があり、「門番」と思しき人物がいた。

怪しげな老婆である。


「異世界に行きたいのかぇ、ひっ」


「ああ、頼む」


「それなら3千円だしな、ひっ」


僕は財布から、小銭以外の全財産を出した。


「先にもう3人旅立っているよ。準備が出来たら、後ろの門をくぐりな、ひっ」


「その前に聞きたいことがある」


異世界に行けることは、とある人物に聞いて知っていた。

僕は、どんな異世界なのか、行ったすぐあとはどうすればいいのかを老婆に尋ねた。全てを聞くのはつまらないが、行ったすぐあとの行動を迷うのもつまらない。門の先は森の中であり、北に向かうと「最初の村」がある。村には冒険者ギルドがあり、宿屋がある。


最初の装備は剥ぎ取りナイフのみ、あとステータスの確認のため、腕輪が装備される。腕輪は壊れない。最初の村の周囲には、最弱のモンスターであるスライムしかいない。核は売り物になる。村でレベル上げ及びお金を稼ぎ、東の「次の村」へ行けば、最初の仲間に会えることなどを聞いた。


「HPがなくなれば死んじゃうよ。腹も減るし、喉もかわく。充分注意しな、ひっ」


少し緊張しながら、それでも高揚しつつ門をくぐっていった。


始まりは森の中


こうして”僕の”冒険は始まったのだ。


*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*


「ようやく目標のスライムの核を集めれたな」


合計5匹のスライムを狩り、核を集めた。

カウンターを確認すると、レベルが2になっており、各ステータスが少しずつ上がっているのを確認した。

時刻は夕暮れになっていた。


「腹減った~」


異世界の門をくぐってから、今まで何も食べていない。

水筒に核を詰めたので、水も昼から飲んでおらず、喉も渇いた。


僕は最初の村に行くこととした。

村は小さな村落で、遠目からもよく見える少し高い建物と、何故か少し大きめの宿屋が見えた。周りにはほのぼのとした畑が広がり、数人のら作業をしている人々を見かけた。


「まずはお金を得ないと、何もできないよな」


恐らく少し高い建物が冒険者ギルドだろうと思い、そこへ行くこととした。

入口はウェスタン風で、開き戸となっており、軽食ができる様な机が並んでいた。窓口に居る冒険者風の男以外はおらず、閑散としていた。


「こんばんは、スライムの核を売りたいのですが」


「やあ、こんばんは。ここは始めてかい?」


「そうです、冒険者になりたくて、今日この村に来ました」


「核は1個50ゼニーで買い取るよ、状態によるけどね」


「ここに出してもいいですか?」


「向こうに買い取りのテーブルがあるからそちらに移動しよう。俺の名前はジェームズだ。よろしく。ここ初心者の村のギルド窓口兼案内係だ」


「よろしくお願いします。ジュンイチといいます」


ジェームズは優しそうな人だった。あまりコミュ力のない僕にとっては幸いした。第1遭遇人だったので、この村のことをいろいろ尋ねさせてもらった。

この初心者の村は、周囲にスライムしかいないので、いろんなところから冒険者になる初期の人の訓練所になっているようだ。今は初夏なので、季節外れであり人が少ないが、初春や初秋には冒険者学校から訓練に来るらしい。ポップアップしたスライムは、多すぎる場合ジェームズが間引いているようだ。今は学生が引き上げたところなので、少し少なめになっているそうだ。


「この状態の核であれば1個50ゼニーで買ってあげよう。ただ、次回からはもう少し綺麗にゼリーを落とし、布か葉に包んでくれ」


訓練生は主に対モンスターの訓練に来ているようで、大抵が核を壊しているようだ。スライムの核はそこまで需要はないのだが、汚物処理に使われるようで、一定の需要がある。依頼が町から来れば、ジェームズが処理しているようだ。ただ、ギルド員なので儲けにはならないようだ。つまり秋まではどんどん持ってきて来れば、買い取ってくれるらしい。


「ありがとうございました」


僕は初めてのお金、250ゼニーを素手に持ち、ギルドを後にした。


「おなか減った、ご飯食べたい」


ギルドの軽食屋は現在やっておらず、周囲には食堂はないようだ。宿屋でしか食事はできないようだが、泊まり賃を考えれば無駄遣いはできない。HPは宿屋でしか回復できないのだ。


「まずは宿屋でいくらかかるか聞かなくちゃね」


空腹を抑えつつ、僕は宿屋に向かった。学生は結構な人数が来るようで、寄宿舎のような宿屋であった。入口を入り、カウンターで暇そうにしているおばちゃんに声をかけた。


「こんにちはおばちゃっ」


「おねえさんです!」


にらまれた。かわいいお姉さんの様だ。


「こんちはお姉さん、一泊いくらか聞きたいのですが」


「こんばんはでしょ!一泊250ゼニーだよ!食事込みで300だ」


「あの、安い部屋ってないですか。僕冒険者なりたてで、あまり持っていないもので」


「厩なら100ゼニーで泊まらせてあげるわ」


「分かりました、食事はできるのでしょうか」


「あんただけに作るのは高くなるから、100ゼニーだね」


「じゃあすみません、それでお願いします。さっそく作ってもらえますでしょうか」


「ああ、金を出しな。すぐ作ってくるから」


どうも嫌われた様だ。それでもこの空腹とHPを考えると泊まるしかない。

学生服の泥を外で叩き、そっと食堂の端へ座る。冒険初日の疲れのため、あちこち痛みを感じる。太ももには触手の攻撃のため、穴が開いていたが、皮膚は赤味もなくなっていた。しばらく待っていると、食事ができたようだ。


「できたよー、取りにおいで」


セルフサービスの様だ。学生食堂ののりで取りに行く。座っていた席にもどり、食事を始める。味はそんなに悪くない、どころか、割とおいしいものだった。

固めの黒パン、小さめのハムが入った野菜スープだけであったが、量はまあまああった。満足する味と量であった。


「ごちそうさまでした」


「ああ、厩には藁がしいてあるから、汚さなければ適当に敷いて使いな。

近くに井戸があるから、体を拭きたいなら使っても構わんよ」


「飲んでも大丈夫ですか」


「まあ、腹は下さないさね。濁っていた場合は煮沸しな」


「分かりました」


井戸で行水をしようかと思ったが、布切れもないのであきらめた。トイレを貸してもらい、今日は休むこととした。厩に行き、藁を敷き寝床とする。寝転んで、明日からのことを思う。


「疲れたけど、なんか充実した感じ。少しハードモードの様だけど、楽しめそうだよな」


明朝起きたら、残りの50ゼニーで買えるものを雑貨屋で確認し、しばらくスライム狩りをする。武器、防具の値段を確認し、次の村への移動などを考える。

カウンターでHPなどを確認すると平均3Pずつ増えていた。


「MPは上がっていないな。レベル3に期待だね。魔法は使えるのかな?」


そんなことを考えていたら眠たくなってきた・・・




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