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僕らの冒険1  作者: じっつぁま
第三章 メインヒロイン
18/59

18話



次の町は、メイプルの町。北に行けば王都であり、非常時には王都の守りの砦となる。その為、高い防壁に囲まれており、数万の敵にも抗える構造となっている。


南に行けば、セイレーンの森。精霊の森であり、加護を持たない者は迷って出られなくなるという。恐らく、レーコの固有武器のありかに違いない。


僕らにとってはあまり重要な町ではないので、通過点になるであろう。

そんなことを発言するが、


「多分王城に招かれることになるよ」


「えっ、王様とか関係ないんじゃない?」


「立花君の依頼では、最終的に”魔王”を倒すことになるんだと思う。”魔王”は大体勇者が討伐するんだよね。勇者は王様が召喚するんだから、勇者が王様に招かれることになると思う。立花君のパーティーはいずれ、王都へ招かれるんだから、私たちも向かうことになると思うよ」


なんとゆう3段論法でしょう。そうゆうことなら、”いずれは”行くことになるんだろう。ただ、今ではない、と願っておこう。


「王都は美しい都だそうだよ。一度行ってみたいよね」


リョウさんが行きたいのであれば、直ぐにでも行ってもいいけどね。


「いずれでいいよ」


僕たちはいずれ王都に行くフラグが立ってしまった。

のんびり、10日間の旅を終え、僕たちはメイプルの町に着いた。

ここでは、数日間お金を稼ぐだけで、次の町への準備品を買い、直ぐ出てゆくつもりだ。携帯食もポーションも使い切っておらず、あまり買うものがないと思っていたが、甘かったようだ。


「ジュンイチー、カレーライスがあるよー」


なんということでしょう。日本人のソウルフードカレーライスがあるとは。

これは購入しなければならないでしょう。


「すぐ購入しに行こう。雑貨屋に行けばいいんだろうか。今は馬車もあるし、少々多めでも買って行けるよ」


「えー、買ってくるより食べに行こうよ。おいしいお店があるんだって」


「分かった、じゃあそうしよう」


すぐ意見を翻し、その評判のお店へ向かう。

さすがに繁盛しているようで、行列が並んでいた。日本人らしく行列に並ぶ。

体感で約30分位待ち、席に着くことができた。


「らっしゃーい。ここはカリーしかないよ。カリー2つでいいかい?」


「おねがいしまーす」


カウンターの向こうから親父が大声で呼びかけてきた。

カレーライスではなく、カリーというらしい。

できあがったものを取りに行き、席に座る。


「いただきまーす」


匙にすくい、食べる。うまぁい。

日本のカレーよりインドカレーに近いと思われる。

スパイスの種類は少なく、胡椒の味が強い。ただ、肉類の種類は多く煮込まれているようで、複雑な味がする。米もヘンゼルでは日本米に近かったが、この町では粘りが少なく、長細い米種のようだ。


味はかなり異なっていたが、そうは言ってもしばらくぶりのカレーライスだ。さらさらっと食べ終わる。


「ふぅ、満足。ごちそうさまでした」


客が多いため、食後をまったりすることもできず、店を出た。


「おいしかったね」


「そうだね」


「他にもいろいろおいしいお店があるそうだよ」


「そうなの?」


「うん。生クリームを使ったお菓子屋さんや、スパゲッティの様な麺類のお店もあるんだって」


「そうか。しばらくこの町で狩りをしようか?」


「さんせー」


通り過ぎる予定を覆し、連泊することとした。

やはり異世界を楽しむのであれば、こういう町でまったりしなければ来たかいがないというものだ。

できれば食材を購入し、料理ができるようになりたいところではあるが。


メイプルの町で連泊できる宿を探し、部屋を取った後、町を散策する。

この町は東の町から海産物や鉄鉱石、南の森からモンスターの素材や薬草、西の大陸から輸入物などが行き交う文化の合流地点となっており、王国一の大都市となっていた。


様々な民族が行き交い、様々なお店が立ち並ぶ、王都より人口が多いところだと言う。アクセサリーやグレードの高い衣服も売っており、王都から買い付けに来る貴族もいるらしい。町の防御態勢はこの近辺のモンスターに比し大げさなくらいであり、町の中はかなり安全なのであった。


僕らはお店を冷やかしながら、町の大通りを散策し楽しんだ後、宿で休んだのであった・・・



*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*:;:*



数日間周辺のモンスター狩りを行い、経験値及びお金集めをしながら、町での暮らしを楽しむ。リョウとの狩りや町でのデートは楽しく、もうこの町で生活すればいいんじゃない?などと思うようになってきたころ、ケーゴとレーコがメイプルの町へ戻ってきた。


「久しぶり」


「元気だった?」


「とりあえず、どっかの店へはいろうか」


喫茶店の様な店に入り、フルーツジュースを頼む。フルーツは西の方角から仕入れているようだ。


「ジュンイチ君、ちょっと狩った素材をギルドで売ってきてくれない?今からすぐ、リョウと話さないといけないことがあるんだけど、時間がないの。お願いできるかしら」


「えー、自分らで行けよー」


「時間がないんだってば。私たちもすぐこの町から出発しなければいけないし、素材は長く放置できないものが多いし、話さなければいけないことは重要なの。お願い」


「分かったよ。このリュックでいいの?」


僕の身長の1.5倍くらいあるリュックを見つめ、めんどくせーと思いながらギルドへ向かった。ギルドでの換金は100万ゼニーとなり、大金であった。また、買い取りにも時間がかかり、約1時間位かかってお店に戻った。


店に戻るとまだ3人話し込んでいた。


「・・・という訳で、そろそろ王城に向かわないといけないわ」


「・・・うん、分かった」


「お待たせ、換金終わったよ」


「お疲れ様、ありがとうね。今話はすんだところよ。ジュンイチには詳しく説明する時間がないんだけど、これから3人で王城に向かわないといけないことになったの」


「え、どうゆうこと」


「つまり私とケーゴとリョウが王様に会わないといけなくなったってこと。悪いけれどジュンイチはスキルと固有武器がないから、スキルをマスターして、固有武器を手に入れてから王城に来て」


またボッチ生活が始まるらしい。しばらく呆然とし、ゆっくり聞き返した。


「つまり、僕一人で次の町に行き、固有武器を手に入れて帰って来いと。しかもスキルをどうにか手に入れないといけないってこと?」


「そうなの。スキルの発動の仕方は、立花に聞いたから教えておくわね。といっても、簡単みたい。今ジュンイチは投擲のスキルがあるわね?それは固有スキルを得る為のステップですって。投擲スキルがカンストすれば手に入るそうよ。スキル名は念力ね。ちなみに固有スキルが手に入らないと、固有武器も手に入らないから、頑張ってね」


まだ、頭がよく回らない。言っていることが入ってこない。


「ごめんね。時間がないの。そろそろ行くわね」


「・・・またな、ジュンイチ。またすぐ会えると思うから」


「ジュンイチ・・・」


3人が立ち上がった。


「ちょっと待って、とりあえず僕一人になるんだったら、馬車が使えなくなるから持って行って。それから換金したお金を・・・」


「馬車はありがとう。そうするつもりだったんだけど、もらってばかりじゃ悪いから、その換金したお金はもらっておいて」


「分かった。気を付けて」


ケーゴとレーコは店を出て行った。

立ち上がったリョウは僕に近づいて来た。


「ごめんねジュンイチ。私も状況が分からないけれど、すぐ王城に向かわないと行けなくなったの」


「うん、分かった、気を付けて」


「ジュンイチもスキルと武器を手に入れたら、直ぐ王城に来てね。時間がないようなの。でもあせらないで、充分気をつけてね」


「分かった」


「また会える日を楽しみにしてるから・・・」


リョウは近づくと僕の頬にキスをして、店を出て行った。


なんということでしょう。またぼっち生活の始まりである。

しかも最近は、すごく楽しかったため、以前より独り身が辛い。

注文していなかったので、お店をたたき出され、しばらく町の噴水で佇んでからとぼとぼと宿へ向かうジュンイチであった・・・




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