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まるごっ!装備完了いざ街の外へ!

意外と難産でした。始まったばかりなのにこれで大丈夫なのか自問自答。有難いことに本作を評価してくれている方もいました。

頑張るしかないですね。

ハルとヨウはNPCの経営している装備店へと入っていった。

見た目は木造のボロい小屋だが、プレイヤーの間では隠れ名店と噂されている。基本の装備が他の店よりも少しだけ安いそうだ。最序盤では意外と助かるのである。


そんな情報をヨウがどこから手に入れているのか気になったハルが尋ねてみると、ネット上にβテストをしたプレイヤーがいろいろと情報をあげているそうだ。


「じっちゃん、これちょうだい」


ヨウは店のいたるところにばらばらに並べてある装備のなかから、手甲と革の胸当てを手に取り店のカウンターに座っている白髪のダンディなお爺さんに言った。


「ふたつで35000だ。若いし、見たところ初心者だろう? 頑張りな」


手甲が25000G、革の胸当てが15000G。

いきなりの割り引きに驚くハル。このシブいお爺さんはなかなか良い人らしい。この店が隠れ名店なのも頷けた。


「それにしても、あなたずいぶん早く決まったわね。はじめから手甲にするつもりでいたの?」


「うん。最近は仮面ラ○ダーも魔法少女も肉弾戦する時代でしょ」


「一体何になるつもりよ……」


「そう言うハルはどうするの? やっぱり剣とか弓とか? リアルでも剣道とか弓道やってたし」


どうしようかな、とハルは呟く。実はヨウがお爺さんとやり取りしている間に剣を振って見たり弓の弦を引いてみたりしたのだが、どうにもしっくり来なかったのだ。素手はカラーラビットからのタックルを食らっている身としては無しである。

魔法が使えるなら使ってみたいという思いもあったのだが、魔法が使えるようになるのは早くても第二の街で教わるしか方法は無いらしい。


「とりあえず、これにするわ」


散々悩んだ挙句にヨウとおそろいの革の胸当てと、一部の人からは万能と名高いサバイバルナイフを購入した。


システムのことを考えるならば初期からスキルやアーツを育てたほうが良いのだろうが、ハルにはどうしてもしっくり来ないものを使うというのが不安だったのだ。


「ナイフと胸当て2つで30000だ。まいどありがとよ」


最後までシブかったお爺さんに見送られて二人は店を出た。



手甲:レア度 ☆ 

   Str+20

   Vit+10

   初心者向きの手甲 StrとVitが少し上がる


革の胸当て: ☆

      HP+40

      Vit+10

      初心者用の防具 意外と長持ち


サバイバルナイフ: ☆

         Str+5

         Dex+15

         初心者向きのサバイバルナイフ 万能ではあるが性能は微妙である


このゲームのレア度は☆で表され、星の数は最大7つまで。☆1つなのははじまりの街で買えるアイテムとしては当然であるといえよう。

だが、2人の最低限の武器と防具はこれで揃った。


次は、旅に必要な買い物である。


そもそもゲームというものに触れたことの無いハルはほとんどヨウにまかせっきりで、ヨウが体力回復用のアイテムやその他いろいろを買っているのを見ているだけだった。

つまり、知識不足により出番が無いのである。言い換えれば役立たず。


ただ待っているというのも寂しかったためハルはヨウに一言かけると、自分でも何か使えそうなものが無いか街をふらふらと歩き出した。







ハルの頭にバイブレーションのような音が響く。

買い物を終えたヨウからのコールだ。


『ハル今どこ~?』


「えっと……あなたの後ろにいるのだけれど……」


ハルが西門について早々のことである。

ヨウはワザとやっているのか、それとも偶然なのか。


「もーだめだよ。そこは『私ハル。あなたの後ろにいるの』って言ってくれなきゃ」


どうやら確信犯だったらしい。

ハルはためらうことなくヨウの頭にチョップを入れる。


「あたっ! も~ハルは手が早いんだから」


「まるで人を痴女みたいに言わないでくれるかしら。ところでヨウはあのあと何を買ったの?」


「各種回復アイテム2本ずつと、プライベートエリア」


「プライベートエリア?」


ハルは頭に?を浮かべ首をかしげる。


「簡単に言うと、アイテムを無限に置いておける倉庫かな。このゲームって持ち歩けるアイテムの上限が100種類×100個までなんだけど、これがあれば街にさえ帰ってくればいくらでもアイテムが置いておけるんだ」


便利なものね、とハルは納得したような表情を見せる。


「ところでハルは何を買ってきたの?」


「私は本を買ってきたわ」


「本?」


春が取り出した本は、噴水を中心にしたはじまりの街の風景画が表紙にされている一冊の分厚い本。タイトルは『魔導師レインの世界観光紀』


「ええ。恥ずかしいのだけれど、こういうゲームで何が必要なものかわからなかったから旅のガイドブックみたいなものを探してみたの。ヨウもいろんなところを見てみたいって言っていたから、どんなところ行きたいとか、これで調べてから行けばいいんじゃないかと思ったの」


「まだ『小麦色の草原』もクリアしてないのに?」


なんとも気が早い話である。


「でもこれ世界地図も付いてるから、道にも迷わないですむと思うのよ。それに……」


ハルは顔を赤らめ、一瞬だけヨウから目をそらす。


「あなたと一緒に何処へ行きたいなーなんて旅の計画を立てるのを想像したら、欲しくなっちゃって……ってなに言わせるのよ!」


勝手に喋ったわりに理不尽な言い草である。

ただ、そんなハルの様子をヨウは満面の笑みで見ていた。


「もう、ハルは可愛いなぁ」


「なによう……もう! 旅の準備できたなら早く草原に行くわよ! あのウサギにやられた分は倍返しにしてやるんだから!」


そう言ってハルは西門の外へとぐいぐい進む。

ヨウもそれの後ろを軽い足取りで歩いていく。






魔導師レインの世界観光紀:レア度 ★

             魔導師レインの手記で書かれた世界でたった一つの本。世界地図及び世界のあらゆる情報がこの本に記載されている。著者の主観が非常に多く入っているため役に立つかどうかは怪しい。見た目は数百ページだが空間魔法により凝縮されているため、そのページ数は計り知れないものである。







思ったより進まなくてまだ街の外へは出られなかった……

次回はウサギと再戦です!

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