星の砂
僕はちっぽけな、砂つぶで
君は小さな、星のひと粒だ。
僕は目立ちも輝きもしないけれど、
君はかっこいい七つの角っこを持っていて
つぶつぶ達の中でひときわ輝いている。
何のへんてつもない砂つぶの僕は
このどこまでも続く砂浜を構成する砂つぶの一つでしかなくて
僕が僕である必要性はないみたい。
ヒトデのおじさんはこの砂浜のみんなの憧れだ。
たまにやってくるとつぶつぶの子たちに囲まれて
おじさんは集まってきた子供達にに笑いかけるんだ。
僕もヒトデのおじさんが大好きだったから
おじさんが遊びにきた日に会いに行かなかったことがない。
ヒトデのおじさんはみんなに、「いい子にして、立派な星になるんだぞ。」と言う。
頭を撫でて、「君はきっといい星になる。」
おじさんにそう言ってもらえる他の子が羨ましい。
君は名前を呼んでもらったとはしゃいでいたけれど
僕は一度も目が合ったことも、頭を撫でてもらったことも、名前を呼んでもらったこともない。
きっと君は大きくなったら、
ヒトデのおじさんみたいになるんだね
僕は君が羨ましい。
僕は大きくなっても、ヒトデのおじさんみたいにはなれないから。
僕は大きくなっても、輝けることなど無いのだから。
どうして僕は、ヒトデになれないんだろう。
どうして君は、そんなに輝けるのだろう。
一度僕は君に聞いたことがあったよね
君は困ったような笑顔でこう言った。
「仕方ないよ。僕と君は違うんだから。」
僕は悲しかった。
一度でいいから、みんなに尊敬されてみたかった。
一度でいいから、ヒトデのおじさんに褒めてほしかった。
一度でいいから、君のように輝く小さな星になりたかった。
もう、ただの砂つぶなんてうんざりだ。
誰か僕を見てくれよ。
僕を褒めてくれよ。
ただの砂つぶの一つであることじゃなくて僕が僕であることに価値を認めておくれよ。
そしたら君も悲しい顔をした。
「僕も君が羨ましい。」と。