No28
裕は趣味が同じだと思ったのか、やたら優奈に話し掛けてくる。
「優奈ちゃんってギター初めてどの位??」
「…まだ始めたばっかりです。高校入ってついこの前後夜祭でライブやりましたぁ。それがきっかけで続けてます。」
「俺はねヴォーカルなんだ♪そんな歌に自信はないんだけどさぁ。やっぱ楽しいよねぇ。」
優奈はこくりと頷いた。
瑠伊が向かいの席からニヤニヤしている。
ピロピロン
《裕さんといい感じだね》
瑠伊から突然のメール。
《…でも軽そう…;》
すぐ返事を返した優奈。
「優奈ちゃんDoCoMoなんだぁ!!!!残念だなぁ‐…俺ヴォーダフォン。」
(何が残念なんだろう…)
ピロピロン
《優奈〜携帯出してるって事はアド交換かぁ☆》
(…あ!!!!!)
「メール絵文字使えないねぇ…。」
裕が優奈の携帯をとった。
「はい、これ俺のアド。仲良くしてねぇ!!!!」
この時少し裕が顔を赤らめた気がした。
(わぁぁ!!!!メールかぁ。)
「あ、仲良くしてくださいねぇ。」
優奈はとっさに返事をした。
夜になって解散。
優奈は皆と方向が違う為、一人で帰宅。
「ただいまぁ。」
優奈は言うだけ言って部屋に駆け込んだ。
(今日はお母さんいないのかなぁ。)
ベットに寝転がって、携帯をとりだした。
(瑠伊にメールでもしようかなぁ。)
ふと電話帳を開いた時、裕のことを思い出した。
(あ!!!!そういえば…)
電話帳を見て行くと、No28に『裕君』とはいっていた。
「ふっ…」
優奈思わず笑ってしまった。
(自分で裕君だって!!!!)
知らずの間にメールを作成していた。
《裕さん☆だれだ〜?》
―送信―。
(返ってくるのかなぁ。)
ピロピロン
「早ッ!!!!」
《優奈ちゃんでしょ♪》
裕から受信。
《よくわかりましたねぇ。優奈です。今日はなんか恥ずかしくて素っ気なくてごめんなさい。》
―送信―
ピロピロン
《俺こそ謝らなきゃ。凄く軽そうな男に見えたでしょ?上がっちゃうといつも、ああなっちゃうんだ…》
裕から受信。
(そうだったんだ…。)
《あ、よかったぁ。裕さん〜私そろそろ眠くなっちゃったんで寝ますねぇ。》
―送信―
優奈はお母さんが帰ってくる前に寝た…。